No.341:売上げが落ちた時に、社長自らチェックする2つのこととは?面談がつまらないと感じたエピソードと共に。

№341:売上げが落ちた時に、社長自らチェックする2つのこととは?面談がつまらないと感じたエピソードと共に。

「ありがとうございました。頑張ってやってみます。」
面談の最後に、S社長は元気に言いました。
 
私は、コンサルティングの案内をします。それをS社長は、軽く聞き流しています。
 
事務所から送り出す時に私は言いました。
「はい、頑張ってください。」
 
この時の自分の抱く想いには、まだ慣れないものがあります。
「頑張ってください」と言いながらも、「自分でやるという選択をするのだ(自分でできるのだろうか?)」という思いを持っています。


売上げが伸びない!
そんな時には、次の『売上げを構成する二つの要素』を確認します。
 
一つは、「商品は良いか?」。
商品が良いとは、「その商品がある顧客層に必要とされている状態」を指します。「見込客を目の前に座らせ、商品の説明をすれば、興味を持たせることができる」というぐらいの力は、必要になります。
 
「ありふれている」、「特色もない」、「他よりも高い」ものなど、誰も欲しいとは思わないのです。
 
時間は流れていきます。その過程で、多くの変化が起きます。新しい技術、新しいサービス、新しい娯楽、新しい法律、そして、新たな人口構成。
売上げが伸びないとは、その変化についていけていないということを意味しています。
 
もう一つは、「売り方は良いか?」。
売り方自体に問題があるかもしれません。次の2つをチェックします。
「見込客にきちんと届いているのか?」YESかNOか。
そして、「比べられて、選ばれているのか?」YESかNOか。
 
見込客に届いていないのであれば、媒体の選定になります。いままでの折込チラシやテレアポが通用しなくなっています。WEBでの集客や展示会という新たなものを探す必要があります。
 
マーケティング手法にも、流行り廃りがあります。その変化に合わせ、自社の商品と顧客に合ったやり方を『開発』する必要があります。
 
そして、比べてもらい選ばれるようにします。問い合わせが有っても成約に至っていないのであれば、他社に負けているということになります。
 
この段階では、下記の視点での見直しが必要になります。
「本当の見込客を集められているのか?」
「競合に、支払方法や特典などの差で負けていないか?」
市場には、お客様と競合がいます。絶えず、競合も観ておく必要があります。
 
売上げが落ちた時も売上げが伸びない時も、その理由は明白です。
商品か売り方のどちらかが悪いのです。時代遅れになっているのです。それしかありません。この2つの要素を確認し、再構築に向かうことになります。


忘れてはいけません。どんなものも、永遠に続くことは無いのです。
必ず商品もその売り方も、廃れていくのです。
 
そして、その『寿命』も、違うのです。
長いものもあれば、短いものもあります。
 
絶えずその見直しと入替が必要になるのです。
 
建設業、設備業などのオールドエコノミーは、ジリジリと変化します。
多くの会社は、そのゆっくりとした変化に、変革のタイミングを逃してしまっています。それは、廃業への道をゆっくり向かっているとも表現できます。
 
オールドエコノミーと言うだけに、そこには、既存の市場があり、大きな金が動いているということです。そして、競合他社の多くは「古い」体質になっています。しっかりやれば必ず勝てます。それも圧勝ができます。
 
システム業や多くの新しいサービスには、スピードが必要になります。
これらの市場では、最終的に1社独占の状態に落ち着きます。その雌雄を決するまで5年ほどです。その期間、恐ろしいほどのスピード合戦が繰り広げられます。より早くそのサービスを世に広めたものが総取りできます。
 
ナンバーワンの座をとっても、安住はありません。また、新しい技術が生まれます。そして、それを使ったサービスにより、一瞬でひっくり返されることになります。先のビジネスからの儲けを種銭にして、新しいサービスで、もっと大きな市場を取りに行きます。また、スピード合戦となります。
 
じっくり広げていってよいビジネスなのか、それとも、スピードが必要なビジネスなのか。自社の市場の特性を見極め、その戦略を決める必要があります。そこにはこちらの都合など、入る余地は無いのです。


冒頭のS社長からの相談は、「素晴らしいシステムを思いついた。それについての意見が欲しい」という内容でした。
 
その当時のS社は、受託開発型のシステム事業であり、年商3億円、社員数15名の規模でした。私の本を読み、いまの事業モデルの限界を知り、パッケージ型のサービスへの変換を急いでいました。
 
そのシステムのアイディアに、S社長は興奮ぎみです。相談の場では、矢継ぎ早に私に質問をぶつけます。私がそれに答える形で進められていきます。
 
そして、面談の終わりの時間が来ました。
S社長は、言いました。
「ありがとうございました、仕組化のやり方が解りました。がんばってやってみます。」
 
私は、コンサルティングを薦めるために説明をしますが、すでに「やる気満々」なS社長には届きませんでした。そして、「頑張ります」と帰られていきました。
 
私は、少し反省をしました。次のことをもっと明確に、そして、強く伝える必要があったかもしれません。
 
それは、『仕組みをつくるということと、年商10億円になることは、全く関係のないこと』ということです。
 
複数の人間で事業を回すためには、「仕組み」が必要になります。仕組みがあるお陰で、効率性と再現性を得ることができます。並みの人でも短期間に成果が出せるようになります。
 
その「仕組み」と「年商10億円の条件」は、全く別の物なのです。
 
 
年商10億円に進むためには、まずは年商10億円なりの事業モデルが必要になります。それは、市場の規模や取り方、単価やパック化などの設計です。
そして、組織も必要になります。大きくなる過程で増える顧客やスタッフ数に応じ、仕組みを作り変える役目を担う機構です。組織があるからこそ、その仕組みを適宜作り変えることができます。
 
仕組みは、どんな規模の会社にも必要になるものです。そこに規模は関係がありません。社長ひとりで年商1億円の会社でも、それは必要です。
年商1億円の一人社長でも、仕組みの有無によって、「悠々自適な生活」か「超多忙な毎日」かが分かれます。
 
この悠々自適な生活を送っている社長が、年商10億円になるかは別の話なのです。
もし年商10億円を望むのであれば、その条件の獲得が絶対に必要になるのです。
 
S社長からの質問は、仕組化のやり方ばかりでした。
・このシステムは、パッケージの考え方に合っていますか?
・どうやったら案件の進捗を管理できますか?
・社員を上手に巻き込むやり方を教えてください。
・社員の評価制度や給与制度は、どうするべきですか?
 
これらは、確かに必要なことばかりです。しかし、あくまでも「仕組み」の範疇なのです。これらをすべて解決したところで、年商10億円にならないのです。年商10億円の条件の獲得の前では、これらは「小事」なのです。
 
私は、S社長との面談をつまらないと感じていました。
その原因がはっきり解りました。「年商10億円にいくための経営ノウハウを専門とする私に、仕組化のやり方を訊かないでくれ」なのです。
それに気づいたのは、S社長を送り出した後のことでした。
 
S社長は、「頑張ります!」と意気揚々と帰って行かれました。「自分で頑張る」という選択も良いのかもしれません。
 
しかし、経営者には「スピードと確実性を金で買う」という考え方も必要になります。そこには、もっと大きな目的(使命)があるからです。
 
また、「自分一人の力で成功しよう」などと考えないことです。子供には先生が、スポーツ選手にはコーチが必要です。ましてやプロであれば、猶更です。
この私にも「経営について相談するコンサルタント」がいます。
 
はっきり言いましょう。「自分でやろう。自分で何かを開発する」という選択肢は、経営者には無いのです。頑張りどころが違うのです。
 
経営者の役目は、自社の未来についての意思決定なのです。どのような市場を狙うのか。単価はどうするか。そして、何を捨てるのか。会社の業績とは、その方針ですべてが決まるのです。そこに社長の資源のすべてを注ぐのです。
 
その方針を実現する手段は、買えるものなら買ってしまうことです。
 
 
事業にとって必要なのは、あくまでもその時々の人達に必要とされることです。
売上げとは、時代との関係性で決まるものなのです。
時代の先を行けば、儲かる。
時代の後に回れば、儲からない。
非常にシンプルなのです。
 
事業には、スピードが必要です。
そのスピードを決定付けているのが、社長のスピードなのです。
 
もし、今、「売上げが増えない」という状態があるのであれば、それは「時代遅れ」の前兆なのです。今こそ、動くべき時です。

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