No.419:10億企業に有って、数億企業には無い仕組みとは?これを獲得できれば、社員が動く、社員が育つ!

№419:10億企業に有って、数億企業には無い仕組みとは?これを獲得できれば、社員が動く、社員が育つ!

店舗系サービスを展開するN社から面談の申込がありました。
 
事前に送っていただいた資料の中に、大量のマニュアルが入っています。
確認すると、各シートには、写真や図、そして、びっしりと文章が入っています。
 
この規模でこれだけのマニュアルが整備されていることも珍しいことです。
 
そして、次に、課題一覧表の確認に移りました。
「社員が指示待ち」と「組織に一体感がない」が並んでいます。
そして、最後に「マニュアルを運用できていない」というものがあります。
 
N社は、大きな間違いを犯しているようです。
それは、多くの年商数億企業で見られる現象です。出来の良いマニュアルを作ってしまうのです。


年商10億円以上の会社には有って、年商数億円の会社には無いものがあります。
その有無を比較することで、年商数億企業が獲得しなければならないものが、見えてきます。そして、その年商10億円以上の会社が持つものを、しっかり考察すると、そこには、大きな意味があることが解るのです。
 
私はその年商10億円以上の企業が共通して持つものを、年商数億企業には、早く獲得することをお薦めしております。大きい会社、年商10億円以上の会社が、その規模になっているのには、やはり訳があるのです。
 
その一つが、『企画書』になります。
年商10億円以上の企業には、『企画書』があります。それは、社内の至るところにあります。会社として何かをする時、何かを変える時には、必ず企画書がつくられます。
それに対し、年商数億企業には、『企画書』がありません。社長から社員まで、誰も、それに向かわないのです。
 
 
次から「秋の展示会に出る」という事例を観て、企画書の役目を確認していきましょう。
 
春、いよいよ展示会の準備が始まります。
その1回目の社内ミーティングが、来週に開催されます。その会議に向けて、担当である営業部のA君が企画書をつくっています。会社として初めての展示会の参加になります。調べたり、想像したりして、企画書をつくっていきます。
 
そのミーティングには、社長と営業部長、マーケティングの担当者、そして、営業部のA君とB君が参加します。A君は、その企画書を配り、説明をします。
それを元にして、部長やマーケティング担当者が、質問したり、アイディアを出したりします。そして、その都度、社長が意思決定をしていきます。
 
そのミーティング中、A君はメモを取り続けます。次のミーティングは2週間後です。すぐに動く必要があります。業者に確認したり、考えたりしたり、日常の業務のなか時間をつくり、それを進めていきます。
 
次のミーティングでも、A君からの「追記された企画書」の説明から始まることになります。
そして、また、それを元に、メンバーで意見を出し合います。ミーティング後、A君は、すぐに企画書を更新します。
 
初夏になると、A君は、展示物の製作に取り掛かりました。業者を選定し、打ち合わせを行います。その時には、その企画書を元に行います。狙いや意図などをしっかり共有します。
業者はその道の専門家だけあって、いろいろな知恵を与えてくれます。そして、その手順もスケジュールも煮詰められていきます。その結果、企画書はより精密になっていきます。それを持って、社内でのミーティングや上司への報告がされていきます。
 
そして、夏。展示会当日のスタッフの動きの検討に入りました。
レイアウト図の中に、社員の配置を決めていきます。また、その時に使用する資料、来場者への声のかけ方、アポイントの取り方などを、盛り込んでいきます。
そして、また、それをミーティングに持ち込みます。それにより、ブラッシュアップされることになります。
 
展示会直前に、当日展示場に入る社員を集めてのミーティングを行いました。エンジニア部や事務部からの応援もいます。この時にも、多くの質問が出されます。そこで出た答えを、A君は漏れなく企画書に落としていきます。そして、後日、その修正版をそのメンバーにメールで送りました。
 
展開会当日の朝、ブースの前に集まった社員の前で、A君が話をします。その各社員の手には、企画書があります。今日の流れ、また、重点事項などを確認します。
それが終わると、A君は、到着したコンパニオンの方と、打ち合わせをしました。その時の資料として、「企画書からの抜粋」を使用しました。
 
色々想定し、万全の態勢で準備してきました。しかし、想定外のことは、起きるものです。
それを上司に相談し、対応していきます。そして、A君は、それを「企画書」にメモしていきます。
 
展示会終了後、ミーティングが開催されます。そこで、A君は、当日の反省を記した企画書を出します。関わった管理者や社員から振り返りの感想やアイディアが出されます。そこで、展示会後のフォロー営業の状況も共有されます。
 
A君は、その結果を企画書に記入しました。そして、それをサーバーの「展示会ファイル」に保存しました。これを持って、A君の半年に渡る「展示会プロジェクト」が終わったのです。
 
翌年には、同じ営業部のB君が、このプロジェクトの担当になる予定です。B君の「展示会プロジェクト」は、このファイルを取り出すところから始まります。


企画書を中心に、すべてが進んでいきます。
企画書を作成する過程で、多くのことが想定され、そして、多くの問題を未然に防ぐことになります。この過程無しには、スムーズな展示会運営もその成果もあり得ないのです。
 
そして、企画書に向かうことで、A君は育つことになります。
多くのことを想定していきます。その問題解決のために動きます。多くの人の力を借り、プロジェクトを成功に近づけていきました。
 
A君は、沢山のことを学んだのです。企画書の作り方、人やチームの動かし方、外注業者の使い方、PDCAというプロジェクトの進め方。当然、それは、到底完全とは言えないものです。しかし、明らかに新しい力を身に付けたのです。そして、これは、彼の大きな自信にもなったのです。
 
また、この展示会に関わった社員にも良い影響を与えました。
展示会に対し、主体的に参画することができています。メンバーのモチベーションも、高いものがあります。展示会当日も、楽しく、そして、効率的に動くことができます。
この過程により、管理者、社員がチームになるのです。そして、自分達の手によって、何かを変え、何かの成果を得たのです。ここに、遣り甲斐、働き甲斐が生まれるのです。
 
そして、会社は、「展示会という仕組み」を獲得したのです。この先、改良を積み上げることで、それを会社の財産ともいえるノウハウにできるのです。
そして、A君という未来の管理者を育てることにもなったのです。
 
 
強い会社、伸びる会社の中心には、「企画書」があります。
その結果、年商10億円になるのです。
 
逆に、企画書のない会社は、弱い会社になります。
何も無い状態で、ミーティングが開催されます。そこには、「じっくりそれについて考えた者」はいません。そして、素案となる紙も無いのです。参加者全員が、「よそ事」と思いながら、手ぶらでやってきます。
その結果、気づくと、そのプロジェクトリーダーが、「社長」になっています。
 
そして、そのリーダーである社長は、業者を呼んで、「口頭」で考えていることを伝えます。それを必死に業者の社員がメモをしています。そして、打ち合わせ記録が、「確認お願いします」というメッセージと共に、メールで送られてきます。
 
当日も、社員は「よそ事」と思っています。そこに、主体性は全くありません。また、チームでもありません。そこに居るのは、あくまでも、「社長の手伝い」であり、「よそ者」と考える社員ばかりになっています。
 
その結果、「社長」がまた、育つことになります。社員の成長にもならないのです。そして、会社としての仕組みにも成らなければ、ノウハウの蓄積も無いのです。
 
企画書の有る会社では、至る所で、業務がよりスムーズになり、社員が育っていきます。
企画書の無い会社では、問題が繰り返されます。そして、誰も育たないのです。


社員の役目は、「企画書」に有るのです。
間違えないでください。「企画書をつくるのは、社員の役目」です。
それも、一般社員です。新卒者でも入社数年も経てば、何かしらの企画書をつくることになります。それが、年商10億企業では、当たり前に行われているのです。
 
「企画書をつくるのは、社員の役目」を、言い換えると、次のようになります。
「仕組みの改善は、社員の役目」。
 
仕組みの改善のために、企画書の作成が必要になるのです。
そこには、想像力や具現化力や計画性など、「先を見据えた力」が必要になります。
先を見据えることをするから、その社員が育つのです。
 
そして、この結果、出来たものが『マニュアル』になります。
展示会当日の運営のため集められた他部署の社員、そして、コンパニオンに対し、説明する資料、それが「マニュアル」になったのです。
 
マニュアルは、いまやっていることをまとめたものではありません。これからやるものに対し「予め」つくられるものなのです。マニュアルは、後にできるものではなく、先にできるものなのです。
 
ここに、マニュアルの真価があります。
企画書の無い会社では、マニュアルは唯の「記録」であり、活用されない代物になるのです。
 
冒頭のN社の問題は、正に、ここにありました。
やはり、社内に「企画書」が無かったのです。そして、マニュアルを社長がつくっていました。そこには、社員の主体性も参画もありません。その結果、きれいだけど、使われないマニュアルが出来上がったのです。当然、更新もされないのです。
 
こうなると、その後が、更に大変になります。社員の中に、「マニュアルづくりは、社長の役目」という認識が出来上がるのです。
 
企画書同様に、マニュアルも、作る過程にこそ真価を発揮するものなのです。
会社において、マニュアルを社員がつくらなければ、そのマニュアルには何も価値が無いことになります。また、社員も、それだけの価値が無いものになります。そこには、唯毎日を惰性で動く人間がいることになります。
 
間違えないでください。
マニュアルに完成は無いのです。
マニュアルをいつも未完成の状態にする、それが我々の目指す会社です。それが、我々の年商数億企業が、獲得すべき仕組みになります。

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