No.578:集客を他社に依存する会社の末路とは:集客が経営
「先生、最近私が忙しくて・・・」
販売支援業N社は、席に着くなり、そう切り出しました。
仕組化は終わり分業も進んでいます。数字も順調です。
「なんの仕組みが悪いのでしょうか?」
私は確認させていただきました。
「最近、自社で集客していますか。」
N社長、天井を見ながら答えました。
「最近は、大手広告代理店経由の仕事が多くなっています。」
会社における集客の本当の意味
集客とは、「買う可能性のある者を、自社の前に集めること」です。
広告や営業活動は、その手段にすぎません。
それは表層です。
誰を集めるのか。そして、どんなステップで集めるのか。
その仕組みを自社で持つ必要があります。
また、それを組み立てる力を保有する必要があります。
それがあるかないかで当然ですが、成長のスピードは変わります。
それどころか、経営の主導権が変わります。
集客こそが、経営なのです。
集客できない会社に起きること
集客を自社で握れないと、次の現象が起きることになります。
・他者に支配される。
案件の条件、価格、スケジュール、すべて他社の言いなりです。
・そのうち客ばかりになる。
見込客でない顧客、すなわち、買う可能性の低い客に、時間を奪われます。
・成約率が下がる。
その客に振り回される割に、成約率は低く、その金額も低いのです。
・社員では売れなくなる。
買う気のない顧客をその気にさせ、売ることができるのは社長だけ。社員には無理なのです。
・社長や一部の優秀な社員に集中する。
その結果、社長にその多くが集中することになります。顧客からは「社長来ないの」と。
・同じ客に売ろうとして複雑化する。
集客できないので、同じ顧客にまた売ろうとします。すると、自ずと新しい商品やメニューを考えることになります。
・仕組化ができない。
メニューが増えると、仕組化が追い付きません。その前に、また新しいメニューです。
・社長が更に・・・
益々、社員ではできなくなるのです。
これらは必然なのです。
集客が握れていないから起きる現象です。
広告代理店と付き合い出して起きたこと
ここ最近のN社は、大手広告代理店から紹介で売上は順調でした。
しかし、その結果、N社長が多忙を極めることになっていました。
その根本の理由は、「相手合わせ」にあります。
私の著書やこのコラムで何度もご説明している通り、「相手合わせ」がクリエイティヴを生み、仕組化の最大の阻害要因となります。
代理店や商社から紹介をそのまま受けすぎると、「相手合わせ」の罠にはまることになります。
彼ら担当者は「何とかしてくれる会社」が大好きです。
任せれば、決めてくれる、解決してくれる、丸投げできる。
それに応えようとすると、案件はどんどん個別化し、複雑化します。そして、仕組みから外れています。
N社も、自社での集客の力は持っていました。
広告をかけ、毎月セミナーを開催してきました。
しかし、最近では、その大手広告代理店からの案件が多く、自社では回せていませんでした。いつのまにか「顧客を選べていない状態」になっていたのです。
1社依存が進んだ先にあるもの
代理店や商社との取引は、はっきり言って『楽(らく)』です。
しかし、注意しないと、すぐにその状態に陥ってしまいます。
彼らは、それを意識してかしていないかは別として、自社の経営権を拡げようとします。自社からの案件漬けにすることで、支配権を得ようとするのです。
それが進むと、彼らはある日豹変します。「もっと安くできないか」、「他よりも早く」とその要望は強くなります。
気づいた時には、その1社の売上比率は半分以上を占めており、また、自社の集客能力を失っているのです。
原則:集客は経営そのもの
集客こそが、経営なのです。
よい顧客を集める力を持つこと。
その力を改善し続けること。
集客を握れば、顧客を選べます。
価格を守れます。仕組みが回せます。
逆を言えば、それにより他者を支配することもできるのです。
代理店や商社とは切る必要はありません。ここでも、大事なのは集客と同じ「自社でコントロールできる」です。
・自社での集客比率を決める。
・受ける案件の基準を明文化する。
・それを、紹介先と共有する。
ここまでやって初めて、「対等に、適正に付き合う」ことができます。
それが、長い目で見れば、経営を守ることになるのです。
コントロールできることが大事
集客は経営そのもの。
絶対に他者に渡していいものではありません。
いや、渡したくて渡す社長など過去にもいなかったはずです。
しかし、多くの会社が分かっていても独立を失い、少なくない割合で滅びていきました。
経営者としてその危険性を意識することです。また、自分にそのルールを課すことです。
それが大事です。
あくまでも自社でコントロールできること。
「我々は、自分たちで顧客を選べているか」、この問いにYESと自信を持って応え続けられることです。
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矢田 祐二
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
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