No.226:優秀な人材は「元」から優秀。その優秀な社員を活かす会社の絶対条件とは?

№226:優秀な人材は「元」から優秀。その優秀な社員を活かす会社の絶対条件とは?

「矢田先生、良い報告が二つあります。」
席に着くとすぐにK社長は、話し出します。
 
「一つは、年間3億円が3年続く案件が決まりそうです。」
K社は、特殊加工業、直近の年商は3億です。K社長は、その仕事量をこなすための工場の獲得に動き出していました。
 
「もう一つがさっきの彼です。優秀なのです。」
入り口で私と会うと、要件を訊き、案内をしてくれた彼のことです。
 
少し間をあけ、K社長は言われます。
「どちらも準備していたことですが、驚いています。」


人の評価は、環境との相性で決まります。
その置かれた環境に合っていれば、優秀。合っていなければ、優秀でない。
与えられたミッションや業務内容に、その人の特性や能力が合っていれば、優秀となります。
 
アイディアマンで行動力のある彼は、新規事業やイベントの企画運営では、その力を忌憚なく発揮してくれます。彼も、楽しそうです。
仕事はハードですが、苦痛ではありません。
そして、周囲の評価は、高いものになります。
 
そんな彼も、精密さを求められる検査工程や事務部門に入ると、話が違います。
細かいこと、繰り返し作業に喜びを見い出せません。残業もなく肉体的には楽ですが、性に合いません。段々、元気が無くなってきます。ミスも多くなります。その結果、周囲の評価は低くなります。
 
どんな人も、自分の適性を知らなければなりません。自分が活かせる場所、自分の土俵のつくり方を学ばなければいけません。
 
会社は、そのような「誰もが持つ特性」を活かすことが必要になります。
人を観る力、人を伸ばす仕組み、そして、その能力が発揮できる環境を整備していきます。
 
 
我々は、「どのような社員が優秀なのか」という基準を持つ必要があります。
今、自社には何が不足しているのか。これから年商10億を目指す上でどんな要素が必要となるのか。そこから、必要となる人材の基準が導き出されることになります。
 
年商10億を目指す我社に必要となる人は、大きくは以下になります。
 ・課題を発見し、仕組みをつくれる人
 ・ミッションクリアのために、スピードを持って行動する人。
これが、我々年商数億の企業にほしい人材の基準です。そして、これが優秀の定義になります。
 
この基準で人材を求めることになります。
私は、多くの企業で、多くの社員の「入りと出」に立ち会いました。
 
コンサルティングに訪問すると、紹介を受けます。
「矢田先生。この度採用した〇〇君です。幹部候補として入ってもらいました。」
そして、数か月後にお会いする時には、社長の顔は曇っています。
「彼を、どうすれば活かせるでしょうか。」という相談の場になります。
そして、数か月経つと、さらりと報告があります。「辞めました。」
この入りと出の瞬間に、数十回では済まないぐらい立ち会いました。
 
よくご質問を受けます。
「どうやったら、優秀さを見抜けますか。」
これほど答えに困る質問はありません。
なぜならば、優秀な人は、少し話せばすぐに解るからです。優秀な人には、オーラがあります。目に力があり、インテリジェンスを醸し出します。
もし、それが解らないのであれば、その人は優秀ではないということです。または、こちらに「優秀」の定義がないか、のどちらかとなります。
 
面接の場で、確認をします。
「経験された〇〇の業務の要所はなんですか。」、「どんなマニュアルつくってきましたか。」、「今何の本を読んでいますか。」
質問をつくることは難しくありません。「考えて仕組みをつくれるか」と「考えて行動をしてきたか」を軸に、それを観るために質問をぶつけます。
面白いもので、本当に優秀な人ほど、自分を着飾ることをしません。相手に自分を強くPRすることもありません。淡々としています。
 
人を観る時に、必要となるのが、自社の「優秀」の定義です。こちらの求める要素です。求める要素が明確にあると、その質問をつくることや、その答えに対する評価は自ずと解るようになります。
 
「どんな質問をすれば良いか解らない」、「何を観ればよいか解らない」という人に、『優秀の定義』を御聞きすると、やはり回答が曖昧なのです。ずばりと応えられる人はいません。『優秀の定義』がない人に、優秀な人は見抜けないのです。
 
そして、実際に働いてもらうと優秀であることを確認することができます。
依頼します、「これから教わる〇〇の業務をマニュアルにまとめてください。」。
すると、すぐに今までの社員とはレベルが違うことに驚くことになります。
びっしり書かれたマニュアルがあがってきます。
 
優秀な人が共通して持つ力があります。
それは、「強引に文章を起こす力」です。
マニュアルの作成を依頼すると、どーっと文字を起こします。そして、「これに意見をください。」とぶつけてきます。
文章を書くためには、「創造力」と「論理性」と「強引さ」が必要です。力づくで文章を起こすのです。出されるものは、こちらの想像を超えています。
 
これが、優秀でない人は、どれも持ち合わせていません。
創造力が乏しいために、書いていることが表面的なものになります。ロジックでないために、整理されていません。そして、圧倒的に文章量が少ないのです。
それを見て社長は思います。「ここまで、言わなければいけないのか」。
 
これから、御社に必要なのは、『本当に優秀な人材』です。
そのためには、『優秀な定義』を明確に持つことです。


優秀な人材を採用できたと確信できたK社長は、入社してすぐに、彼を他の社員とは違う扱いをしました。
「出社したら、まずは事務所に上がってください。それから、現場に入ってください。そして、帰りも少しでもいいから机に座ってください。」
 
そして、具体的なミッションを与えました。
「3か月は現場に入って一連の作業を覚えてください。そして、その教わった作業をマニュアルにまとめてください。」
 
彼は、同じ製造業に居たとしても、この業種は全くの未経験です。
その作業を覚えながらも、「マニュアル化」というミッションを与えました。
彼は、次々とマニュアルを起こしていきます。力ずくで起こしていきます。
そして、他の工場の社員に、マニュアルを確認してもらい、意見を求めます。
彼を中心にし、他の製造スタッフが意見する様子が見られます。
 
社長は、その能力と動きに驚きました。そして、他の工場スタッフも彼を認めることになりました。認めるも何も、「自分たちとは格が違う」という認識です。
そして、その姿は、「飄々」と「坦々」としています。
 
本当に優秀な人は、どんな環境でも、浮いて出てきます。出てきてしまいます。
どんな環境でも学びます。そして、どんな環境でも動こうとします。優秀な人は、「元々」優秀なのです。
 
そして、環境を得た時に、その力を忌憚なく発揮します。
 
K社長は、言います。
「年間3億の案件を、1年前の私なら受け取ることができませんでした。きっと、反射的に断っていたはずです。その話を聞いた時、瞬時に当社にやらせてくださいと出たことに驚いています。」
 
そして、続けられます。
「彼のことも受け入れられなかったはずです。」
 
年商3億にいかない企業が、3億の案件を取りに行く。
それを聞いて「馬鹿な」と思う人はいます。
K社長には、それを受け入れるだけのものが備わっていました。
だから、その機会をチャンスに変えられたのです。反射と言っていいほどに、「うちがやります」の言葉が出たのです。
準備のできていない人は、それを掴めません。それどころか、それがチャンスだと思いもしません。
 
そして、K社長には、優秀な社員を活かす準備がありました。
面接で一目会った時に、すぐに「優秀」と解りました。いまの自社の「優秀の基準」にぴったりです。とっさに、条件も良くしました。
そして、最初から、「別業務」を与えました。他の社員にも、「彼は、別部門」と紹介をしています。
 
K社長は言葉を続けます。
「以前の自分なら、彼をいままでの工場スタッフ同様に扱っていたでしょう。また以前の自社なら、彼の能力を持て余していたことでしょう。」
1年前のK社は、特殊加工の『工場』です。社長以下、工場スタッフで十分回っていたのです。今目指しているところは、特殊加工技術を保有も開発もする会社です。工場は、あくまでも「生産工程」なのです。
だから、優秀な人材が、欲しかったのです。
 
K社長は、その通り過ぎる機会(彼)を認識することができました。そして、掴むことができました。掴むどころか、すがったのです。
そして、その優秀な社員も、自分を活かせる環境を得ることができました。
彼を活かしたのも、K社長なのです。
 
社員にとって、『環境』とは、社長です。
社長という環境次第で、その人は、「優秀」にも、「優秀でない」にも、評価を変えることができるのです。実際に、彼が居た前の会社は、彼を「手放した」のです。
 
多くの会社では、優秀な人がいないのではありません。活かせてないのです。
多くの業界では、チャンスがないわけではありません。見い出せてないだけなのです。
 
社員にとっての環境とは『社長』です。
社長にとっての環境とは『自分』です。
自分の見える世界が、自分の受け入れられるものだけが、自分の環境なのです。
それを拡げることでしか、次には進めません。

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