No.81:変革のスピードを支えるのが、人事制度・・・首切りの仕組みです

 前回、スーパーマーケットのトイレ掃除の話を例に、「仕組みをつくるとは、嫌々でもやらざるを得ない状態をつくること」という記事を書きました。
そして、マネジメントとは、怠け者対策 と。
このような仕組みは備えれば、ほぼ狙い通りの機能を自動的に発揮します。
 
このスーパーマーケットでは、その後も、スタッフの入れ替わりが起こるものの、その仕組みは変わらず、「トイレをきれいに保つために、スタッフを2時間に一度作業に当たらせる」という、その役目を全うします。
そして、次に新しい店舗が出来るときには、標準の店舗の管理の形として、そのまま導入をされ、初日から機能を十分に発揮します。
これこそ、仕組みであり、この会社の財産なのです。
そして、
この新規店舗で採用されたスタッフにとっては、その形が当たり前であり、まったく抵抗感なく運用がされていきます。
新規店舗出店が進むほど、より効率的に店舗がいい状態、すなわち、顧客に喜んでいただける形で運営をされるのです。
 
逆に、古いスタッフにとっては、仕事のやり方を変えることを求められます。
一つの新しい仕組みでさえも、
新しいスタッフにとっては、当たり前のもの
古いスタッフにとっては、面倒なもの
となります。
 
これが、変革のスピードに大きな影響を与えます。
 
一つの同じ仕組みでも、新たな人には受け入れられる、でも、古い人には受け入れ難い。
どうしても古いスタッフばかりいる組織やチームでは、変化が遅れがちになります。
どんなに便利な仕組みでも、そう簡単には人は変われないのです。
 
その変われない人にどれだけ付き合っていくか、とことん付き合っていけば時間がかかります。
新しい仕組みの導入を説明し、すぐに変われる人ばかりであれば問題ないのですが、そんな人ばかりではありません。
何度も協力を依頼するものの、いつかは、答えを出す必要があります。
 
そのためは、変われない人は、切る、という仕組みが必要になります。
 
一つの仕組みの導入について、説明を受けて変われる人もいます、すぐに変われる、それこそ「人材」です。
逆に、理屈では解っていても、変われない人がいます。
また、能力的にも変われない人がいます、そんなひとを「人罪」というのでしょう。
 
そんな人には、やはり「お前は危ないぞ」と警告を送ることが必要になります。「給与下がるよ」「この職場では必要なくなるよ」と。
それを面と向かって言えば、今の世の中、労働問題に発展します。
 
だから、それを評価制度や上司との面談などで伝えることになります。人は、自分の悪い評価を直接言われることでさえも、傷つきます。そして、給与が下がるということは、生活の安定を脅かされることになります。精神や肉体という人間的なダメージを受けます。
評価制度とはすごく論理的なようで、実は、脅しに近い面も持った手段なのです。
 
これにより変わることを強要するのです。
このような目的が人事制度にはあります。
変われない人を切る仕組みです。 
 
それでも、組織のなかには、必ず変われない人がいます、それが、組織には、『ある程度人の入れ替わりは必要』と言われる所以です。
 
会社は、スピードを持って変化していくことが重要です。
でなければ生き残れません。 
ひとつの新たな仕組みの取り入れを決めたら、明日から全社で一斉に実行されるのが理想です。
「トイレ掃除の管理の仕方を決める」 この一つの店舗の効率的な仕組みを、全店舗に展開する、号令を出せば、すぐにされる。

号令を出しても、なかなかされない。
 
変革のスピードの正体は、「全員が決めたことをすぐに実行する」
または「スタッフの入れ替わりがスムーズにされる」状態をいいます。
 
現実には、全員が変われるものではありません。
そうなると、
組織の強さ(仕組みの完成度) = 人が入れ替わっても問題が起きない仕組み と言えます。
 
組織という視点で見た時に、理想としては、どんどんスタッフが入れ替わり、新しい仕組みが問題なく実行され優秀な人材のみが定着する、
それで、顧客を満足させて収益が上がる、ことです。
 
変革のスピードを支えるのが、人事制度・・・首切りの仕組みです
 
首切りの機能を持たない人事制度や
その人材に厳しいことを伝えない人事評価など、
組織的に見た時、まったく機能していないと同じです。

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