No.343:会社の本質。どうすれば、パワーにあふれた会社にできるのか。

№343:会社の本質。どうすれば、パワーにあふれた会社にできるのか。

面談では、事前に『課題一覧表』の作成をお願いしています。
それは、自社の持つ課題をまとめたもので、10分もあれば書けるものです。しかし、そんな簡単なものを提出しない社長がいます。
 
医療系サービスを展開するM社長も、その一人でした。私は、面談の冒頭にお聞きしました。「お願いしていた課題一覧表を、お持ちですか?」
 
その質問には答えず、M社長は、「当社の課題は、理念の浸透が出来ていないことです。」と返しました。
 
「事前課題を出さない」、「理念の浸透を課題とする」、この二つからM社の本当の問題が解るのです。


会社は、『考え方』で出来ています。
どのような事業をやるのか。どのようにその事業を展開していくのか。
その業務は、どのような方向で改善してほしいのか。
この作業には、どのような目的があり、どのような勘所があるのか。
事業定義、方針、意図、これらを共有した人の集合体が『会社』だと言えます。
 
これらは、『考え方』です。考え方だけあって、目では見えません。
目では見えないのですが、確かにそれはそこに存在し、今日も多くの人を動かしています。
 
会社とは、目で見える所に存在しているものではないのです。社屋、法人登記簿、会社案内、それらは、会社ではありません。
 
「会社とは、考え方である」と認識すると、自ずと、良い会社とは何かが見えてきます。
 
良い会社とは、大きくは以下の3つを満たした状態だと言えます。
一つは、「その考え方が世に受け入れられていること」。もう一つは、「それが構成員と共有されていること」。そして、最後は、「それを構成員が実行していること」。
 
ここで言う「受け入れられる」とは、社会的にも道徳的にも反しておらず、なお、誰かに対し効率よく貢献が出来ている状態を意味します。
 
そして、それが、構成員と共有がされています。適宜、会社としての考え方が更新されていきます。また、新しく参加する者に対しても、伝えられていきます。
 
構成員は、機能だった動きで、それを実行していきます。会社としての考え方の下に、管理者、各部門という役割分担で、確実に進んでいきます。
 
良い会社とは、『考え方』の重要性を正しく認識し、その共有に取り組んでいる会社と言えます。


当時のM社は、年商3億円でした。
M社長は、5年後に年商10億円にするために、当社に面談を申し込んだのです。その一番の課題に、「理念の浸透」をあげました。
 
「事前課題も出さない」社長と、「理念の浸透」という組合せです。私は、M社の本当の問題を理解しました。
「御社では、こんな現象が起きていませんか?」
 
・現場の社員は、決まった作業はこなせても、柔軟な対応が出来ない。画一的な対応で、お客様からのクレームになることもある。
・判断に迷うと、社長に伺う。そのため、社長は現場を離れられない。
・業務の改善意識が乏しい。アイディアを求めても、「批判的な意見」しか出ない。
 
M社長は、「なぜ、それが解るのですか」と驚かれます。
私は、次のことも付け加えました。
「その結果、会議では、M社長ばかりが話している状態になっていませんか?」
M社長は、目を丸くしています。
 
これらは、考え方の共有ができていない会社の特徴だと言えます。
正確に表現すれば、「考え方の共有の下手な社長」の会社の特徴となります。
 
面談では、必ず「自社の課題一覧表」の提出をお願いしております。
それは、面談を有意義なものにしたいからです。そこには、社長としてどうしたいのか、何を考えているか、が書かれることになります。
 
そのお陰で、私は、素早くその会社のことを知ることができます。その数枚の書類により、いままで面識がなかった社長との間に、瞬時に共通認識が形成されるのです。
 
これを、M社長は、省いたのです。私との共通認識づくりのためのツールを出さなかったのです。
これは、書類作成が苦手なことの表れでしょう。または、文章の重要性、すなわち、考え方の共有という認識が欠落していることの表れとなります。
 
M社長が、同じことを会社でも行っていることは、容易に予測が付きます。上記の私が予測した事象は、「考え方の共有ができていない会社」が共通して持つものなのです。
 
社長自らが、文章を軽んじているのです。それでは、社員が率先して文章をつくることはありません。当然、目的や意図という「考え方」について話し合うこともありません。「考え方」を共有し、そして、発展させようとする社風も完全に失われていくのです。
 
ここまでの説明をすると、M社長は、「先生、思い当たる節があります。」と、自社で起きている他の事象をあげました。
・販売や生産性についてのデータの整理は十分出来ている。しかし、考察の文章が無い。
・会議は、そのデータの分析から話し合うので、やたら時間がかかる。
・その結果から導き出された方針やルールなどを、文章にまとめていない。
(考え方の共有が弱い会社では、エクセルの書類が多くあります。逆に、ワードの書類が少ない。)
 
頭の良いM社長です。自社の本当の課題に気づいたのです。


M社長は、その後、すぐに文章に向かうことをしました。
元々、深く考えてきたM社長です。そして、集中力もあります。苦手だと言っていた文章の書き方も、すぐに体得してしまいました。
M社長のつくる文章には、力があります。
 
経営計画書、各方針書をどんどん作っていきます。
そして、出来たものから、管理者やその部門の社員と意見交換をして、共有を進めます。M社長は、考え方について社員と議論をするという体験を初めてしたのです。
 
3か月後には明らかな社内の変化が起きていました。社員が自分たちで柔軟かつ正しい判断をすることが多くなりました。社長への伺いの電話は、週に数件になりました。
また、職場で問題が起きると、話し合いをします。その時には、その業務の目的から見直しが行われます。そして、その結果を書面にまとめ、社長に提出するのです。
 
M社長は、この会社の変化を、目をウルウルさせながら話してくれました。
「自分の会社が、こんなにも良い状態になるとは思ってもいませんでした。」
この言葉に、私も目頭が熱くなります。
 
私は、表情を戻し、補足します。
「本当にそうですね。文章を使いこなすことで、もっと多くの社員を、ダイナミックに動かすことができますよ。」
 
考え方を共有することです。
考え方を共有するための取組みを、会社の至る所に張り巡らせるのです。
経営計画書には、これからの自社の未来についての考え方を載せます。
方針書には、各施策における方向性や範囲という考え方を載せます。
企画書の書き初めは、趣旨や目的という考え方を必ず入れさせます。
マニュアルには、その作業の目的や全体の位置づけ、そして、勘所という考え方の欄を設けます。
 
この仕掛けをするのです。この仕掛けにより、社員を「考え方」に向かわざるを得ない状態にします。会社の至る所に、業務の至る所に、会社の考え方を宿すのです。
 
その環境こそが、社員の本来の能力を発揮させることになります。そして、社員を育てることになります。
 
考え方こそが、会社の資産であり、パワーなのです。会社としての考え方の成長が、会社の成長なのです。
 
会社全体が「考え方」に包まれた状態を、「理念の浸透」がされた状態と言うのです。それは、「日常の業務」のなかに、存在するものなのです。
 
会社は、考え方で出来ています。
当然ですが、最初は、会社としての考え方を『社長』が示す必要があります。
そして、それを進化発展させるために『回す』必要があります。
 
何事も最初が大変です。それでも、続けることです。
 
すると、多くの人達が、その『考え方』を成長させることに協力してくれるようになります。そして、多くの人の経験と考え方を取り込み、更に強くなっていきます。
 
その結果、その『考え方』は、社長のものでは無くなります。会社としての考え方にまで、昇華することになるのです。
 
それは、やはり目で見えるものではないのです。
しかし、確実にそこに存在をしています。
パワーとして、そこに宿っているのです。

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