No.426:成功する社長は、趣味や休日とどのように向かい合っているのか?

№426:成功する社長は、趣味や休日とどのように向かい合っているのか?

地方中核都市。12月初旬の金曜日だけあって、店は多くの人で賑わっています。
その地域の繋がりのあるクライアント3社長が、忘年会を催してくれました。
 
お酒が程よく回ってきた頃、A社長が、大きく手を上げ、質問を投げかけてきます。
「先生、私は、何も趣味を持っていないのですが。」
 
その意味をすぐに理解したB社長が、続きます。
「先生、私は、休みの日も仕事をしてしまいます。」
 
そして、大きく頷きを入れC社長がまとめました。
「先生、我々は、経営者として、これでいいのでしょうか?」
 
これこそが、彼らが社長であり、今成功している所以なのでしょう。


良い会社の条件とは何か?
その条件はいくつもあります。しかし、その中から一つ選べと言われれば、それはそれほど難しくはありません。
 
「良い会社の条件」の逆、すなわち「悪い会社の条件」を考えれば、それは自ずと明確になります。悪い状態になる会社は、やはり「悪い会社の条件」を満たしているのです。そして、この先も、その条件を持つ以上、「悪い状態」が続くことになります。
 
悪い会社の条件その1:方針(進むべき方向性)が示されていない。
「どのような事業を伸ばしていくのか」、そして、「どのようにその事業を伸ばしていくのか」、これが、会社として、最も重要なこととなります。それが有るからこそ伸びることができます。そして、それが有ることで、組織としても「一体化」することができるのです。
 
それが明確に示されなければ、当然、会社が伸びることはありません。また、進むべき方向性を持たないため、組織が停滞することになります。一体化することもありません。
 
多くの経営者は、これは「自社には当てはまらない」という感想を持たれることでしょう。しかし、実際には、こんな会社が非常に多いのです。その経営者は、示しているつもりでも、実は全くできていないのが実状です。
そこには、具体性がありません。(その経営者は、「具体性が無い」ということに気付いていない。)また、その示しているものが「会社をどうするか」、「組織はどうあるべきか」という内向きなものになってしまっています。
 
この条件を満たしている結果、会社が、「悪い状態」になるのです。
そして、この「悪い会社の条件その1」以上に悪いのが、次の「条件その2」になります。
これにより、組織は覿面に悪くなります。
 
悪い会社の条件その2.方針が二つある。
正確に表現すると、「方針を決定する人が二人居る」となります。
 
その会社には、方針を決定する人が二人います。
社長が方針を出します、そして、専務も方針を出します。その方針が異なるのです。方針が二つあることで、組織は混乱することになります。そこでは、構成員は迷うことになるのです。
 
役職で考えれば、優先されるべきは、「社長」のそれになることは明白です。しかし、そう簡単で無いのが、人間の社会です。社長と専務の力関係や、どちらに合理性があるのか、そして、どちらに信頼があるのか、それを各々の構成員が考えてしまうのです。その結果、分裂が起きるのです。
そして、その中で、社長派、専務派という具合に派閥化まで進むと、いよいよ組織的な機能の多くが失われることになります。
 
この二人が、お互い歩み寄り、話し合い、方針を一つにできれば問題はありません。しかし、それが行われなければ、その状態がこの先何年も続くことになります。その間に、組織は、覇気も意欲も無い、非常に怠惰な状態になっていきます。
 
その二人の組合せは、父と息子、夫と妻、兄と弟、そして、創業時の社長とその仲間という具合に、色々なパターンがあります。
 
人類史において、これによって、多くの事件があり、多くの組織が崩壊していったのは、皆さんもご存じの通りです。
 
悪い会社の条件その3.間違った方針があり、それに突き進む。
「どんな方針でも、無いよりはまし」という言葉があります。本当にその通りだと思います。
しかし、その方針が致命的に間違っているケースがあります。そして、それが、修正されないのです。
 
これは、社長が、何かに「取り憑かれた時」に起きます。
それは、「ある立派な先生の教え」であったり、「ある経営者団体の教え」であったりします。それらは、通常、事業モデルやマーケティングという実業ではなく、経営理念や人材育成というメンタリティーなものになります。
 
「それにより、我社は間違いなく伸びるのだ」と、妄信的にその方針を信じます。そして、そこに突き進んでいきます。多くのお金も投じていきます。
一部、それを止めようとする常識のある人(幹部や外部の専門家)もいますが、聞く耳を持ちません。
 
当然、それらの取組みで、会社の業績が伸びることはありません。それでも、その社長は、そこに向かい続けます。そして、そこでの教えを会社にまで持ち込もうとします。
その社長の様子を観て、優秀な社員は会社を去る選択をします。並みの社員は、心の中では「呆れている」ものの、表面上は「付き合う」という選択をしていきます。
 
この状況が続くと、社内は、形骸化されたマネジメントが横行することになります。不必要な書類は増え、成果の無いプロジェクト、そして、生産性の低い会議。そこでは、すべての人の本音が隠されていきます。会社の財務状況が致命的に悪くなるまで、その活動は続くことになります。
 
 
この、3つの「悪い会社の条件」に共通することは、『方針』にあるということです。
これは、当然と言えば当然のことと言えます。
どんな規模の企業も、どのような業種の企業も、「誰かの意思決定」によって成り立っています。その一人の意思決定によって、繁栄するか、衰退するかの道が決定されます。
方針が悪ければ、「悪い会社」になるということです。
 
ここから、「良い会社の条件」が見えてきます。
これは、そのまま、悪い会社の事象の逆になります。やはり『方針』に関することになります。
 
良い会社の条件その1.方針(進むべき方向性)がしっかり示されている。
良い会社の条件その2.会社全体がその一つの方針で動いている。
良い会社の条件その3.その方針が合っている。それ以上に、定期的に検証され、適宜その方針と実行計画が修正される。
 
この3つさえできていれば、事業は伸びていきます。
また、構成員は動くことができます。組織も良い状態に保たれるのです。
 
すべては『方針』なのです。


「方針」=「社長」
 
この3つの良い会社の条件をみると、結局は「社長」ということが解ります。
 
会社内において、この「方針」こそが、社長の役目となります。
社長は、「あっちだ、こっちだ」、「こう考えよう」、「これを優先しよう」という会社のすべてに関して方針を示すことになります。
 
この意思決定は、誰にも替わりをさせられません。全身全霊を掛けて、社長は、重要な決定を行います。そして、この方針を社内に徹底するために動くことになります。幹部や管理者、社員に動いてもらうために、仕組みを施すことになります。
 
私は、常々、社長の皆様には、「アスリートになってください」、とお伝えしています。
その思考、その生活習慣、その時間の使い方、すべてをその一つに向かわせるのです。
自分の脳のコンディションが、意思決定に大きな影響を与えます。自分の精神状態が、会社の成長のスピードを決定づけます。そして、自分の健康状態がその脳と心を支配します。
 
良い会社には、良い社長が居るのです。
その社長は、アスリートのような生活をしています。
これは、例外無き事実です。
 
自分の脳の使い方を学んでください。
自分の心を前向きにオープンに保つために、必要なことをどんどん取り入れてください。
健康のために、食事、運動、休息のあり方を習慣にしてください。
 
すべては、良い意思決定をするために。


冒頭の3社長との忘年会。
店は、満席になっています。
 
A社長の「私は、何も趣味を持っていないのですが?」の質問に、私は答えました。
「趣味は、無くても問題無いですよ。」
 
世の中には、何か趣味を持たなければダメという風潮があります。そうでなければ、「人間として成長ができない」や「面白みに欠ける人間になる」と。
これは、間違いです。特に社長にとっては、完全なる間違いです。趣味が無くても、自分の精神状態が良く、本業に集中できていれば、それで問題無いのです。
あくまでも、それが今の自分にとって必要かどうかです。
 
B社長の「先生、私は、休みの日も仕事をしてしまいます。」の問いに答えます。
「それでいいのです。休みの日も仕事しましょう。」
 
仕事とプライベートを分けるべきという考え方があります。これも、全く必要が無い考え方です。我々は、人間です。そんなにきれいに分けられるはずがありません。
特に、会社を背負っている社長です。会社が上手く行っていない時に、仕事のことを考えないことなど出来ないのです。365日24時間、仕事のことを考える、それでいいのです。
 
休みをしっかり取ると、却って自分のペースが崩れることも多くあります。土日しっかり休むと、月曜日がしんどくなります。
また、「仕事をしない」ということで、焦りや苛立ちの感情を抱くようになります。それは、止めようが無いことです。
ペースを乱さない、また、精神を安定させるためにも、休みの日も仕事をすることは良いことです。その際には、作業ではなく、社長本来の仕事ができると尚良いでしょう。
 
しかし、家族との時間も大切なことに、間違いありません。特に子供が小さいうちは、休みの日に家事をしたり、遊んだりする時間が必要になります。
そういう時には、朝早く起きて仕事をすることです。5時に起き、朝食までの数時間でも、仕事をすることです。それにより、安心して一日家族で遊びに出かけることができます。
 
子供と遊んでいる時も、仕事のことを頭から排除しようと頑張る必要はありません。それは全く悪いことではありません。社長とは、そうでなければいけないのです。そういう時にこそ、アイディアが降ってきたり、意思が固まったりします。
あくまでも、コントロールしたいのは、家族の前での自分の機嫌なのです。
 
そして、C社長の「先生、我々は、経営者として、これでいいのでしょうか?」に、まとめとして答えます。
「全く、問題ありません。それこそが社長という生き物であり、社長という生き方です。」
 
ここまでお話すると、3名の社長の表情が晴れてきました。其々の社長が、このことに少しの悩みを持っていたのです。
 
この会の最後に、一言を求められました。
私は、次の話をさせていただきました。
 
 
「人生は一度切り」という言葉がある。だから楽しもう、だから色々なことに挑戦しよう、やりたいことをやろう。正に、その通りだと思う。
 
しかし、これは、社長にとっては、少し悠長すぎるのではないかとも思う。事業やサービスが当たっている期間はそれほど長くはない、競合もいる、そして、社員の人生もある。
その役目を果たすためには「人生」というスパンで考えていては、のんびりし過ぎなのではないか。
 
今年は一度切り。
 
これが正しいのである。
 
だからこそ楽しもう、だからこそ挑戦しよう。
だからこそ、しっかり自分を良い状態にしよう。
そして、意思決定をしよう。
 
今年は、皆様の飛躍の年になります。

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