No.138:製本は立派で、見た目も重量も重たいのだが、社内では「軽い」経営計画書、、、その原因は?
「矢田先生、経営計画の部門目標の進みが遅いのですが・・・」
「本当ですね、この計画ですと、2か月前には終わっていなければいけません。どうしてですか?」
「部長が、一向に動かないのですよ」
「次は、何をすることになっていますか?」
「さあ・・・」
経営計画の目標が進まない、管理者に依頼したことが進まない、
経営計画書による経営を始めると、多くの会社でこの課題が表出することになります。
その一番の原因は、「任せすぎ」にあります。
社長が距離を取りすぎているのです。
距離を取りすぎて、突っ込みができていないために、進まなくて当たり前の状態になっているのです。
このような課題の相談を受けた時には、下記の2つの質問を社長にさせていただくことになります。
「次の行動の予定は、何ですか?」
「その期限はいつになっていますか?」
任せすぎの状態では、まずこの質問に明確な解答がありません。
それは、社長とその管理者との間で、具体的な行動と期限という日々の業務レベルまでの共有が出来ていないことを意味します。
そして、多くの会社では、共有どころか、「次に具体的に何をしたらいいのか」、「どう行動したらいいのか」、その管理者が解っていないことがほとんどなのです。
解っていないから、行動できないのです。
そして、また、社長もその進捗を確認しません。約束した期限がきても「あれどうなっている?」と訊かないのです。
社長自身も、忘れていたり、遠慮して訊かないのです。
私のほうから、「社長、もっと突いてください。」と言わせていただくと、よく返ってくる答えに、『教育的な理由』があります。
「彼らに任せているから様子をみている」、「彼らが考えて持ってくるのを待っている」、「彼らがやる気になることを期待している」
これでは、実務として進まなくて当たり前です。
社長は、管理者と具体的な行動と期限を共有すること、そして、進捗を確実にチェックすることが必要です。
ここまで説明させていただくと、「そこまでやらなければダメですか?」と訊かれます、
それに対し、私は、「はい、やらなければダメです」ときっぱりと返させていただきます。
社長は、具体的に次の行動をその管理者と確認をします、
その確認の過程で、社長の方針を伝え、お互いのアイディアや考えを出し合います。
そして、その目標達成のために、日々の行動レベルまで落とし込みを行います。
それに期限を設け、「そこまで出来たら私に見せてくれ」と依頼するのです。
そして、その期限が近くなったら、「あれ、進んでいますか?」と訊くのです。
ここまでやって初めて、経営計画の一つの目標が、進むことになります。
そして、その管理者の行動が、具体的な成果に繋がることになるのです。
このプロセスを一緒に経験することで、管理者は社長の考え方を学ぶことができます。
そして、社長の経営に対する真剣さと、その一つの目標の重要性を感じることができます。
また、「具体的な行動に落とす」、「期限を設ける」、「進捗をチェックする」という部下のマネジメントの仕方を体験として学ぶことになります。
その結果、その管理者が部下を持った時には、同じような「距離感」で部下を指導することになります。
部下と一緒に方策を考える、具体的な行動に落とし込む、確実にチェックする。
その結果、会社全体で経営計画の目標が達成されることが、「通常」となります。
毎期毎期立てた目標が、各部で実現されていくのです。
それにより、会社はスピードを持って変化成長することができます。
それに対し、距離が遠い社長の元では、目標達成が進まないだけではなく、経営計画の目標のその存在自体が、「軽く」なります。
社長も具体的な行動を訊いてこない、「任せたぞ」で終わり、その期限になっても突かれることはない。
だから「軽い」のです、「軽く」見られるのです。
そして、その管理者は、その部下に対しても同じようなマネジメントをすることになります。
「任せたぞ」で目標を与えるが、行動を一緒に考えない、期限が来ても突かない。
そして、社長に進捗を訊かれた時には、「〇〇君には、何度もやれとは、言っているのですが・・・」という回答をすることになります。
その結果、その会社全体のあらゆるところ、あらゆる部門で、経営計画やその目標が、「軽く」なるのです。
そして、毎期経営計画と目標を立てるものの、達成されないことが「通常」となります。
私は、製本は立派で、見た目も重量も重たいのだが、社内では「軽い」経営計画書を何度も見てきました。
距離感を間違えないこと、任せすぎないこと。
部下や管理者と、一緒に方策を考え、具体的な行動を明確にする、
そして、日々愚直に行動すること。
それにより、会社は成長し、人も育つのです。
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