No.1:成長の壁 規模に合った経営のやり方がある
会社が大きくなる過程で、成長の踊り場にぶつかる人数や売上の規模があります。
その規模のことは「組織の壁」や「〇億の壁」と呼ばれることがあります。
私は「成長の壁」と呼んでいます。
●ある創業者 田中社長(仮称)がいました。
田中社長は、30歳で会社を辞め、ホームページ制作で創業しました。
創業当初は、以前の勤め先から仕事を請け、スタートしました。
創業から5年、彼の誠実な対応もあり紹介などで仕事も増え、十分生活もできるようになってきました。
そこで田中社長、迷いました。
「このまま自分一人で職人的に働いていくか」
それとも
「社員を雇い、組織化していくか」
田中社長が幸せになることが基準ですから、どちらの道を選んでも正解です。
悩んだ末、田中社長は、社員を雇い組織化していく道を選びました。
まずは制作の面で社員を雇いました。
(一人目の社員を雇うことは本当に決意がいるものです。)
田中社長が、顧客に対するヒアリングや提案の営業面、そして、制作の全体の流れのコントロールと大まかなデザインも受け持ちます。新たに雇った社員には、ホームページの制作(入力等)をお願いました。これでより多く仕事を請けることが出来ました。
その後も順調に仕事は入り、社員を徐々に増やしていきました。
このまま順調に会社も発展成長すると思っていたのですが、
社員数が8名を越えたころに下記のような問題が起き始めました。
・社長以外ができない仕事が多い(営業面、企画面、見積もり業務):社員が社長のアシスタント的な業務しかできない
・社員を増やしても売上が増えない(一人あたりの生産性は落ちている)
・仕事が増えると不良や手戻りが増える。社長はクレーム対応に追われる。
・社員が指示待ち、依存型社員が増えてきたと感じる。
・管理者を任命しても機能しない(名前だけの管理者)
・社員(管理者も含め)が仕事を覚えたころに退職する。2~3年で辞める。
・社長が相変わらず売上の多くを稼いでいる。
特に営業面では、社員に任せると多くの問題やクレームが起きるために、結局田中社長がその多くを抱える状態になってしまいました。そして、社員を雇ったのに田中社長は以前に増して長時間労働です。
気付くと田中社長も42歳になっています、
ここ数年、売上の伸びは止まり(若干落ち気味)、社員数も増えては減っての繰り返しです。
田中社長自身もこのままでは駄目だと感じています。そして、疲れてきました。
そして、期待していた優秀な社員(やっと稼ぎ出した)の退職、、、
いままで築き上げてきたものが崩れるように感じる・・・
この田中社長が、経験したものが成長の壁と言うものです。
人数が増えるとやはり経営のやり方を変える必要があります。
いままで、社長と言っても「優秀な職人」のやり方をやってきました。自分が成長して自分が稼ぐことが「成功」でした。これからは、社員が成長して社員が稼ぐことが「成功」の定義です
社長が稼ぐのでなく、社員が稼ぐということは、経営のやり方をまるっきり変える必要があるのです。創業し事業を軌道に乗せた延長にはありません。
この先、さらに会社を成長させるためには、いままでとは違うその規模にあった経営のやり方が必要になります。
経営のやり方を変え成長の壁を越えることができると、会社も社長も次のステージに進むことができます。変えることができないと、会社はその規模で停滞(売上も社員も増えたり減ったり)することになります。
矢田 祐二

理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
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