No.396:入社から数か月、1年、3年、その社員が辞める時期と原因

№396:入社から数か月、1年、3年、その社員が辞める時期と原因

「今年採用した、新卒者が退職をしました。」
この日は、M社のコンサルティング1回目です。
 
初回の面談をしたのが1か月前。その日以降の状況を確認すると、この報告がありました。
 
「昔の私なら、今どきの若い人は、、、で済ましていました。しかし、今なら解ります。当社は、若い人が辞めてしまう会社なのです。」
M社長は、自社の不出来さを理解されていました。
 
採用した人が、数か月で辞めていく。
これを異常だと思わなければなりません。一度入った会社をすぐに辞めたいと思う人などいないのです。


採用した社員が辞める時期で、会社の問題がある程度予測できます。下記が、その「目安」となります。これは、新卒、中途、どちらにも当てはまります。
 
1.入社した社員が数か月で辞める会社の問題
数か月で辞める原因は、一つしかありません。「教える方の問題」です。
教える人からの嫌な何かがなければ、数か月という超短期間で辞めるという意思決定に至ることはありません。
 
教える担当者の言葉使いが乱暴である。または、面倒くさそうに教える。
その態度から、「自分は歓迎されていない」、「自分は邪魔なのだ」と思うようになります。
 
この時に、間違っても、その担当者を責めてはいけません。やはり、こちらに準備すべきものがあるのです。
 
準備その1.教えられる状態にある。
以前のコラムで書いた通り、「再現性」の無いものは、教えることができません。案件が見える様になっていること、業務の手順や基準が明確であること。その状態になっているからこそ、先輩社員が教えることができるのです。当然、そこには、方針書やマニュアルなどが存在することになります。
 
準備その2.教える順番を決める。
一言で言えば、プログラムです。最初に何を教えるのか、次に何の作業を覚えてもらうのかという順番を決めます。そして、そのための標準時間も決めます。
それを、一枚の紙にまとめておきます。
それを持って、その部署や教える担当者に依頼をします。
 
そして、次が重要になります。
 
準備その3.教え方を教えること。
当たり前ですが、人は「自分以外の人に教えた経験」がありません。それ以上に、それを体系的に学んだことなどありません。そんな人に任せているのです。
 
そうなれば、自分の数少ない経験でやるしかありません。それは、部活動であったり、自分が先輩社員から受けたやり方だったりします。それは、大概ひどいものです。
明確に、教える側の態度を伝える必要があります。「名前で呼んであげてください。」、「ゆっくり説明してください。」。
 
この3つの準備が必要になります。ここまで出来て、初めて、「教える担当者の責任」を問うことができるのです。
 
「教える形になっていない」、「教える順番が明確になっていない」、「教え方を教えていない」この状態でまともに教えられるはずは無いのです。その担当者は、どうしたらいいのかも解らなければ、自分がやっていることにも全く自信が無いのです。その結果、乱暴や面倒くさいという態度になってしまっているのです。
 
また、教わる方である新入社員も、覚えるのにすごく時間がかかります。そして、解らないことを訊くこともできません。その毎日に、希望を無くしていきます。そして、辞職を申し出ます。その時の理由は、「自分の能力では無理」と言うものです。
 
採用した者が辞めることに、ショックを受けているのは社長だけではありません。その先輩社員も大きく凹んでいるのです。表面には出しませんが、「自分が辞めさせてしまった。」と自分を責めています。
 
全員が不幸な状態です。この不幸を繰り返さないためにも、次の採用までに上記は準備したいところです。
 
 
2.定着した頃、採用後1年で辞める
この時期の退職の一番の原因は、「その部署」にあります。
その上司や周囲からのフォローが無いために、精神的な負担が大きくなっているのです。
 
営業担当者は、強く個人の成績を求められます。そして、そこに、具体的な行動のアドバイスはありません。そのため、いつまでも成果が出せず、職場での居心地が悪くなっています。
 
生産管理の担当者は、営業と製造、そして外注業者との狭間で、調整を掛けています。そこでは、いちいち「配慮」や「交渉」が必要になります。そこで神経を使い果たすことになります。
 
こういう時に、上司や周囲からのフォローが無いのです。そのため、其々の社員は「孤立」しています。職場でその人に「声」をかける人もいません。具体的な行動や仕組みの進展は、いつまでも無いのです。
 
その結果、突然に辞表を持って来ることになります。その時には、「家庭の事情」や「別のやりたいこと」を理由にします。「自分が孤立していた」とは、決して言いません。
 
「その部署の上司」とは、社長であったり、部長や課長であったりします。どちらにせよ「社長が仕組みに向かわず、人に向かっている会社」で、多く起きる現象です。
 
 
3.戦力として当てにできるようになった、入社3年で辞める
この原因は、「会社」にあります。
自分の会社の様子を見ると、自分の「未来」も決して明るいものではないと思えてしまうのです。
 
・事業に特色が無く、それぞれの個人技によって成り立っています。
・会社としてのPDCAは回っておらず、何も積み上がっていません。
・入ってきた人は、すぐに辞めていきます。気づくと自分が一番の古株です。
そして
・いつまでも、自分の給与は増えないのです。
 
この時の心の中は、二つの思いが占領しています。
「我慢して働くか」、それとも、「新天地を求めるか」。そして、それに悩むのに疲れ切った時に、退職を願い出ることをします。
 
 
入社した社員が数か月で辞める原因は、「教える人」にあります。
定着した頃の1年で辞める原因は、「部署」にあります。
育った頃の3年で辞める原因は、「会社」にあります。
 
作っていきましょう、人が辞めない会社を。
 
意を決して入った会社を短い期間で、去らなくてはならない会社、それでは、彼らに申し訳ないのです。
そして、採用と退職を繰り返している会社は、絶対に儲からないのです。
 
冒頭のM社は、これから、すべてを作り変えていきます。
残念なことに、今年の新卒採用者には、間に合いませんでした。しかし、来年には、多くのものが整った状態で受け入れることができるはずです。
 
M社長は、自社を選んでくれた人、そして、頑張ってくれる人に、報いることができる会社に変えるべく動き出しています。
 
社員が辞めない会社、社員が活きる会社をつくるのです。

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