No.459:年商数億・職人社長を脱するために、社長が第一に取り組むべきこととは!?

№459:年商数億・職人社長を脱するために、社長が第一に取り組むべきこととは!?

建設業界向けサービスを展開するH社長が相談に来られました。
「先生、私は社員を巻き込むのが苦手なようです。全部自分でやらないと気が済まない性分なのです。」
 
創業から13年、H社の年商は2億5千万円、社員数は20名ほどです。
この5年、売上げは上がったり下がったりを繰り返しており、伸びていません。
そして、H社長は自分で案件を抱え、経営に時間を割けない日々を送っています。
 
私はお聞きしました。
「ご自身は、今の状況をどう思われていますか?」
 
H社長は答えました。
「このままでは駄目だと焦っています。でも何から手を付ければよいのか解らないのです。」


予知予見の能力こそがプロフェッショナルの力です。
プロフェッショナルはその能力により、仕事をスムーズに進めることができます。
 
お客様に気持ち良く買い物をしてもらうことができます。
プロジェクトを予算と工期、そして、品質を保ち終えることができます。
そこでは、お客様がどう思うか、この先にどんな問題が起きるのか、その経験値と創造力をフル稼働させて予知予見をしているのです。
 
この予知予見を素人である新入社員はできません。
お客様の言動から心情を察知し対応することも、図面の不良を発見することもできません。
積極的な心構えを持ち、基本的な知識と経験を積むしかありません。
ある程度の時間を経た結果、予知予見の能力を獲得することになるのです。その時に、営業なりエンジニアなり、その分野において「一人前」と呼ばれる存在になれるのです。
 
予知予見の仕事を与えることが必要です。
社員に、予知予見の仕事を与えるからこそ、それができるようになるのです。その人の能力を開発することができるのです。
 
逆に予知予見の仕事を与えなければ、いつまでも能力を開発することはできません。
お客様を訪問する前に、商談のプランを練ることがありません。いつもの資料を持って、いつもの通りにお客様と面談します。
そのエンジニアは、企画書や仕様書を自分でつくることはありません。また、工程を引くこともありません。それらは、いつも上司が行います。
 
これでは、その人の予知予見の能力が開発されることも、高まることもないのです。
プロフェッショナルにならないのです。
 
能力とは、筋肉と同じなのです。
よく使う筋肉は強くなります。そして、それ以上の負荷をかけるとより強くなります。
その一方で、使わない筋肉は弱くなっていきます。その状況が続くと、完全なる休眠状態に入ります。
 
社員を育てようと思うなら、その筋肉を使わせなければなりません。「どうやったら使わせることができるのか」を、考えさせなければなりません。
新しい筋肉、すなわち、次に必要となる能力を使わせる必要があります。それが能力開発であり、教育なのです。
 
それが、多くの年商数億企業ではできていません。
新入社員はある一連の作業を覚えると、そのままです。同じ作業を繰り返す毎日を、数年間続けます。当初のやる気もフレッシュさもなくなっています。
そして、そのベテラン社員は、「楽勝の毎日」を送っています。そこで、企画書を書くことを求められたり、部署の計画立案からマネジメントを求められたりすることもありません。
 
たまに「管理者になってください。」と言われたり、実際に「あなたは明日からリーダーだ。」と任命されたりすることはあります。しかし、翌日から何かが変わるわけではありません。
具体的に何かやることがあるわけではないのです(「管理者のルーチンがない」は別のコラムで説明してきた通りです。)
それ以上に、管理者になる前の何年かという準備期間にそれを与えられることもなかったのです。管理者としての能力、すなわち筋肉は何も備わっていないのです。
 
上記の結果、「仕組みをつくる社員がいない」、「管理する社員がいない」会社が出来上がっているのです。
 
 
人を育てることが上手い会社にならなければなりません。
そうでなければ、スピードを持って事業を展開することはできないのです。
また、人が辞めることに、必要以上に憶病になることになります。
 
人を育てるのが上手い会社では、与え続けています。
新入社員にも平社員にも管理者にも、全員に負荷を与え続けています。それを仕組みで行っています。全員がいつも何かしらのストレスを感じている状態を作り出すのです。
 
決して間違えないでください。そこに「人を育てるのが上手い上司がいる」わけではないということを。たとえ、そういう社員が居たとしても、それで良しにしないでください。
あくまでも、仕組みなのです。「人を育てるのが上手い上司が次々に現れる」、「その仕組みに載った社員が、人を育てるのが上手い上司になれる」その状態を目指すのです。
 
人を育てるのが上手い会社では、「上司が部下に予知予見の仕事を与え、それをフォローする」ということが、各所で行われているのです。その状態を仕組みでつくり上げているのです。


使う筋肉は強くなり、使わない筋肉は弱くなる。
この法則は、社長も例外ではありません。
 
冒頭のH社長がまさにその状態にありました。
創業から今日まで、H社長は自ら営業に走り回っていました。そして、企画書を書き、見積書をつくり、実際に受注までこぎつけます。その後は製作の部署に流すものの、其々の段階でその出来を確認します。
 
その能力とこの働きによって、年商2億5千万(ほぼ粗利)、社員20名という規模までの会社にしたのです。
この時、社長のそれは「神懸る」ほどのレベルになっていたのです。創業から13年、社長の職人としての筋肉は鍛えられ続けたのです。営業、企画、製作、すべての分野において、プロフェッショナルです。
 
しかし、その一方で、社員の能力は高まっていません。
それは当然です。彼らは、社長の指示で動いているのです。多少は自分たちで考えることはありますが、肝となる企画や見積り、全体工程という重要な部分、すなわち予知予見の仕事を与えられることはなかったのです。それらは、社長の独占だったのです。
 
H社長もそれを良しとしてきた訳ではありません。
社員にそれらを与えたことがあります。しかし、その仕事のレベルを見ると、お客様に出せるものではないのです。また、自分でやるよりもコストも時間もかかり過ぎるのです。
H社長が戻ることになるのです。
 
その結果、今のH社が出来上がりました。
一人の天才的な職人と、20名の作業員という、会社です。
 
 
H社長自身が、次の能力を開発する必要があるのです。
いままでの能力は、年商数億規模の経営能力なのです。これは、もう十分です。
次は、年商10億規模の経営能力を獲得するのです。
 
いままでの規模は「自分が動き、自分が成長し、自分が成果を出す。」これでよかったのです。しかし、この先に進むためには、変えなければなりません。
「社員が動き、社員が成長し、社員が成果を出す。」この状況に変えなければなりません。
この能力を開発しなければならないのです。
 
そのためには、当然、それを使わなければなりません。
正しい考え方で、正しい使い方で、筋肉を付けなければなりません。
こうすれば社員が動く、こうすれば組織ができる、こうすれば管理者が機能する、
それらの予知予見ができるようになる必要があるのです。
 
年商10億円とは、能力です。運ではありません。
できる、できない、の話です。
その能力があるかどうかです。
次に進むためには、年商10億円ビジネス構築の予知予見ができるという、新たな能力の獲得に向かうのです。
 
それを獲得するために、今、トレーニングできていますか?
毎日、年商数億の筋肉を使い続けていませんか?
 
年商10億の経営の能力を獲得しましょう。

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