No.86:社員教育 = 社員への責任転嫁。本当の経営者責任を果たすべき

『矢田先生、経営者責任という言葉の本当の意味が良く解りました、ありがとうございました。』
 
コンサルティングプログラムの最終回を迎えた社長からの言葉です。
コンサルタント冥利に尽きます。
 
そして、
『社員には、本当に申し訳ないことをしていたと反省しております。この数年は、人材育成を我が社の重点課題とし、教育に力を入れてきました。
しかし、会社が成長できない原因は別にあり、その本当に重要なことに私が取組んでいなかったことがよく解りました。』

2年前に当社のセミナーに参加頂いたことがきっかけ
 
その当時、年商6億、社員数30名、特殊金属加工業
会社の業績をよくするために、本気で社員教育に取組んでいました、それもかなりの熱の入れようだったとのこと。

毎月1回1日かけて全体研修を行う、そこでは、社長自らの経営理念に関する講話、そして、人格形成に役立つ雑誌記事の読み合せを行ったうえでのディスカッション、3カ月に一度の外部講師を招いての研修、そして、毎朝、経営理念の唱和。
 
後にお聞きしたことですが、セミナーの参加を決めたのは、当社のセミナー案内に載っていた社員教育に対して「重要度は低い」というような一行を見て腹が立ってとのこと。(それで参加を決めてしまうからさすがです)

その社長のセミナー後のアンケートがあまりにも印象的だったのでいまでも良く覚えています。
アンケートに書かれたコメントは一行、
「私は、経営者責任を果たしていません」と。


矢田は、「事業は仕組みである」ということをしっかり認識して
いただくために、あえて下記のような強い表現でお伝えをしています。


「仕組みに社員を乗せる」
「スタッフが、決めたことを決めた通りにやれば成果が出る状態にする」
「並の人材で回せる仕組みをつくりなさい」
という具合に。
 
これだけを見ると、なんと人としての温かみがないコンサルタントであるかと受け取られてしまうものです。
しかし、社長には、しっかりその間違った考えを改めていただく必要があります。
社長としての本当の仕事、誰にも替わりをさせられない仕事 そして、会社の業績に最も大きな影響を与える仕事を放っているのです。


放っているだけならまだましです
「業績をあげるために社員教育に力を入れる」
これは言い換えれば、業績が上がらないのは社員の責任である、と言っているのと同じです。
厳しい言葉を使えば、責任転嫁です。



社長のもっとも重要な仕事は何か、
大きくは3つあります。
ひとつは、儲かる戦略を立てること
そのためには、外に出て顧客や業界の変化をいち早く察知し、自社の戦略について、社長以外の誰にもできない決断をすることです。
 
そして次に重要な仕事は、それを経営計画書にまとめ、我が社の進むべき方向性を示し、社員に協力を頼むことです。
それにより、社員は、自社の未来とともに、自分の未来に対しても光をみることができるのです。その安心を土台にして、創造性と仕事への集中が出来るのです。
 
そして、加えて、事業と成すために、組織化仕組化を進めます。
その組織化仕組化により、会社は、組織としての永続性と高い生産性を得ることができます。ここでも、社員は「定年まで働ける」という安心を得ることができます、また、高い報酬を得る希望を持てるのです。 
 
この重要なことに対し、取り組まず、社員教育に取組む、こんな間違ったことはないのです。 
 
下記の会社が「社員に申し訳ない」会社の特徴です。
先の特殊金属加工の会社は、まさに下記の状態でありながら、
社員教育に力と資源(経費・時間)をかけていました。
 
●勝てない戦略(正確には、戦略がない)
どんな優秀な人材でも、儲からない市場、即ち勝てない市場では、どうしようもありません。せいぜい並の人材より活躍できるぐらいです。
そんな市場では、顧客からは当然「下」に見られてしまいます。そのため、自分の仕事に対しプライドを持てません、顧客に対しても貢献しているという喜びを得ることができません。
 
●自社の方針が解らない
自社の進むべき方向がない(知らされていない)とは、行先が解らない船の航海と同じです。船長すなわち社長が何を考えているのかも解りません。自分の将来設計も持てないために、絶えず不安な状態です。家族がいればなおさらです。
そして、そんな船の上で安心して仕事を愛し没頭することなどできません。

●組織化仕組化ができていない、取り組んでいない
そんな組織では、同じ問題が何度も起きます。根本的な対策でなく、対処が繰り返されます。そのたびにその社員は顧客からお叱りを受けます。
また、情報がどこにあるのか解らず、仕事の決まり事なども曖昧なために、自発性が無駄となります。その結果、自ら考えることや意見を言うことをやめてしまいます。そして、「教育」という対策がはじまります。 
 
顧客からは厳しいことを言われ、
自分の将来も見えず、
自分の能力も発揮できず、
給与も低い。
 
これが、「社員」の能力の問題でしょうか、
この問題は、「社員教育」で解決するのでしょうか。 
 
社員教育はどっちでもいい、私はこう述べています。
これは、社長に対しての戒めの言葉です、もっと他にやるべき重要なことがあります。
 
いま現在の自社の業績が悪い、伸びないのは、社員が未熟だからでないのです。
 
勝てる戦略があり、仕組化組織化ができている、
この土台の上に初めて、社員教育は本当の効力を発揮します。


まずは、本当の経営者の仕事
社長しかできない仕事に手をつけるべきです。

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