No.453:社員のやる気は「社長への信頼」で決まる。信頼されるための社長の条件とは?

№453:社員のやる気は「社長への信頼」で決まる。信頼されるための社長の条件とは?

コンサルティングが始まり、半年が過ぎようとしています。
人材系サービスを展開しているM社長から近況の報告があります。
「急速に、仕組みの整備が進んでいます。」
 
私は、黙って次の言葉を待ちます。
「私が何かやっているというよりは、社員が中心になって進めてくれています。」
 
これは変革が進む会社で、よく観られる現象です。
 
その優秀な社員は、以前から社内に居たのです。
それが「あること」をきっかけに、急激に力を発揮することになるのです。


社員のやる気(モチベーション)に影響する要素は、多くあります。
そのうちの一つは、次のものになります。
 
「社長への信頼」
 
大手企業と違い、社長の姿を間近で見ることができる中小企業では、この要素は非常に大きなものになります。
 
自分が働く会社の「社長」に対し信頼を持てている時には、社員のモチベーションは高い状態が保たれます。その職場には良い緊張感と高いモラルが存在します。そこで、個々の社員は主体性を発揮し、チームはお互いに協力しようという状態になります。
 
彼らは、社長の信頼できる態度に対し、自分も信頼できる態度で応えようとします。
 
逆に、自分が働く会社の「社長」に対し、信頼が持てない時には、モチベーションは低い状態になります。職場にはダラダラした空気が流れ、モラルが低い状態になります。
個々の社員は依存心を強め、利己的になります。そのチームの協力意識は弱く、ひどいと陰口が横行するようになります。
 
彼らは、社長の信頼が置けない態度に対し、自分もそれ相応の態度で応えることをします。
 
社員のモチベーションが低い、
社員の素行が悪い、
社員が辞める、
もしその状態にあるとしたら、一度、胸に手を置き考えてみるとよいでしょう。
「社員からの自分への信頼があるのかどうか」
 
 
彼らは「社長」を見ているのです。その振る舞い、言動、実際の行動、すべてを見ています。
それは当然です。彼らの人生は、誰に付いていくかによって、良いものになるのか、悪いものになるのか、が決定するのです。自分の人生は社長次第ということを解っているのです。
 
その彼らが見ている社長の要素は、大きく次の3つになります。
この要素を見て、自分の中の社長に対する信頼残高を、プラスかマイナスにしているのです。
 
1.正しい目的(ビジョン)を持っているか
社長は、社会を良くすることやお客様に貢献するという目的を持っているのか。また、その実現のために行動をしているか。それを持っていると判断できると、信頼をプラスすることになります。社長は、それを宣言し実際に行動することで、更にその効果を高めることができます。
逆に、そこに私利私欲(金、虚栄心)が有れば、社員はすぐにそれを見抜き、信頼を落とすことになります。
 
2.実務能力があるか
その目的を現実化する力の有無も非常に重要な要素になります。そのためには、それだけの実務能力が必要になります。戦略を立てる能力、仕組化する能力、組織を運営する能力、人を使う能力、会議を仕切る能力など。彼らは、それらを社長が持って然るべき能力だと考えています。
もしこれらが無ければ、素晴らしい目的も絵に描いた餅になり、大ほら吹きと見なされ信頼を失うことになります。
 
3.社長という役目を全うしているか
会社において「何かを決定する」という役割は、他の誰にも替わることができません。その一人の決定により、会社の成果が大きく変わるのです。
そのため、社長の役目の多くは、その決定にまつわるものになります。市場の変化を知るために顧客先を回る、競合の動きを見るために展示会を視察する、新しいアイディアを得るために先輩経営者と会う、など。そして、それを実現するために経営計画書にまとめ、社員に協力を依頼します。確実にPDCAを回し実現にこぎつけます。
これら社長の本来の役目を果たすことを、社員は求めます。
「社長が毎日会社に居ること」や「口頭で重要なことを伝えること」をすれば、信頼を失うことになります。
 
彼らは、常に上記の三つを見ているのです。
 
「人格も必要ではないか」と思われるかもしれませんが、それは、敢えて省いています。
人格というものは、あくまでもその役目を前提としたものです。その役目を全うしているのであれば、「人格というものは備わっている」という評価になります。
社長という役目をしっかり果たしていれば人格はあるという評価になり、社長という役目を果たしていなければ人格は無いという評価になります。
 
社長という立場に在りながら、その役目を果たしていなければ、どんなに世の評判がよかったとしても、社員からの評価は「人格が無い」となるのです。


多くの社長は、変革の過程でこの要素を獲得することになります。
業績を伸ばすための事業モデルを明確に描けるようになります。具体的な仕組化の仕方や組織の動かし方、会議の運営の仕方などを身に付けていきます。その結果、「社会における自社の存在意義」と「会社における本来の自分の役目」を明確に理解することになります。
 
当然のこととして、その社長の中の変化は、表に出ることになります。言動、態度、そして、行動が変わるのです。
 
それを社員はすぐに感じ取ります。「すぐに」です。
そのうちに、彼らは「この社長なら率直に意見してもよいのではないか」、「アイディアを言っても怒られないのではないか」と考えるようになります。
最初は、小さい動きで社長の反応を見ています。これは問題ないぞと判断すれば、次はより大胆な行動に移ります。
 
これが、冒頭のM社長の会社でも起きました。
変革に手を付け半年が経とうとする頃に、それは現れ始めました。
一部の社員が会議で発言するようになってきました。また、その中の社員は、業務の改善案を持ってくるようになったのです。
 
彼らは、今までも社内に居ました。
彼らは、社長の変化すなわち信頼できる社長に対し、応えるようになったのです。
それに合わせ、一気に仕組化が進み始めました。
 
M社長は、言いました。
「先生に教わることで自分自身が変わり、彼女たちの声が耳に入るようになったのだと思います。」
 
コンサルタント冥利に尽きる言葉です。
いままでもその社員達は、社長に訴えかけていました。それを、いままでのM社長の力では、理解することも、受け入れることも出来なかったのです。それ以上に、耳に入ってこなかったのです。
 
それが、聞こえるようになったのです。彼女たちの言っていることが理解できるようになったのです。
 
その瞬間からです。社員達の顔色が変わり出しました。彼女たちの目に力が宿り出したのです。そして、どんどんM社長に提案をするようになりました。
日常業務をこなし、業務が落ち着いた夕方から集まって議論をしています。
 
M社長は、省みて言いました。
「過去にも、優秀な社員はいました。彼らは、話を聞かない私に愛想を尽かし去って行ったのですね。」
 
世の多くの社長は、社員の信頼に応えたいと思っています。
そして、本気で、良い会社にして、世の中に貢献し、社員にも報いたいと想っています。
私が出会ってきた社長の中に、そう思わない社長は一人もいませんでした。
 
しかし、出来ないのです。出来ていないのです。
その大きな理由は二つあります。
一つは、実務能力の不足です。仕組化、組織化のやり方が解らないのです。
そのために、描いたビジョンに一向に近づけません。また、その迷う手法が、社員からは一貫性が無いと映ってしまっています。
 
二つ目は、社長の本来の役目を解っていないのです。または、現場を離れられないために、その役目が果たせないでいるのです。
 
その結果、社員は社長を信頼できずにいます。そのため、社員は本気のモチベーションが上がらないのです。
 
これほど勿体ないことはありません。
そして、これほど悔しいことはありません。
 
皆さんには、しっかりした想いがあります。
ぜひ、その実現するための実務能力の獲得に向かってほしいと思っています。
仕組化、組織化の力を身に付けてください。
 
年商数億円で停滞している会社の社長の問題は、それですべて解決します。
次のステージに進むことができるのです。
 
(まとめ)
仕組化・組織化の力を身に付ければ、社員からの信頼が高まり、社内はモチベーションが高い状態になる。そして、仕組化は一気に進む。その結果、社長は現場を離れ、本来の経営者の役目に向かうことができる。その時、会社は年商10億に向けて、再び歩みを始めるのである。
会社は、全く別の会社になる。後戻りも無い。

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