No.176:組織は「社長の力」では動きません。組織や人を動かすただ一つのものとは!?

コラム№176

「矢田先生、今1億円の案件の見積もりをつくっています。」
 
空港にお迎えに頂いた車内でのT社長との会話です。
電気工事業T社長は、続けられます。
 
「今まで年商2、3億の会社が、一案件1億の工事の見積もりですよ。それも、数件あります。数か月前には、想像もしていませんでした。」


「上場します」、「業界で上位3社には入りたい」、「〇〇地方でNO1に」、「年商100億」と、目標を公言する社長がいます。
 
その当人はいたって真面目に話しているのですが、その周囲はあきれています。
何をばかげたことを、夢物語を言って、現実をみろと。
 
そのような社長の目標をお聞きする時、私は、それを当然のこととして受け止めています。そして、少し安心をします。
なぜならば、私がお会いし、関わらせていただいた社長や、すでにそれを実現された社長は例外なく、そのような方ばかりだからです。
 
これを正確に表現すると、「そういう社長しか、その結果を得られなかった」となります。
 
その人が得るもの、その結果は、その本人が何を望むかによって変わってきます。
何を目標とするか、どれぐらいを目標として設定するかで決まってきます。
 
年商2億の会社が、年商3億を目標にすれば、3億になります。
年商2億の会社が、年商10億を目標にすれば、10億になります。
 
その具体的な目標の設定により、取られる手は、より具体的になり、より限定的になってきます。社長の思考は、すべてをそれに向けることになります。
毎日24時間を使い「年商3億」に向かうために考えるのか、「年商10億」に向かうために考えるのか、の違いとなります。
そして、その結果として、考え方が変わり、行動が変わります。降ってくるアイディアも変わります。
 
社長自身としての考え方や行動を、年商3億に向けるのか、年商10億に向けるのか、それを選ぶ必要があります。
年商3億に向ければ、社長の考え方も行動もそれに最適化されます。年商10億を選べば、やはりそこに最適化されます。
 
人の思考も行動も、設定された目標に最適化されるのです。
「プロのサッカー選手になりたい」、「設備のエンジニアになりたい」、「教師になりたい」、と強く思えば思うほど、すべてが最適化されます。
時間の割り振りはもちろんのこと、食べるもの、読む本も変わります。付き合う友人も変わります。そして、集まってくる情報も変わります。
 
これと同様に、社長も設定する目標により、すべてが最適化されることになります。参加するセミナーも、読む本も当然変わります。付き合う経営者仲間も変わります。新聞の読み方も変わります。その結果、近寄ってくる人材や降ってくるアイディアも変わってきます。
 
 
何に自分を最適化するのかを選ぶ。
年商3億でも、年商10億でも間違いではありません。どちらに向けても、そこには成長があります。一番不味いのは、「何も決めない」という状態です。
何も決めないという状態は、自ずと十全な毎日をもたらします。
思考は定まらず、行動は何となくとなり、気持ちは満たされない状態になります。
最適化される指針がないのです。
 
何かを決めること、とりあえず決めることです。
自分を何に向かわせるのか、自分を何に最適化するのかを。
 
そして、どうせなら、大きな目標を設定するようにします。
大きな目標には、大きな思考が伴います。大きな行動が伴います。
そして、大きな成果につながります。
 
・冒頭の電気工事業T社は、年商2、3億でした。
それが、数か月後には、1億の案件の見積もりを複数抱える状態になっています。
数か月前は、仕事がなくて困っていました。
 
・専門コンサルタント業K社は、通常1案件300万円だったものが、6千万円の案件をこなすようになりました。
 
・食品メーカーS社は、年商7億4千万が、2年後に10億目前になりました。
そして、S社長は、「今の事業では18億が限界ですね。」と、次を見据えた言葉を述べています。
 
成果は、設定する目標に応じて変わります。
逆に、小さい目標ほど、成長を阻害する要因はありません。
「プロのサッカー選手を目指す」のか、「チームでレギュラーになりたいのか」、それとも、「サッカーをやりたいのか」では、やはり得るものが違うのです。
 
小さく考えるのは、勿体ないのです。
小さな目標を設定すると、小さな考え、小さな行動になります。
どのみちその目標は、叶います。だから、大きく目標は設定するべきです。
『社長』として、自分のすべてを、何に最適化するかを、決めてください。


年商10億を目指すのであれば、「目標」の使い方を覚える必要があります。
一つの目標が社長自身を動かすのと同様に、目標が組織を動かします。
 
組織に目標を与えた時に、組織はその目標に向けて最適化するように動き出します。社員は、そのイメージに添うように自分を変えていきます。そして、仕組みを整備し始めます。
 
当社は、「業界で一番安い商社」を目指すのか、
それとも「業界で一番品揃えが多い商社」を目指すのか、
それとも、「業界で一番専門的なアドバイスを提供できる商社」を目指すのか、
そのイメージに沿って、組織は最適化されます。
 
「安さ」を目指せば、社員は「大量仕入れ」について取り組みます。
「品揃え」を目指せば、「アイテムの調査」に頑張ります。
「専門的なアドバイス」を目指せば、「研究」や「勉強会」に時間を割きます。
 
社長は、組織を動かそうと考えてはいけません。
それは、動力のない車を動かすようなものであり、重いものになります。
そこには、大きな力が必要になります。
カリスマ性、リーダーシップ、アメとムチ。それらは、本当の推進力には成り得ません。
社長がいなくなれば、すぐに停滞します。いずれ社長は疲れてしまいます。優秀な人材を入れても同じです、その人材がいなくなれば社長が元に戻ることになります。
 
 
目標です。組織を動かすのは、目標なのです。
組織が目標を得たとき、推進力を発揮するエンジンを持つことになります。
組織は、具体的でイメージできる目標を得たときに、初めてその本来持つ馬力を発揮します。
 
社長は、「目標の設定の仕方、目標の与え方」を覚える必要があります。
その習得なしに、組織の活用も、年商10億もありません。
 
これは人や部門に対しても同様です。
社長が、人や部門を動かすのではないのです。社長が与える具体的でイメージの持てる目標に向かって人や部門は動くのです。
 
世の多くの人は、自分で自身の目標を決められません。
「何か、目標がありますか?」と訊かれても、9割以上の人は答えられません。
決められずに生きています。
そして、そんな多くの人たちは、誰かの目標に参加したいと思っています。
その誰かの目標に参加することで、自分も輝ける、充実した毎日を過ごしたいと願っています。
だから、会社に就職します。組織に参加します。そして、その成功にあやかりたいとも思っています。
そこでは、誰かの示した目標に参加することも、すがることもできます。人生をかけて、打ち込むこともできます。
 
社長は、組織に対して具体的でイメージできる目標を示す必要があります。
それは、声明でもスローガンでもありません。
それにより、集まった社員は、ワクワクすることができます。自分の未来を希望のあるものとして受け止めることができます。
 
そのためにも、社長が、組織を何に最適化していくのかを決める必要があるのです。その前に、自分自身を、どんな目標に向かわせるのかを決める必要があります。
 
「上場する」、「業界で上位3社」、「〇〇地方でNO1」、「年商100億」
まずは、これを口に出してみてください。
紙に書いてみてください。何かが、はじけるはずです。

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