No.258:日替わり定食は、究極のクリエイティヴである。・・・だから、大手は日替わり定食をやりません。そこから解る事業の原則とは?

№258:日替わり定食は、究極のクリエイティヴである。・・・だから、大手は日替わり定食をやりません。そこから解る事業の原則とは?

「御社の今の事業を例えて言えば、夫婦で営む定食屋ですね。」
 
ネットサービス業H社長は、忙殺されるほどの毎日を過ごしています。この日のコンサルティングでも、顔から寝不足の様子が解ります。
 
私は何がそんなに忙しいのかを御聞きしました。
「既存の顧客に提供する次のサービスをつくらなければなりません。そうでなければ、退会が増えてしまいます。」
 
事業は、毎月定額で利用料を取るモデルです。その提供するコンテンツも好評で、お客様からは次のものを望む声が寄せられます。
 
そこまで確認して矢田は、また余計なことをいいます。
「いま風に言えば、ユーチューバーですね。」


事業における「お金の取り方」は、大きくは二つあります。
 
一つ目は、「一回ドカン型」です。
別名、ハウスメーカー型と言います。
ハウスメーカーは、一つの家を売ると、粗利で500万円が入ります。その一回で、成約まで至らなかった営業費や内勤スタッフの人件費も、ペイします。
 
銀行のローンも同じです。借入3000万円を35年返済1%の金利で販売できると、500万円の儲けが確定します。一回の粗利高が大きいのです。
 
そして、二つ目は、「コツコツ型」です。
別名、ビルメンテナンス型と言います。
1回の作業では、人件費を払うと、少ししか儲けが残りません。しかし、一度契約すると、長いのです。2年、3年かけて、利益を確定します。
それ以降の顧客の維持や作業の手配には、多くの手間はかかりません。
 
コツコツ型には、携帯電話、FC本部、スクール事業など、のビジネスがあります。このコツコツ型は、その人の生活の「インフラ(下支えするもの)」となることで成立します。
 
単価と回数のバランスなのです。一回で稼ぐか、数回で稼ぐか、3年で稼ぐか、が事業モデルとなります。これを高利少売、または、低利多売と言い換えることもできます。
 
この原則に沿わない事業はやはり苦しくなります。すなわち、低利少売です。
その典型が、リフォームや外構工事です。打合せの手間のわりに単価が低いのです。そして、その後、リピートでの取引がありません。あっても、十数年後となります。
 
このような事業の場合、「手間と単価を合わせる」ために「特色を出し単価を上げる」か「手間を減らす」ことが必要になります。また、定期DMや定期訪問などの囲い込みの施策が、それほど有効でないことが殆どです。思い切って止めることの検討も必要となります。
 
「1回の販売単価」とその「頻度」で、事業モデルを設計することになります。その必勝パターンを見つけることが重要になります。


この時に重要になるのが、その「1回の販売単価」の中身になります。
それは、『毎回同じモノ』というのが絶対条件になります。そのモノは、すでに開発が終わっており、毎回、特に考えることなく提供できるモノとなります。
 
『見込客に提案すればある率で売れるというモノ』として完成されているから、社員化できるのです。並みの社員でも提供が可能になります。
そこにクリエイティヴが有ってはいけません。クリエイティヴは、そのモノの開発段階では必要でも、その量産の現場ではあってはいけないのです。
 
 
日替わり定食は、クリエイティヴである。
この認識が必要です。
日替わり定食を提供するためには、「飽きさせないようにメニューを考える」、「いろいろな調理方法が必要」、「季節や曜日や天候などから予測し、材料の仕入れを調整する」、「価格とボリュームのバランスを計算する」、「在庫やロス率を念頭に入れる」。
 
これだけのことが出来て、初めて日替わり定食は成立するのです。
提供する側に、熱意が必要になります。また、技量が必要になります。すなわち、クリエイティヴです。
だから、夫婦・・・個人でしか提供できないのです。情熱ある個人でしか継続できないのです。
 
そして、その定食屋は、『毎日、同じ人に、違うメニューを提供し続けます。』
田舎では半径500M、東京のオフィス街では半径50M圏内の常連さんに、飽きられないように工夫をします。ひと月のメニューを考えます。日替わりとともに、定番メニューも用意します。季節やイベントに合わせたメニューも盛り込みます。
 
そして、1食700円です。これだけのクリエイティヴがあって、700円。
700円を40食提供して28000円、材料比率40%で1日の粗利高16800円です。25日営業して42万円です。
自宅兼店舗の持ち家で、夫婦と1名のパートさんでやってギリギリです。絶対に大儲けすることはありません。
 
毎回違うモノを提供すること、毎回にクリエイティヴが必要となるのではダメなのです。
事業とは、「1回開発された売れる商品を、馬鹿みたいに繰り返し売る」と定義できます。
 
違うモノを売れば、主(社長)の替わりが効かなくなります。社員では出来なくなります。また、お客様を繋ぎとめるために、クリエイティヴを注ぎ続ける必要があります。
 
我々は、日替わり定食とは真逆のものを選ばなければなりません。
 
この定食屋が「大きくしたい。儲けたい」と望むのであれば、私は、次のように提言をすることになります。
 
「一品、名物品を開発してください。」
その一品は、人々の生活に入り込みます。そして、そこそこ中毒性(ヘルシーではダメ。ヘルシーは金にならない)があり、月に数度無性に食べたくなります。
 
それを見つけたら、より多くの人に代わる代わる使ってもらうために、人通りの多いところに店を出します。または、広告です(中毒性を刺激します)。
そして、次の店を出すことです。その時にも、絶対にメニューは増やしてはいけません。
 
要は、ココ壱番屋、伊勢の赤福、リンガーハットを目指せと言うことです。
その調理(提供)には、訓練は必要ですが、クリエイティヴは必要ありません。メニューの入れ替わりも少なく、仕入れも在庫物も「いつもと同じもの」となります。
 
量産現場には、クリエイティヴはありません。そして、多くの人が出来ます。
その癖儲かります。
 
日替わり定食のようなビジネスを下記に例としてあげます。
・システム開発:お客様の社内担当のように企画し、運用の一部までやります。
・技術を提供する:技術的な相談に答える。感謝されて単発で終わる。
・経営コンサルタント:次の課題を聞き出し、なんとか契約を継続する。
・販促会社:ホームページ、SEO対策、カタログなど、次々提案する。
・ユーチューバー:毎回、ネタを考える。どんどん過激にならざるを得ない。
 
『毎回、違うモノを売っている』、すなわち、毎回クリエイティヴな開発が必要であるというところに根本的な原因があるのです。
既存の客に何度も使ってもらうことはできます。その結果、量産の場から「社長」が離れられなくなっているのです。これを「囲い込み」というカッコいい言葉で表現してはいけません。
 
商品をこれ以上開発してはいけません。メニューを増やしてもいけません。
一つをまずは見つけることです。
 
手順は次になります。
1.自社の代名詞とも呼べる商品を開発する。
2.それを、どんどん売りまくる。
3.そして、改善を繰り返し、ノウハウを積み上げる。
4.広告をガンガン打って、その一つの評判を市場に浸透させる。
5.ノウハウと認知度で、他社を圧倒する。
 
冒頭のH社長は、いま1の段階でのたうち回っています。
がんばっています。
 
この産みの苦しみからしか、10億ビジネスのスタートは切れないのです。
がんばりましょう。

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