No.137:「昔からいる幹部をどうするべきか?」、経営幹部を選ぶ基準

「昔からいる幹部が、追いつかなくなってきています」
 
コンサルティングの場で受けたご質問です。
仕組化を進めると、各役割や業務、すべてに基準が出来ます。
その結果、優秀な社員が、誰の目から見ても明確になります。
その一方で、できない社員も明確になります。
 
仕組みの改善ができない、部下の管理ができないなど、成長していく仕組みの中で、昔からの幹部が、求められる役割をこなせないことが明確になってしまうのです。
そして、より若くて優秀な人材が下に入ってきます。それも、より安い給与でです。
 
その結果、その昔からの幹部の存在が、成長のブレーキになることになります。
「その昔からの幹部をどうするべきか」、成長する過程で、必ずこの課題にぶつかることになります。


経営幹部の人選や優秀な社員と呼べる、根本的な基準を確認しておきます。
この基準を持って、登用する社員を観ることになります。
 
その基準とは、『角度』です。角度が有るかどうか、です。
この角度のことを、成長意欲とも表現できます。
 
この『角度がある人』の特徴は、「自分で課題を発見し考える」、「好奇心が旺盛」、「仕事にやり甲斐を求める」、「自分で勉強する」というものです。
この角度のある人材を得ることができれば、会社は急速に伸びることができます。
社長としても、この人材に、考える業務を分け与えることができます。
 
逆に、この「角度を持たない人」や「角度が低い人」ばかりだと、いつまでも社長は、具体的な指示をいちいち出すことになります。
また、考える業務を渡すことができず、いつまでも頭はパンパンになります。
 
冒頭の、昔からの幹部は、この『角度が低い人』と言えます。
残念なことに、この『角度』は上げることはできません。
この『角度』は、その人の生き方であり、生きる力そのものだと言えます。
この『角度』については、若いころに(小学生までに)、かなりの部分が形成されています。
もし変えることができるとすれば、それはその本人だけなのです。
 
そして、多くの会社では、この『角度の低い人』を育てようとして、その多くを消耗していると言えます。


経営幹部を選ぶ際には、この『角度』という軸で人を観る必要があります。
この軸の前では、今現在の能力などは関係ありません。
「特殊な設計ができる」、「大手商社で営業をやっていた」、「エリアマネジャーの経験がある」という過去の経験は、いち要素でしかありません。
その経験や能力が有ったとしても、その『角度』がなければ、その人は数年で「物足りなく」なります。
 
企業というものは、絶えず変化、成長するものです。会社でやっていること、すべてのことが、すぐに過去のものになってしまうのです。
会社と同じ角度、近い角度で成長する人材しか、ついてこられなくなります。
そして、時間の経過とともに、その差は大きくなるばかりです。
 
会社が成長する時には、『角度がある人材』を引き上げることになります。
これを「抜擢」といいます。
「抜擢」する規準は『角度』しかありません。その人材のこの先の伸びる角度を買うのです。
 
「角度」で観た時に、「若さ」は抜擢を躊躇する理由にはなりません。
それどころか、これからの時間の長さや若さゆえの吸収力や行動力から、「若さ」は、抜擢の大きな理由になります。


「角度で若い人を抜擢する」とは、社内だけに限ったことではありません。
同じ角度の経営者と食事に行く(年齢は関係ない)
起業家の面倒をみる
若いコンサルタントを使う
 
銘経営者ほど、「若く」「角度」のある人と付き合うことを選びます。
その時、その人を今現在で観ることはしません。
どんな時も自分の回りには、「角度の高い人」を置こうとします。
「角度の高い人」と話すことは、それだけで楽しいものです。外でも、社内でもそういう人材がいることは、最高に楽しいことです。
 
逆に、この世で「角度が低い人」との会話ほど、つまらないモノはありません。
社内に、角度を共有できる人がいない、ことも辛い。
しかし、これは仕組化を進めることで、必ず解決されることになります。そのような人材が現れます。
くれぐれも、その時に「人」に向かってはいけません、淡々と仕組みを整備するのです。
 
「角度が低い人」に向かうと、恐ろしく多くのものを消耗することになります。社長であろうとも、時に、会社に行くのが嫌になることがあります。


古くからの幹部をどうするべきか?
最後に、この質問にお答えすることにします。
 
新しい役割をつくることです。
人には向く向かないがあります、適材適所です。
その幹部にも向く仕事は必ずあります。
 
・安全部長に任命する
・店舗の巡回や定期監査員
・専務の肩書で業界の会合に参加してもらう
 
これらの役は、会社の規模が大きくなるとともに必ず必要になります。
 
私のゼネコン時代、支店から安全部長が2カ月に一度、現場に安全パトロールに来られました。
その時にいつも「矢田君どうだ。」とやさしく声をかけていただいたのを今でも覚えています。
地元から遠く離れた九州で、毎日深夜まで働く自分にとって、それが励みになりました。
 
 
会社の今も昔も社長がつくってきたもの、それらすべてを背負い、これからの未来をつくるのが社長の役目です。
頑張りましょう。

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