No.300:多くの社長が間違えている、経営計画書をつくる目的とは。そして、つくると会社は、実際にどう変わるのか。

№300:多くの社長が間違えている、経営計画書をつくる目的とは。そして、つくると会社は、実際にどう変わるのか。

「先生、生まれて初めて経営計画が作れました。」
社長になって二十年のT社長、嬉しそうに言います。
 
今まで何度も経営計画書づくりに取り組んできました。出来上がっても、本心から「できた!」という確信を持てずにいました。今回のものなら、PDCAが回せる予感がします。
 
あれから一年が経ちました。
「先生、生まれて初めて組織を回せています。」何事にもオーバーなT社長です。


事業設計書をつくる最も大きな目的は、『組織をつくるため』になります。
人が集まっただけの集団は、事業設計書があって初めて、組織と成っていきます。
 
ゼネコンの現場が、なぜあれほど統制が取れているのかは明白です。
設計図面と工程表があるからです。
 
「自分達は何をつくるのか」という設計図面があります。それを完成させるために、ゼネコンの職員も協力業者も集められます。
そして、「誰がいつまでに何をするのか」という工程表があります。それにより、其々の役割が明確になります。お互いに調整することができます。
 
設計図面と工程表がない工事現場など、想像もできません。つくるものが明確でなければ、人を集めることはできません。そして、自分の役目もお互いの役割も解りません。
 
設計図面と工程表があって、建設現場では、組織がつくられるのです。そして、それにより統制が取られることで、完成までこぎつけることができるのです。
 
これを聞けば、誰もが「当たり前」と思います。
しかし、この当たり前のことを、多くの会社ではやっていません。
「我社は、どのような事業をやっていくのか」の事業定義がありません。また、「我社の在庫管理はどうあるべきか」、「集客の方法はどうあるべきか」などの方針書も存在しません。そして、「いつまでに誰が何をやるのか」の行動計画も無いのです。
その結果、組織ができません。絶対にできるはずがないのです。
 
でも、それを本業ではやっているのです。
・設備会社では、図面を起こします。そして、スケジュールを立てます。そこには、仮組や試運転まで、細かいところまでが記載されています。
・システム会社では、仕様書を決め、ガントチャートを引いています。
 
多くの会社では、本業では、設計図面も行動計画もあり、それで回しているのです。でも、自社の経営では、やらないのです。全く以て不思議な話です。
 
 
世の多くの企業は、事業設計書が無いために、組織が作れないのです。また、世の少なくない企業が、間違った事業設計書の作り方をしているために、組織を作れずにいます。
 
残念ながら世の多くの事業設計書(経営計画書)は、設計になっていません。理念や心得に多くのページを割いています。計画も、行動ではなく、数字計画になっています。全く以て、間違っているのです。そのままでは、組織はつくられずにいます。一年二年経っても、まともに組織で動けないままなのです。
 
我々に必要なものは、事業設計書と行動計画です。これがあれば、組織ができるのです。構成員はその力を余すところなく発揮できるのです。


事業設計書を作るときには、必ず3つの段階を踏むことになります。
検討の段階 ― 意思決定の段階 ― 依頼の段階 です。
 
最初の『検討の段階』では、アイディアを出したり、課題を出したりします。自分の人生、時代の流れ、自社の資源という、多面的に検討するための素材を増やす段階と言えます。幹部や社員にも、言えないことも書きます。「自社を飛躍させるために大きく考える」のもこの段階です。
 
そして、『意思決定の段階』に移ります。文章を一つひとつ削っていきます。そして、結論を書くことになります。多くの社長が、この段階で「文章にまとめるために、意思決定が進む」という面白い経験をします。
 
そして、『依頼の段階』に入ります。今までは、向かうべきは自分でした。ここからは、自分以外に向かうことになります。幹部や社員に動いてもらうために、考えることになります。すなわち、「組織をつくる」ためです。その意図を持って、まとめることになります。


冒頭のT社長は、この3つの段階をごっちゃ混ぜに考えていました。
考えを広げるはずの段階で、文章にきれいにまとめることを考えていました。大きく飛躍する検討をしているときに、「どのように社員に説明しようか」という思いを持っていました。
 
これにより、経営計画書づくりは、非常に窮屈なものになりました。その結果、「自分のものでは無い」ものが出来上がってしまいました。また、十分削る作業をしなかったために、分量もあります。その分、ぼやけています。
 
私は、T社長に、作成時の提言をいくつかさせていただきました。
その中の一つが、次のものです。「最初は、理念や心得は一切書かないでください。」
 
T社長も想いの強い社長です。そのため、理念や精神的なことを書き始めるとどれだけでも書けてしまうのです。そして、その分、事業設計すなわち儲ける事業の設計が薄くなる傾向にありました。
 
T社長は出来上がったものを手に持ち、言いました。
「今までの自分は、社長として、何も考えていなかったのだと解りました。そして、何も社員に示せていなかったと反省しました。」
完成したものを社員に配り、説明会を開きました。
 
 
あれから、一年が経過しました。
事前に通達した通り、一年前に配った経営計画書を全社員から回収しました。そこから、方針を検討するうえで参考になることを、沢山得ることができました。また、運営上の問題点も知ることができました。活用されている部門とそうでないところも明確になりました。
 
この一年で、組織が組織として機能するようになったことを実感できています。次のような事件が起きました。
・T社長が机で仕事をしていると、製作部の数名の社員が寄ってきました。「社長、品質に関する方針のことですが、どう理解すればいいでしょうか。」その班では、経営計画書を使って議論をしていたのです。
T社長は、彼らと意見交換をし、その方針書を変更することにしました。
 
・秋にホームページのリニューアルの予定をしていました。7月には、リニューアルの案が営業部から出されました。そこには、「動画でのサービス紹介」や「カタログのPDF化」の案があります。春から自分たちで準備をしていたのです。
 
・若手社員が面談の時に、経営計画書を開いています。普段から、自分の課題を書き込んでいたのです。「デザインの基本を勉強する」、「普段から上司のスケジュールも確認する」。
 
T社長は言われました。
「この一年間で、経営計画書の真価が身に染みるほど解りました。」
 
私は、お答えさせていただきました。
「まだ一年目です。これからの一年で、更に大きく変わることになりますよ。」
 
 
ぜひ、経営計画書を作ってください。
それも正しい目的で、正しいつくりで。
それにより、必ず組織がつくられ、組織が機能するようになります。愚直に取り組んだ社長だけが、到達できる世界がそこにはあります。
 
世の中は、経営計画書に関する間違った情報で溢れています。
これ以上、惑わされてはいけません。
そこにあるものは、原則であり、非常にシンプルなものなのです。
 
本当の経営計画書が世の中に広まることを願っています。
それにより、多くの社長がよりダイナミックに組織を動かし、良いサービスを展開することができます。
そこでは、多くの社員がその力を余すことなく発揮することになります。

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