No.307:お客様が何を求めているかを考える。

№307:お客様が何を求めているかを考える。

遅い昼食をとるために、定食屋に入ります。見た目通り家族経営のようです。
 
オーダーを取りに来た女性は、不愛想です。
1000円の刺身定食の刺身は、べちゃべちゃしています。
会計を終え、店を出る時まで感謝の言葉はありません。
 
私は、心の中でつぶやきます。「潰れてしまえ」。
 
まずいものを出し続ける店、客に気を使わせる態度。こういう何も考えない、何も変えようとしない店は、この世には必要ないのです。


どのような事業をやるのか、
どのように事業をつくりかえるのか。
 
自社の事業を考えるときには、次の3つの軸から考えることになります。
「好きなこと」、「できること」、そして、「金になること」。
この3つが必要です。
 
「好きなこと」でなければ、努力を続けることはできません。
「できること」、よく知っていることででないと、市場は見つけられません。また、優位性も築けません。
そして、「金になること」でないと、食べていけません。次の研究開発もできなくなります。
この3つの重なるところに、自社の事業を構築します。
 
どれも大事です。しかし、他のものより格段に重要なものがあります。
それは、「金になること」です。
「金になること」とは、「それを求めるお客様がいる」ことを意味します。そのお客様は、金を払ってまでもそれを手に入れたいと思っています。
「好きなこと」でも「できること」でも、誰かが求めなければ何もなりません。それは、唯の『趣味』と言えます。事業では、まずは「金になること」を第一に考えるのです。


M社は、システム開発の会社です。売上の8割を、大手企業1社から得ています。
その会社で勤めていた父が独立した時から、20年以上の付き合いです。その会社の特殊技術で使うシステムを受託開発しています。その特殊性ゆえに、切られる心配もありませんでした。
 
その大手企業の業績不振は、新聞のニュースで見ています。また、その部門の閉鎖のうわさも聞こえています。
 
それに焦りを感じていたのが、息子のMさんです。継ぐ気がなかったMさんは、大学卒業後、大手企業の管理部で社会人経験を積みました。都会の生活に疲れたこともあり、父からの継承の願いを受けることにしました。
 
戻ってから7年が経ちます。当時から今日まで、社員の多くは変わらず、その大手一社の案件を一生懸命にこなしています。しかし、利益率は、確実に悪くなってきています。金額が大きく、難易度の高い案件を終えても、そのほとんどが人件費に消えてきます。お金をもらえていない雑務も多くなっています。
 
Mさん自身は、その特殊な技術のことが解らなかったため、他社の案件を受け持っていました。ここ数年は、社員への賞与を支払うために借入をしている状態です。父と話し合おうとすると「目の前の案件を一生懸命やっていれば道は開ける」と突っぱねられるだけです。
 
Mさんは、自分だけで変革を進める決意をします。しかし、その動き方が全く解りません。そこで、当社に相談をした経緯です。
 
満たすべき事業の条件の説明を受け、アイディア出しをしているときにM社長は気づきました。「当社は、やってはいけないことをすべてやってきたのですね。」
相手の望むことをすべてやっています。価格は、工賃の積み上げ方式です。一部の能力の高い人しかできません。「もうとっくに、詰んでいたのですね。」
 
 
Mさんが比較的解っている医療業界へのサービスを軸に検討することにしました。
事業の構想を描き、実際に動いてみます。提案書を作成し持っていきます。販促のための施策を打ってみます。まずは、そのサービスが顧客に刺さるのかを確認する必要があるのです。
 
その過程は、大変苦しいものとなりました。やってみては直すという繰り返しです。Mさんからも弱音がでます。
 
「矢田先生、この事業はうまくいくのでしょうか。」
「解りません。だから顧客にぶつけてみるしかないのです。」
 
「こんな大変なことを、他社の経営者もやっているのでしょうか。」
「多くの会社は、やっていないからダメなのです。」
 
「このサービスがダメだったら、どうするのですか。」
「また一からやるだけです。」
 
「これだけのDMを出して、3件しか反響がありませんでした。」
「驚異的に良い数字です。売ることを真剣にやったことがない社長は、広告をやればすぐに成果がでると思っています。」
 
「電話で断られ続けると、心が折れそうになります。」
「会社がつぶれるのに比べたら、いいでしょう。」
 
Mさんは、粘り強く取り組みました。
5か月後、ようやく一つのサービスに手ごたえを感じることができるようになってきました。
 
そんなタイミングでのコロナ禍です。見えかけた集客の方法も、たちまち使えなくなります。ネットやZoomを駆使したものに作り変えが必要になりました。
 
しかし、そのサービスに自信を持てるようになっていました。実際に、医療現場のスタッフからは好評を得ています。「歩く距離が減った」、「患者さんをしっかり見られるようになった」。上のほうの方は、出費を拒んでいましたが、その本当の価値である「スタッフの総人件費」や「定着」を訴えると承認を得ることができました。
 
先日、遂に1件目の入金がありました。120万円ほどです。取り掛かって、約1年が経っています。
Mさんは、喜んでいます。「この売上げは無茶苦茶うれしいですね。お客様に本当に喜んでもらって得た売上げです。」
 
「金になる」とは、「お客様の役に立つこと」と同義語です。
好きなこと、できることよりも、金になることを優先することです。お金を得るためには、「真剣にお客様が何に困っているかを考えること」でしか満たすことはできないのです。
 
そして、実際に自社のサービスを使い、顧客が変わり、喜んでいる姿を見れば、その事業を好きになります。また、一生懸命に取り組めば、それはできるようになるのです。


もう1社の事例を紹介します。
 
S社は、人材採用系のWEBサービスを展開していました。そのサービスの売上げは、初年度4千万円、翌年1億、今期は2億を予定していました。
 
ここで、コロナ禍が訪れました。求人市場は一気に冷めあがります。毎日数件のサービス解約の連絡が入ります。
 
S社長は、言いました。「2年間積み上げてきたものが、一瞬で崩壊していきます。」
月々の売上げは、2割まで落ちました。
 
しかし、それで打ちのめされるようなS社長ではありません。すぐに、次のサービスの構築に取り掛かったのです。
 
「景気は当分戻らないだろう」とこの先を読みました。次のサービスは、販促の分野で、初期導入のための金額が小さいものにしました。そして、成果に合わせて金額が大きくなる料金体系を構築したのです。
 
そして、1か月で販売にまでこぎつけました。この時には、びっしりカタログも提案書も揃っています。基本的な営業マニュアルも整備しました。内部の業務に関しても、いままでの仕組みの多くが使えるはずです。
 
いままでの事業で培った集客とセミナーのノウハウがあります。Zoomでの開催に置き換えます。狙い通り1回目から、数件の契約が取れました。これから、更に精度を高めていけば、集客数も成約数ももっと高められるはずです。
 
S社長は言われます。
「お客様を真剣に見ていれば、ネタはいくらでも出てきますよ。」
 
S社長は、複数の事業のアイディアを持っていました。どれもが実現性があるように感じます。しかし、それらに手を付けることはしませんでした。『まずは一つの事業を早く大きくしてください』という矢田の提言を守っていたのです。
 
そして、このコロナ禍の状況を見て、早々に一つのサービスの立ち上げに、舵を切ることを決めたのでした。
 
それができたのも、S社長が、普段からお客様が何を求めているかを真剣に考えてきたからです。また、合わせて、社長自身が事業の作り方をしっかり習得しているからなのです。


「お客様が何を求めているか」、それだけを考えてください。
「今の顧客が何に不満を持っているか」、をじっくり観てください。そして、時には、直接聴いてみることです。
そこに必ず答えがあります。
 
それを怠った時に、売上げは下がることになります。お客様は、離れていきます。また、お客様からの当社の扱いも悪いものになります。
それは、お客様のことを蔑ろにした報いなのです。考えるということを怠けた結果なのです。
 
冒頭のような、定食屋になってはいけません。
まずいものを出し続けています。食べているお客様の様子を、気にかけていないのです。だから業績は、いいはずがないのです。
それでも、味を変えようともしない、愛嬌もよくしようとしない。そんな店は、無くなって当然なのです。
 
自社を、このような店にしてはいけません。気づかないうちに、顧客を無視している会社は非常に多いのです。その結果、潰れる会社の多くは、「何もせず」潰れていきます。
 
お客様の困っていることを真剣に考える。市場の変化を必死に感じること。
答えは、必ず見つかります。
そして、それこそが改革を断行する社長の信念になります。
 
喜ぶお客様の姿が見たい、それだけです。

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