No.277:現場もまともに仕組みで回せていない社長が、100億円を口にする。私がしたその社長への厳しい進言とは。

№277:現場もまともに仕組みで回せていない社長が、100億円を口にする。私がしたその社長への厳しい進言とは。

課題一覧表を拝見すると、そこには年商数億円企業の特徴の全てが書かれています。
「一人が売上げの多くを稼いでいる」、「業務が属人的で、誰かが休むと混乱」、「社員が育ったころに辞める」・・・
 
M社長は、掛かってきた電話に対応するために席を外しています。どうやら社員からの指示を仰ぐ電話のようです。
 
そして、そのシートの最後には、「グループ全体で年商100億円を目指す。」と書いてあります。
 
この時のM社は、「仕組みで回っていない年商5億円」でした。今の事業でさえまともに回せていないのに100億円を口に出すのです。


事業と経営は、別物です。
 
事業とは、「何かのサービスを提供して、顧客を満足させて、儲けること」となります。そのため事業は、「どのようなお客様にどのようなサービスを提供し、どのような価値を実現していくのか。」、これが具体的に定義付けされることになります。
 
それに対し、経営とは、「それらの事業のバランスをとりながら、会社を発展させていくこと」となります。
時代の流れを読み、事業を入れ替えていきます。限りある資源の配分を調整し、ある事業を縮小し、ある事業を大きく伸ばしていきます。
 
一つの会社に、経営は一つとなります。それに対して、事業は複数有っても良いことになります。会社がある程度の規模になると、複数の事業を持つことになります。それは、リスクの分散というよりは、『事業の入替え途中にある』と表現する方が正しくなります。一つの事業は「成長期にある」、一つの事業は「創業期にある」となります。それにより、会社としてのリスクヘッジと永続性を得ることが出来ます。
 
経営と事業を分けて考えると、自ずと次の言葉の使い分けを理解することになります。『経営理念』と『事業理念』。
 
経営理念とは、「この会社を経営する上で、どのような目的とするか。そして、その目的の達成のための指針はどうあるべきか。」というものになります。これは、経営者すべてが守るべきものとなります。そこには、事業領域や地域との関係、従業員や外注業者の扱いなどが含まれることになります。
 
それに対し、事業理念は、「どのような事業であるのか。この事業の展開のために守るべきことはなにか。」を表したものになります。その事業に関わるものすべてが、従うことになります。管理者はもちろんのこと、社員、パート、そして、外注業者も含まれます。
 
社長は、複数の事業を展開するために、それぞれの事業のトップに『人材』を据えることになります。一般的には、その人のことを、事業部長と言います。一つの事業のために会社を起こせば、別(子)会社とその社長ということになります。
 
社長は、その事業部長に、「事業理念の実現」を依頼します。事業部長は、自分に任せられた一つの事業に、全身全霊で臨みます。社長と各方針と目標をすり合わせます。行動計画を立て、実行を管理します。
 
そして、その事業に必要な部門を設けます。そして、部長を任命します。営業部長、開発部長、製造部長。その部長には、各部門の今期目標の実現を依頼します。
 
依頼された各部長は、現場に指示を出します。日常的な業務の実行を、社員やパートなどの『現場層』が行います。その日常的な業務の管理やイレギュラーへの対応を、主任や班長と呼ばれる『判断層』が行います。
 
そこまでの仕組みが出来て、一つの事業が回ることになります。


会社の発展のために、一つの事業の廃止を検討することは避けられません。その決定前に、事業部長本人に相談をすることはできません。彼自身の存在意義を守るために、事業の継続を強く主張することは目に見えています。
 
決断が鈍ることで、弱い事業がそのまま存続することになります。そして、会社全体としての力を弱めることになります。また、その事業に関わる社員の人生をそこに使うことになります。
 
冒頭のM社長は、この時、3つの事業で年商5億円でした。
3つの事業を持っていながらも、どれもが『回せていない』状態です。回せていない状態で、昨年対比20%の伸びを目標に頑張っています。しかし、売上げが少し増えれば、すぐに問題が勃発します。
 
いよいよどうにもならない状態で、当社に来られました。M社長は言われます。
「正直、焦っています。このままではいつまでも100億円にいきません。それどころか、10億円にもいきません。」
 
一つの事業も回せていないのに、100億円を口に出す。
私は、このような社長が大好きです。そして、大きな可能性を感じるのです。
 
会社を大きくするためには、『会社を大きくするやり方』を獲得する必要があります。そして、もう一つ、『会社を大きくしたいという気持ち』が必要になります。
この二つが揃って初めて、会社は大きくなります。
 
世の中には、『会社を大きくするやり方』を獲得できずに停滞している社長は多くいます。それ以上に、『会社を大きくしたいという気持ち』を持っていない社長も多くいるのです。
 
当社は、『会社を大きくするやり方』を提供することができます。しかし、『大きくしたいという気持ち』は提供することはできません。
 
M社長は、それをお持ちでした。本気で会社を大きくしたいと思っています。それも100億円です。その気持ちに、理由は必要ありません。ただ、そうしたい、本気でそうしたい、そう思えることがすごい才能なのです。そして、そのために実際に動けること、それがすごいのです。欲に実行が伴っています。
 
そんな社長が私に会いに来てくれました。私は、それを嬉しく、そして、光栄に思います。
 
私は、進言をさせていただきました。
「まずは、今の一つの事業をしっかり作り上げましょう。」
3つの事業の中から、儲かる年商10億事業の条件にあう事業を選びます。また、改良を行います。その上で、その仕組化を進めます。そして、その一つの事業を成長させるための組織をつくります。その時には、一つの事業が仕組みで回った状態にできます。
 
M社長は答えます。「はい、一つの事業で、それを掴みたいです。」
 
年商数億円の経営の延長に、年商10億円はありません年商10億円に行くためには、年商10億円の経営のやり方を覚える必要があります。
 
それにより、本当の力で年商10億円を超えることができます。そして、次の事業を立ち上げることができます。別会社を起こし、誰かに任せることもできます。
 
残念ながら、多くの社長が、一つの事業もまともに回せていません。過去に一度も事業を回せていないのです。それどころか、現場でさえも回せていないのです。現場の一般スタッフも判断する班長も、仕組みで動かせていません。
そのため出張に出ると指示を仰ぐ電話やメールが来ます。「社長、在庫が切れそうです。」、「社長、お客様から問合わせがきています、どう答えましょうか。」社長と呼ばれて、恥ずかしいのです。
 
まずは、一つの事業を回せること。
多くの経営者にとって、ここが一つの目標になります。そして、ここが大きな分かれ目になります。殆どの経営者が、ここを抜けられずに終わります。
 
一つの事業がまともに回せて初めて、複数の事業を持つことが出来ます。その時、本当の意味で『経営者』になれるのです。
 
複数の事業を持てます。
多くの事業部長や子会社の社長という人材を活かすことができます。
100億円へ向けてスタートが切れます。
大きくしたいという欲を持てる才能を活かしてください。

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