No.123:現場からいちいち判断を仰がれる社長の取るべき手 マニュアルと・・・

「スタッフが、いちいち訊きに来るので困っています」
食品加工会社社長、その日最初の言葉です。
20名ほどの現場も、2名の女性パートを中心に業務が流れるようになりました。
 
「資材の発注や顧客への対応など、決まっているはずなのに、判断することになると訊いてくるのです」
 
「社長、マニュアルはありますか?」
「あります」
 
「では、方針書はありますか?」


社員一人の一年間の生産性(稼ぐ粗利高)は、大手は1500万円、中小企業は750万円です。
 
大手と中小企業では、社員が1日1回動いた時の、稼ぎの効率が倍違います。
その稼ぎの効率を決定づける要素が、次の二つ。
「事業モデル」という『売る仕組み』と、「分業」という『つくる仕組み』です。
 
自社を飛躍的に成長させる戦略として、「売ること」は多く世で論じられますが、この「分業」については、軽んじられているのではと感じるほど、世で取り上げられることはありません。
 
この分業こそが、年商数億の事業を年商10、20、30億に成長させ、社員一人当たりの生産性を飛躍的に向上させる最も重要な取組みとなります。
「分業」こそが、「組織」なのです。


分業には、大きく二つ、「横の分業」と「縦の分業」があります。
 
「横の分業」とは、営業から企画、製作、納品、事務という業務の流れを指します。
年商1億の規模であれば、社長と一部の優秀な人材が全体を指示統括することで、業務は流れますが、年商5億の規模であれば、各部門がそれぞれの業務をこなし、かつ、目的や状況に応じ判断をすることが必要になります。そして、年商10億、20億とより大きくなれば、それだけ業務分担は細かくなることを意味します。
 
そして「縦の分業」とは、各部門や課が、その横の業務をこなすだけではなく、それ以上の役割も担う必要があります。それは、「部門目標の達成」と「仕組みの改善」となります。
 
「横の分業」が、現場作業と考えれば、「縦の分業」が、管理者層と言えます。
平たく言ってしまえば、「現場が通常業務をしっかり流し、管理者が目標達成と業務改善に頭を使う」となります。
 
この「横の分業」と「縦の分業」がそれぞれ機能するように、仕組みをつくっていきます。そして、この仕組みに人を割り振ったことを、「組織」と言います。
 
この「横の分業」の仕組みができていないと、通常の業務が流れなくなります。そして、業務量が増えると混乱したり、個人が案件を抱えたり、社長が現場を離れられなくなる、という現象が起きます。
 
また「縦の分業」の仕組みができていないと、自分たちでは何も改善しない、問題を打ち上げるだけの部門ができあがります。社長が関わらないと何も変わらない、部門計画も進まないという状態です。
 
社長は、しっかり今何のために仕組みをつくっているのか、を正しく理解する必要があります。
この「分業」を機能させるために、仕組みをつくっている、
分業した業務を担ってもらうために、スタッフを雇っている、
そして、それを発展させてもらうために管理者に任命すると、
その正しい認識を持つこと、そして、それに対し一つ一つ仕組みを構築することが重要になります。


食品加工会社では、早速その方針書を制定しました。
 
すでにマニュアルは有ったのですが、それでは足りません。
マニュアルは「作業手順を示すもの」です、それに対し、方針書は、「判断基準を示すもの」です。
 
現場には、決められた作業と判断を必要とする業務が混在しています。
決められた作業にはマニュアル、判断を必要とする業務には、その目的や考え方、その範囲などを示した方針書が必要になります。
 
それ以降、スタッフから判断を仰がれることが激減しました、
社長は言われます。
「方針書はすごいものですね。おかげで、私は外に出やすくなりました、会社からの電話も減りました。そして、彼女たちのやる気や自信につながったようです。昨日には、私がつくった方針書への改善の提案がありました。」
 
現在、その中心の2名のスタッフは、自分たちしかできない業務を他のスタッフもできるように、教えているとのこと。
 
マニュアルで作業を身につけ、方針書をもとに判断し指示をする。
そして、業務の改善に参加し、目標の達成のために取組む。
 
これが人の成長の過程であり、組織が成長するサイクルです。
「横の分業」「縦の分業」を機能させる仕組みが必要です。

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