No.242:会社の改革は、どのように進むのか。会社を大きく変えるために、絶対に必要となる2つの条件とは、ずばり!
面談では、経営計画書をみせていただいております。
経営計画書のつくりをみれば、どのような経営をしているのか、どのような問題が起きているのかが、ある程度予測がつきます。
「矢田先生、いかがですか?」
システム業F社長は、医者に病状を聞くように訊きます。
経営計画書の1ページ目には「改革」の文字があります。
今期は、「改革」の年のようです。
矢田はお聞きします。「具体的に改革とは、何をするのですか?」
「本を出したいのですが。」と同業や士業の方から、相談されることが多くあります。私自身も、出版を機にステージを上げられたと実感しています。ぜひそうされることを願って、次のようにアドバイスをさせてもらいます。
「まずは企画書を作ってみることです。」
企画書を作ることが、起動スイッチになります。世の中の書籍を気にするようになります。題名の付け方、構成など、いろいろな疑問が浮かびます。そして、潜在意識も動き出します。運動中や家族で団らん中にアイディアが降ってきます。
ある期間集中して、文字化に向かうことが必要です。しかし、この文字化は、苦しさを伴います。それに答えはなく、自分で生み出さなければなりません。これだというものを掴めるまで、悶々とすることになります。
そのため多くの人が、実際には企画書をつくろうとしません。本を出して成功したいと言いながらも、机に向かいません。苦しいことから避けてしまうのです。緊急性が無いだけに、後回しにしてしまいます。その結果、多くの人が、本を出せないどころか、自分のステージを変えられないでいます。
無理矢理でも、文字にするかどうかです。難しくても、解らなくても、机に向かい続けるかどうかです。1回机に向かった分だけ、少し進むことができます。それを続けている以上、いつかは出来ます。止めた時に、途絶えます。
無理矢理の文字化に向かうかどうかが、その後を大きく分けることになります。自分の人生をどんどん上げていく人は、この「無理矢理の文字化」に向かい、そして、利用します。
会社の中のすべての変化は、文字化から始まります。何かを変える時、何かを始める時には、文字を起こします。ホームページの製作も、お客様データベースの改善も、始業時間の変更も、同じプロセスを踏む必要があります。
その担当者は、その施策や改善の趣旨を明確にします。「新規顧客からの資料請求を増やす」、「取引会社の始業時には、対応が出来ているように始業を早める。」と。そして、そのための補足や予算、スケジュールなども、文字化します。
そして、それを社長や上司に見せます。それにより、沢山の意見がでます。文字があるおかげで伝わり、意見も出ます。そして、認識の合意も作れるのです。
そして、その展開の際も、関係者に文字で説明します。その行動も力強く、精度も良くなります。進捗は、その資料を見返すことで、確認できます。
組織での取組みのすべては、文字化から始まります。また、その実行の中心も文字にあります。そして、その文字が具現化されるのです。
ホームページから資料請求が来ます。お客様データベースは改良され使いやすくなりました。全員が変更された始業時間に出社します。
社長は、文字を使い、組織を作り変えていきます。各部各課も文字で統制が取られます。その中心が、経営計画書になります。社長が文字にするからこそ、それを各部門や担当と共有でき、社内の仕組みの改良が進むのです。
「今期は何を変えるのか」を文字にします。「今月何をするのか」を文字にします。そして、依頼し実行実現していく。その繰り返しで、会社は変化していきます。その変化の積み上げで、会社は驚くほど大きく変化しています。
その結果を、「改革」と呼ぶことができます。振り返ったとき、あの何年かは改革の期間であったと思えるのです。周囲からも「あの会社は変わった」と言われるほどになっています。しかし、その瞬間があったわけではありません。
改革とは、瞬間点ではありません。ある期間を通じて進むことといえます。状態であり、その様を指します。ドラスティックなことは全くありません。それは、静かに、坦々と進んでいきます。
冒頭のF社の経営計画書の1ページ目には、「改革」の文字が有りました。矢田はお聞きしました。「改革とは、具体的に何をするのですか?」
やはり具体的な施策は返ってきませんでした。F社長は言われました。
「何かを変えなければいけないと焦っています。しかし、正直何からやれば良いのか解らないのです。」
経営計画書に「改革」という文字を入れただけでは、改革は起きません。改革とは、坦々と取り組んできた結果なのです。「今年は、改革の年だ!」とは、全く改革の本質を分かっていないと言えます。
多くの会社で、改革という言葉がスローガンになっています。そして、毎期使っているため、すごく「軽く」なっています。必要なのは、具体性です。具体的に何をどうつくり変えていくかという方針なのです。
その後、F社長は、一つひとつ再構築を始めました。事業モデル、仕組み、やることはいっぱいです。それ以上に、考え答えを出さなければならないことが沢山あります。
それらは、いままで考えたことが無いことばかりです。だから、ここ数年年商3億円で止まっていたのです。矢田の説明を受ければ、理解もでき、自社にそれが必要なことも解ります。しかし、難しいのです。苦しいのです。無いものに何かしらの答えを出すことは、大きなストレスなのです。
ターゲット顧客を誰にするのか、当社の品質はどうあるべきか、値決めはどうあるべきか、それらすべてを経営計画書にまとめます。机に向かうこと、延べ数十時間になりました。4か月。その期間、F社長は、悶々としていました。奥さんに言われます「長期休みなのに旅行も連れて行ってもらえませんでした(笑)。」。
そして、出来上がってもその悶々が、晴れることはありません。出した答えが本当に正しいのか疑心暗鬼です。そして、管理者や社員は協力してくれるだろうかという不安もあります。
その経営計画書をもって、社内に説明をしました。そして、それを目標と行動計画にし、毎月毎月確実に取り組んでいきました。やってみると、沢山の想定違いと新たな課題が出てきました。それでも、粘り強く続けます。
経営計画書を説明した日から、ちょうど2年が経ちます。年商3億8千万円で過去最高益です。管理者が各部をまとめています。社員から意見が出るようになりました。社内が明るくなったのを感じます。
文字に向かうことで、F社長の中で変化が生まれました。その自分で書いた文字が、社長自身の思考と行動に統制を与えます。そして、その文字と社長の指示が、管理者や社員を行動に向かわせます。その結果、仕組みが変わりました。その効果を感じるようになりました。最後に、管理者や社員の心が変わりました。
これが改革の正しい流れとなります。これ以外ありえません。改革するぞと声高らかに言っても、何も変わりません。口で方針を出しても、誰も動きません。管理者や社員の意識が高まることも絶対にありません。
改革には、『文字化』と『具体性』が絶対に必要になります。
社長は、嫌々でも机に向かうこと。その後も、向かい続けること。
そして、無理矢理でも答えを出し、具体的な施策を出すこと。
嫌々でも文字化する、無理矢理でもいいから書き進めるしか前に進めないのです。
コンサルタントや士業の方は、本を出してステージを上げたいのであれば、無理矢理でもやりなさい。社長は、会社の仕組化と組織化を進め、大きく飛躍させたいのであれば、無理矢理絞り出しなさい。
それでしか、何も見えてこないのです。何も変わらないのです。
どんな大きな変化も、すべては自分の内から起きます。そこには、厳しい自己統制しかないのです。机にお向かいください。
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