No.147:初公開!仕組みの作り方:仕組みづくりが進まない本当の理由とは?

コラム№147

「矢田先生、やはり仕組みの作り方が解らないのですが」
セミナー終了後、1人の社長が質問に来られました。
 
「年商10億のために、何をつくればいいのか、その全体のイメージはよく掴めました。しかし、そのために、どうやってその仕組みをつくればいいのか、どう進めればいいのかが見当付きません。」
 
このような「仕組みの作り方を教えてください」というご質問は、セミナーでも相談会でも非常に多いものです。
そして、私は決まってこうお応えすることになります。
 
「そのご質問には、私ではお答えすることは出来ません」


事業に関するすべてのことについて、『どうあるべきか』を決定すること、
この決定こそが、社長の仕事となります。
 
当社の事業は、どうあるべきか。
どんなお客様が当社のお客様であるべきか。
価格は、どうあるべきか。
新規の開拓方法は、どうあるべきか。
我社の社員の態度や心構えはどうあるべきか。
営業担当はどういう知識を持つべきか、そして、どういう態度であるべきか。
コールセンターの受け答えは、どうあるべきか。
 
事業に関する、ありとあらゆることを決めることが必要となります。
この『どうあるべきか』を決めることで、初めて、そこに『課題』が発生することになります。
 
例えば、営業担当の行動
・打ち合わせ(商談)の終了時には、その場で次回のアポイントをもらうこと。
・見積もりを出したら、2日後にフォローの電話を必ず入れること。
 
社長の経験から、この2つは非常に有効であり、自社の営業担当には絶対にやってほしいことです。
そこで、この2つは「自社の営業担当がおこなうべきこと」として決めました。
 
そして、これを決めたことで、現状とのギャップが生まれることになります。
現状を確認すると、営業担当のA君は出来ています。B君はやったりやらなかったり、そして、C君は全くやっていません。
これでは、A君の成績が良く、C君の成績が悪いのは、当然の結果です。
 
そして、これを解決するために、対策を施すことになります。
・まずは、その2つの項目を「営業担当マニュアル」に追記しました。
・そして、営業日報に「次のアポイントの欄」を設けました。これによりアポを取るという意識付けと、次の行動が見える化されます。
・そして、案件管理表に「見積もりフォローの実施確認欄」を設けました。
これらの仕掛けにより、営業担当の実行力、言い換えれば、営業担当への強制力が高まりました。
この対策のことを、『仕組み』と言います。
 
そして、その『仕組み』をしっかり実行してもらうために、A君、B君、C君に説明をし、依頼します。
良い成績を安定的に出しているA君は、その内容を見て、納得しています。
B君は、その実行の意味を初めて知ることになりました。C君は、「めんどくさそう」な顔をしています。
 
そして、後日、その実行状況を確認します。
やはり、A君は翌日からやってくれています。しかし、B君とC君はできたりできなかったりです。
それでも、なんとか、この「その場で次のアポイントを取る」と「見積もりフォローの電話をする」の2点を、営業担当3名に定着することができました。
 
その結果、商談のスピードが速まる、見積もりからの成約率が高まる、という成果を得ることができました。
この「仕組みをその通りにやってもらうための取組み」のことを、『訓練』と言います。
 
仕組みはその通りに実行されて、初めてその真価を発揮します。「仕組み」と「訓練」はセットと考える必要があります。
 
そして、それらの業務をより効率化するために分業した結果が、「担当や部門」ということになります。
これが、『組織』です。
そして、その受け持った領域の業務が、「しっかり計画通りに進むように管理すること」と「その仕組みを改善すること」が、管理者の仕事になります。
順当にいけば、数年後には、A君を管理者にあげ、「業務の管理と後進の育成」と「営業管理の仕組みの改善」を依頼することになるでしょう。


すべては、「どうあるべきか」を決めることでスタートできます。
「どうあるべきか」があるから、課題が出ます。
課題を解決するために、「仕組み」が必要になります。
「仕組み」を回すために、「訓練」をします。
そして、それを効率よくこなすために分業し、「組織化」します。
そして、その「仕組み」をさらによくするために「管理者」を任命します。
 
「仕組み」とは、「何かマズイ状態を生むという課題」があるからこそ、つくることが出来るのです。
「どうあるべきか」を決めるところに、「仕組み」が生まれるのです。
そして、そのあとに「訓練」と「組織」という機能が必然となるのです。
 
冒頭で、「仕組みの作り方を教えてください」という質問に対し、「そのご質問に答えられない」と応じた理由は、ここにあります。
「どうあるべきか」という社長が描くものと、現状がどうなっているのかが、解らないからです。
「どうあるべきか」の無いところには、仕組みは存在しえないのです。
 
 
社長がすべてにおいて「どうあるべきか」を決定する。
この考えを、社長のワンマン、社長のエゴ、社長は神(宗教)、、、なんとでも揶揄してもらってもかまいません。
しかし、事業とは、「社長の決定によってつくり上げる」という認識が必要なのです。
 
そして、その上で、正しく「仕組み」に向かうという選択をすることが必要となります。
「どうあるべきか」を決定し、現状と比較し「課題」が出た時に、間違っても「人」に向かってはいけません。
 
例であげたとおり、営業担当に何かをやらせるときに、
A君、B君、C君に、「その場でアポを取れ」、「見積もりフォローの電話を・・」と、口で言っているようではダメということです。
 
人は怠けたり、忘れたりするように出来ています。そういう生き物です。注意したところですぐに直るものでもありません。
また、年商10億を目指すためには、営業担当を大量生産することになります。
今は3名ですが、6名、10名、20名。そして、その過程で入れ替りも起きます。
 
それでも、会社は毎年積み上げで、強くなる必要があります。
だから、我々は、仕組みに向かうのです。
 
仕組みづくりが進まない本当の理由は、「どうあるべきかを明確にしていないこと」、
そして「課題解決のために、人に向かってしまう」ところにあります。

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