No.267:沢山のメニュー、顧客合わせのサービス、社内の雑多な業務。それらの原因は、ホームページに有るかも!?

№267:沢山のメニュー、顧客合わせのサービス、社内の雑多な業務。それらの原因は、ホームページに有るかも!?

ホームページのトップ画像に、「社員」が来たら、間違い。
 
本来ホームページのトップ画像には、その企業が一番売りたい商品が来るものです。お客様に本当に薦めたい物、または、戦略を持って展開する物がそこに来ます。
 
そのトップ画像に、「社員の顔」が並んでいます。きっと「技術力、対応力、親切」を謳い、「信頼してほしい」というメッセージを発信しているのでしょう。
 
しかし、これでは、お客様の興味を引くことはできません。そして、同時に「業績の悪化」の危険性を持つことになります。「人を売りにしている会社は、総じて生産性が悪い」という傾向があります。


絞ること。
 
事業を絞る。サービスを絞る。売り方を絞る。
この重要性は、十分に解っています。しかし、言うほど、それは簡単なことではありません。 
 
絞るということは、その他の多くを捨てることを意味します。多くのお客様、多くのサービスを捨てることになります。やみくもに捨てれば、そのまま売上ダウンを招くことになります。
 
「見つけていること」が条件になります。これだという事業を見つけているからこそ、勇気を持って、その他多くを捨てることができます。その事業では、「市場」や「単価」の条件を満たしています。その一つを売りまくれば、年商のステージを上げることができます。
 
この「絞るものを見つける」ために、「今の事業を回している」という認識が必要です。それを探るための商品開発であり、そのための売り方の開発をしているという認識です。
 
この認識を忘れた時に、「業績の悪化」が忍び寄ってきます。会社の「生産性」が急激に悪くなることになります。
そこで起きることは、『複雑化』です。
 
 
売上げを増やすために、既存顧客との関係を強化することを考えます。それが、顧客からの要望すべてに答えようという姿勢(方針)に変わります。お客様から「こんなことできますか?」と訊かれれば、「もちろん」と答えます。その結果、サービスの種類が増えます。また、提案書や見積書の作成という煩雑な仕事も増えることになります。
 
昨年対比10%増の売上げ達成のために、取り扱う商品を増やそうとします。一人の顧客に、より沢山のアイテムを売ることで売上増を図ります。特に、この経済環境下で「顧客当たりの取引額が縮小傾向にある場合」には、この現象が起きやすくなります。
 
複雑化を起こしています。その結果、同じ売上げを得るためにかかる手間が、倍増します。社内の業務も細々してきます。これが、生産性悪化の正体です。
 
 
そして、更に不味いことに、社員に意見を求めてしまいます。
「売上げを増やすためのアイディアを出してほしい」
 
「売上げを増やすためにアイディアを出す」ということは、事業モデル自体に意見を求めることを意味します。それは「経営の領域」です。
 
社員の役目は、あくまでもある範囲のなかで知恵を絞ることとなります。社長が、社員に協力を求める内容は下記になります。
「休眠顧客を掘り起こすための、アイディアを出してほしい。」
「メルマガによる囲い込みを強化したい。コンテンツを強化したい。」
 
それを、「売上げを増やすためのアイディアを出してほしい」と無認識で訊いてしまっています。すると案の定、社員からは次の提案がされることになります。
「A社から問い合わせがあった〇〇商品。本格的に取り扱いを始めたらどうか。」
「集客のために、当社もSNSの活用を考えてはどうか。」
 
そして、それを「良いアイディアだ」と導入してしまいます。(社員がアイディアを出したことに、気分を良くしていることもあります。)それらは、「やったほうが良い」というレベルであることが殆どです。「本当に重要」というレベルではありません。
 
その結果、また業務が増えます。その割に、成果は小さいのです。大きく会社を飛躍させることもありません。
当然です、それは「社員が、少しの間」考えたものです。社長自身が、毎日毎日、数年、数十年間考えてきた深さではありません。また、効果とコストのバランスも長期的な展望も持ち合わせていません。そして「絞る」という発想は無いのです。それは社長の役目だから当然なのです。
 
そして、その導入を驚くほど簡単に決定してしまいます。
 
 
大きく飛躍するために絞る唯一つを探しているうちに、いつの間にか目の前の売上げを追うようになっています。それに伴い複雑化を起こし、生産性は低くなっていきます。内部の業務もスタッフ数も増え、高コスト体質になっています。
そして、益々、「売上げを追う」ことから抜けられなくなります。
 
絞るものを探している期間、複雑化の誘惑に絶えず晒されることになります。
あまり時間をかけてはいけません。その間、社長は悶々とし続けることになります。その状態に慣れ切ってしまうこともあります。


トップ画像に「社員」を載せると、顧客はこの会社は「親切な」会社と思ってくれます。そんな先から、たまに問い合わせがきます。
「〇〇を考えています。一度話を聞いてほしいのですが。」
 
ホームページから問い合わせが来たと喜び、それに応えようと一生懸命にやります。そして、その仕事を納め売上げを得ます。
その案件をこなしている間、他の案件は止まっています。その結果、年商は増えていません。また、メニューが増えてしまっています。そして、社長と一部の優秀な社員が更に「成長」することになります。
 
そのホームページから来る引合いは、「他社では手に入らなかったもの」です。いろいろ探したが、商品としてないので、問い合わせしたのです。他社が商品化しなかっただけに、そのままでは「儲からない」ようになっています。
そんなホームページで来る問い合わせは、決まって『相談』の形できます。『注文』ではありません。曖昧な問い合わせをスタートとして、「カスタマイズ」、「相手合わせ」、そして、「クリエイティヴ」という貧乏暇なしサイクルが始まります。
 
お客様は喜んでくれました。そして、なぜかその状態を喜んでいます。それは本来、危惧するべき状況のはずです。そして、時間と共に「顧客の満足を追求する」ことが正義になっていきます。「顧客の望むことをすべて叶えること」が事業定義や自社の存在意義になってしまうのです。
 
 
ホームページのトップ画像に「社員」が来るのは間違いです。
また、会社の理念や信念が来るのも、間違いです。あくまでも、トップ画像にくるのは、自社の『逸品』なのです。
ホームページを訪れた見込客に向かって、「当社のすべてを掛けて作った商品である。これを買え!これであなたは幸せになれる!」と伝えるのです。
 
トップ画像というだけに、そのスペースは一つしかありません。そこには一つしか載せられないのです。一つのメッセージ、一つの商品です。
複数のものを載せようとすれば、やはりぼやけることになります。その「ぼやけ」が、雑多の顧客を呼び寄せるのです。
 
 
何に絞るかを本気で考える。
トップ画像に載せる、唯一つのサービスを見つけるために、今日を生きていることを忘れてはいけません。
 
それと同等に、複雑化させない、と考えることも重要です。その一つを見つけるまで、複雑化の誘惑と戦い、勝ち続けるのです。それは忍耐です。
 
幸運にも、それが見つけられたのなら、その一つで市場のシェアを取りに行きます。
その後も複雑化の誘惑に勝ち続け、一つの事業を拡大していきます。
そこには、それを成し遂げた者だけが見える景色が待っています。

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