No.200:人がなかなか育たない、そこには致命的な間違いがある! 人口8万の過疎の町には、優秀な人が沢山いた!?

コラム№200

「こんな田舎の町にも、優秀な人が沢山いることが解りました。」
 
R社は、年商10億に向けたビジネスモデルが見つかり、いよいよ本格的な仕組みづくりに移行しています。そこで、人材を求めました。
 
「矢田先生、この履歴書を見てください。この方は、〇〇大学を卒業しています。こちらの方は、あの〇〇社で研究職という経歴を持っています。」
 
机の上には、履歴書が10枚ほど並んでいます。
R社長の晴れた顔に、私も嬉しくなります。


年商数億の社長が、年商10億のビジネスモデルを見つけられた時には、そこには全く異なる風景が見えるようになります。
他社のビジネス、多くのチェーン店、日経新聞の記事、同じ経営者仲間との談義、すべてが全く違うレベルで見えるようになります。
 
年商10億のビジネスモデルの条件の代表核の一つに「価値変換」があります。
モノではなく、価値でビジネスを定義づけることがスタートとなります。
 
花でもなく、包装資材というモノでもなく、「贈り物」としての花束を売ります。
「贈り物」という価値を売ることで、原価1,000円のものを3,000円で売ることが可能になります。
 
そして、ただ花束を売るのではなく、母の日やその人にとっての結婚記念日が近づくと、そのお知らせとお薦め品が届くサービスを展開します。その結果、入った注文は、その地域の加盟店に発注します。
その時には、自分たちは「花束」も扱っていないことになります。
花束をリアルで扱えば、年商1億。このサービスを展開できれば、年商5億まで行けるだろうと考えています。
 
この時には、事業定義が全く違っていることになります。
うちは花屋か?NO!「個人に花を売るサイトの運営屋。」
もっと正確に表現すると、
「忙しい毎日を過ごす、記念日に感謝を伝えることを大切にする人をサポートする花サービスを展開する」
「地域で頑張る花屋さんと、その地域で感謝の気持ちを受け取る人をマッチングするサービス」
こんなところでしょうか。
 
 
そのビジネスを行うために何が必要か。
年商10億へのビジネスモデルが見つかった時には、その事業を行うために必要な機能が明白になります。WEB上で個人の登録を獲得する集客機能、登録後に実際に使ってもらうための販売機能、加盟店を増やすパートナーの開拓機能、その加盟店の質を担保する機能、、、、などなど。
 
すると、その機能を満たすためへの具体的な行動に移せるようになります。
どんなサイトが必要になるだろうか。贈り物をする個人をどう開拓すればいいのか。加盟店をどう増やせばいいのか。その契約体系はどうあるべきか。
 
そして、各機能すなわち仕組みの発展を担うための部門をつくることになります。その部門には、実作業というよりは、その構築と改善を担ってほしいのです。
 
そのための人材を求めることになります。
その業務には、その分野の専門的なスキルをもった人材が必要になります。
その求める人は、いままでとは全く異なる「種族」になります。
 
繰り返しの作業の実行は求めていません。ただ真面目なだけでもダメです。いままでのような花束の製作や梱包、発送業務ではありません。それらの業務は、外注化も検討できます。
これからの自社に必要となるのは、考え、何かしらの仕組みがつくれる人です。サイトや集客の仕組みを一緒に立ち上げられる人。加盟店と受発注の業務の流れや契約体系を構築できる人、となります。
 
年商10億のビジネスモデル変換は、すべてを明確にします。
必要な機能、必要な部門、必要な人と人材。
逆を言えば、それが見つかるまでは、必要な仕組みも必要な人材も固まってこないのです。
 
 
そして、すべてが明確になった時、社長は愕然とすることになります。
『当社には、それができる社員が全くいない。』
それは当然です。いままでそんなつもりで採用をしてきていません。
いままでの『社員』の定義とは、全く違うのです。
 
いままでの社員の定義は、「作業」をする人です。伝票を入力する、梱包し発送する、これが社員の仕事でした。
これからは「仕組み」をつくる人が社員の定義なります。マニュアルをつくる、外注業者をコントロールする。
これをそれぞれこう表現することができます。「仕組みにのる人」、「仕組みをつくる人」。これからの自社は、考える人、仕組みをつくる人ばかりで構成されることになります。
 
年商10億への変換は、社長の「目」を大きく変えてしまいます。
そして、自社の定義を変えてしまいます。そして、会社のステージを大きく上げてしまいます。
 
・電気工事屋が、大型電気設備の調査から設計、施工計画までのコンサルタント会社になりました。年商3億が翌年には年商12億になりました。
・受託開発システム会社が、ある業界向けのパッケージシステムを売るメーカーになりました。狭い市場ですが、3年後には、シェア一位となっています。
・「地域の熱意のある個人経営の学習塾」が、「成績を上げるノウハウのある学習塾を展開する本部」となります。現在22店舗目のオープン準備中です。
 
そして、その展開のスピードも変えてしまいます。そこでは、例外なく『社員の定義』の変化が起きています。


『社員が育たない』という課題を、年商数億の企業は持ちます。
管理を任せるマネジャーがいません。仕組みづくりを一緒に進められる社員が、育っていません。
その原因は明確です。
それは、「素養のない人」を育てようとしているからです。
 
冒頭のR社のいままでの事業では、「社員」の仕事は「作業」でした。
R社長は、いままで自社の社員に対し、不満を持つことはありませんでした。
社長が考え、作った仕組みの上で、真面目にしっかり業務をこなしてくれれば十分でした。しかし、10億への道が見えた時、大きな変化が起きました。
 
そして、彼ら『社員』に指示を出しました。
「WEB集客について意見を出してください。」、「新商品開発を誰かにやってほしい。」、「マニュアルをつくってほしい。」
そして、そのための外部の研修や視察にも行ってもらいました。
 
それらをしても、何も変わりませんでした。
出てくる意見はどれも稚拙です。提出されたマニュアルも数行しか書かれていません。そのレベルの低さに、頭を抱えるR社長でした。
 
結果、彼らが「作業員」から変わることはありませんでした。
それを、R社長は嘆いていました。「どうして育たないのか。どうして変われないのか。」その思いを矢田にぶつけました。
「先生、彼らを育てるために、これ以上何をすればよいのか解りません。」
 
矢田は、「育てることはできませんよ」と、お答えしました。例えを挙げさせていただきました。
・土木作業員で募集し、採用した人を、設計担当にできるか。
・倉庫での梱包作業員に応募し、そこで数年働いた人を、仕組みをつくる方に引っ張ることはできるのか。
 
これはどんな業種でも起きます。
看護師や塾講師、SE、スポーツジムのトレーナーこれらも基本は「作業員」なのです。
我々は、「作業員」を募集し、「作業員」として応募してきた人を「作業員」として採用しているのです。そして、今日まで「作業員」の仕事を与え、「作業員」として育ててきてしまいました。
そして、その人を、変えようとしているのです。考えられる人に。仕組みを作れる人に。
 
もともと素養のない人、そして、こちらに興味のない人を、「管理者」や「仕組みづくり」に巻き込もうとしているのです。
素養の無い人を、育てるのは無理なのです。
運動神経が悪い、休日は家で過ごすことを好む人を、サッカー選手にするようなものです。人の体に向き不向きがあるように、人の頭や心にも向き不向きがあります。
 
 
私たちは、素養があり、その道に興味を持っている人を集めることが大切です。
それができて初めて、当社の育成プログラムも真価を発揮できるのです。
 
スターバックスの接客はいいですね。
それは、その育成プログラムが良い、というのもありますが、それ以上に、素養のある人を集めているという前提があるからです。スターバックスの接客のイメージに惹かれ、または、苦にならないからこそ、応募してきたのです。
その接客スタイルが嫌であったり、人付き合いが嫌だったりと思う人は、寄ってきません。そういう人は、工場や裏方の仕事を探し、応募しています。
 
我々は正しくメッセージを発しなければなりません。
「我々は何屋であるのか」、「何の業務を担ってほしいのか」を何かしらの媒体を使い、届けなければなりません。インテリジェンスを求めるのであれば、それを謳わなければなりません。
特に、我々のような認知度の低い会社に対し、世の中の人は、明確なイメージを持てません。発信するイメージをコントロールする必要があります。
 
そして、その素養がある人を集めます。
その素養のある人に、明確なミッションを依頼します。その仕組みづくりのために一緒に意見を交わし、進めるのです。いま必要なのは、そんなチームです。
 
 
R社長、今回の募集で、採用の方法やその記載内容を大幅に見直しました。
欲しい人材、担ってほしい業務は、明確です。
明確なゆえに、その書かれた文章や選ばれた写真も強いものとなります。
 
その結果、10名の応募がありました。
その多くは、女性です。R社長は言われます。
「この人口8万人足らずの過疎化が進む町では、優秀な女性がその能力を活かす場が無いのです。彼女たちは、高い能力や素晴らしい経歴を持っています。当社が、これから、この地域のそんな優秀な人が忌憚なく能力を発揮できる場となります。」
 
 
素養のある人を、集めること。
これが、人材育成の要所になります。そして、適した業務を与えること。
 
年商数億の企業では、作業に適性を持つ人に、考える仕事を与え、潰しています。
そして、優秀な人に短調な作業を与え、同様に潰しています。
 
我々には、責任があります。
自社は何屋か、それを正しく発信する責任があります。
当社は、花屋である。花束をつくることに、喜びを感じる人よ来てください。
当社は、個人に対し花を贈るためのサービスを提供するWEBマーケティングの会社である。WEBに関する企画や仕組みづくりをしたい人よ来てください。
 
明確なメッセージに、優秀な人は集まります。
年商10億への変革は、それを可能とします。

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