No.148:考えていない社員に意見を求めるのは無駄!? 年商10億社長は、会議よりも、〇〇を重視する。

コラム№148

「矢田先生、なぜこんな問題が起きているのか、本当の原因が解らなくなりました。」
 
不良を出し、その対策を行い、半年後に再発、
社員数200名を越える部品メーカーの社長の言葉です。
 
矢田は質問をさせて頂きました。
「この問題について、現場に意見を訊きましたか?」
 
社長:「部長や課長に訊いています。いろいろ釈明はしてくれるのですが・・・」
 
矢田は、進言させていただきました。「訊く人を間違っているかもしれません。」


社長が、人に意見を求める目的は、大きく二つあります。
 
一つ目は、「意思決定をするための、参考意見とする」ためです。
・会社の営業方針を決定するために、コンサルタントに意見を求める。
・顧客との価格交渉の方針を決定するために、営業担当に意見を求める。など。
意見を訊くことにより、社長はより「質の高い決定」をすることができます。
 
二つ目は、「その相手の参画意欲を向上する」ためとなります。
・任せたい仕事があるので、根回し的に、その実行計画の意見を求める。
・経営計画書の課の目標と実行計画の作成に、社員を巻き込む。など。
これにより、その業務の管理者や担当者は、やる気と理解度を得て、「実行力(質・スピード)」を高めることができます。
 
経営による成果は、この「質の高い決定」と「実行力(質・スピード)」の積により決定づけられます。
このどちらも必要であり、いま現在どちらが必要であるかを正しく見極め、それに合わせた方法を使うことで、その効果を得ることができます。
いまその問題に対し必要なのは、「今とは異なる質の高い決定(方針)」なのか、それとも、「社員がそれに向けて邁進するという実行力」なのか。
 
これを、見極めずに使うと、その効果は得られないことになります。
その典型的なものが、「人数を集めて行う会議」です。
会議の生産性は、4名以上集めると顕著に下がります。そして、7名以上になると、生産性という意味では、何も得られるものは有りません。
 
「人数を集めて行う会議」では、まず「質の高い意思決定をするための参考意見」という成果は、得られることはありません。
人は、社会性の生き物です。問題に対しての解決策とは、「現状を否定」することにあります。
「全員で問題に向かう必要がある」と頭では理解していても、そこに「相手の顔」や「周囲の目」がある以上、本当のことを口に出さなくなります。
特に「分業」と「上下関係」のある会社という組織では、その特性が強くなります。
 
私は、そんな会議での場面を、何度も見てきました。
・実は本当の解決策を知っている社員が下を向いている、その横に座っている社員もその彼に意見があるのを知っている。
しかし、そこでは何も発言せずに、社長の最終の意思決定が伝えられます。
・会議が終了するのを待って、「社長に駆け寄る社員」や「数名が集まりどうする?と相談する管理者」。
 
このような結果得られた「質の悪い意思決定」と、当然起こるであろう「納得のない実行」により、その問題は一向に解決されなくなります。


では、会議の正しい目的とは何か? 会議の使い方を確認しておきましょう。
会議とは、「組織全体に対し、強制力を発揮する」ために開催します。
・経営方針を、全社員を集めて発表することにより、その依頼を「全員」に行う。
それにより、「全員が認識」した形を取ります。取り組むことが「正義」、取り組まないのは「悪」とすることができます。
組織では、「ある部門が遅れ、全体のスピードが遅れる」ということも起きます。それを防ぎたいのです。
・会議で、「次の行動と期日」を明確にする。
会議の場で明確にするからこそ、そこに実行力(強制力)を高めることができます。
「〇月〇日までに、品質保証部と協力して、提案書を作成してくれ」と指示を出せば、その期日まで、作らざるを得なくなります。そして品質保証部も協力することになります。その担当者の上司も、管理する必要が出てきます。
 
人数を集めてする会議の目的は、「やらせるため」となります。
それも「組織全体」に対してとなります。
「社会性の高い人間」には、非常に有効な手段と言えます。


では、人に意見を求める一つ目の目的である、社長として、「質の高い意思決定をするために参考意見を得る」ためには、どうするべきなのでしょうか?
それは、「個別に訊きに行く」ことです。
 
冒頭の部品メーカー社長に御聞きしました。
「この問題を解決するための案を持っていそうな人材はいますか?それは、誰ですか?」
 
社長は天井に目を向け、少し考えられています。
そして、閃きと反省の混じったような顔で1人の名前を上げられました。
「M君です。彼はまだ入社4年目で現場作業中心ですが、よく考えられる人材です。」
 
社長は、早速、その考えられる人材であるM君と他に考えられる人材数名と、「個別」に打ち合わせを行いました。
その結果、その問題を解決するための参考意見を得ることができ、「質の高い意思決定」をすることができました。
また、彼らの意見を訊くという社長の態度により、彼らのやる気を高めることもできます。
そして、社長として「その問題の大きさとその解決の重要性」を全社に見せることができました。
「実行力」を得たのです。
 
質の高い意思決定をするためには、「人数を集めての会議」よりも、「考えられる、普段から考えている人材と個別で15分でも話すこと」の方が有効なのです。
その人材は、前向きで、自分で責任を背負う気概のある人材です。
少し強い表現になりますが、この目的の前では、「考えていない人と話すことは無意味」と言えます。
かえって、ありきたりの一般論や出来ない理由を聞かされることになり、惑わされ、質の高い決定から遠ざかる結果になります。
考えていない人に対し、巻き込んで「参画意欲を高める」や「考える機会を与える」という目的では、有り、と急いで付け加えておきます。


年商10億のためには、「個別の打ち合わせ」と「人数を集めての会議」を、しっかり使い分ける必要があります。
そして、規模が大きくなるほど、「個別の打ち合わせ」を、重んじる必要があります。
 
それは、現場情報や本当の情報が上がってこなくなるからです。
 
世の優秀な社長は、個別の打ち合わせを頻繁に行います。
・イベント準備の進捗確認のために、営業部の課長Hさんと打ち合わせをする。
・工場のパートのKさんのもとに出向き、その後の実行状況の聴き取りをする。
・ホームページのリニューアルのため、担当スタッフFさんと企画を練る。
考えている人材との打ち合わせ時だけに、相乗効果が得られ、クリエイティヴなアイディアが生まれます。
 
「個別」に訊きに行くことを怠ってはいけません。
「報連相は、取りにいけ!」が社長の正しい姿勢です。(報連相の教育は、社員に必要ですが。)
 
絶対に、目的を見失った「人数を集める会議」に、走ってはいけません。
人数を集めた時点で、「本当の情報」と「クリエイティヴ」は生まれないと考える必要があります。
もしそれを続ければ、問題は対処的になり、同じ問題が繰り返し起きることになります。
 
そして、その社長のやり方を管理者が真似をし、「人数を集めた会議を開く」ようになります。
その結果、社内は生産性の低い会議で溢れることになります。
また、「現場」に行かない、ようになります。そして、その管理者自身も「真の原因」をつかめなくなります。
 
これらは、年商2、3億、社員数名のステージでも、犯しやすい間違いなので、注意が必要です。
 
現場の考えている人材との「個別の打ち合わせ」を重視する、
これは、年商10億、20億、30億、100億でも変わらない、社長の日常です。

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