No.183:PDCAが回せない、管理者が機能しない、、、こういうは、経営計画書を見直すべき。経営計画書を観れば、そこで起きる問題は予測できます。その具体例

コラム№183

「取引先とのゴルフは、必要でしょうか?」
 
当社にご相談に来られたN社長。
終盤に近づき、自社の本当の課題と今後の大きな方針が見えてきました。
一息ついての質問です。
 
矢田はお答えさせていただきました。
 
「必要ありませんよ。」
 
N社長、すでに承知の表情です。
 
「では、経営者の勉強会はいかがでしょうか?2次会の参加は?」
 
「それも特には、必要ないでしょうね。」
 
「では、カリスマ性はどうでしょうか?社員を引っ張る社長の魅力は?」
 
「それこそ、全く必要ありません。」(笑)(笑)


経営計画書を観れば、その会社でどのような現象が起きているか、ある程度予測できます。
下記に代表的な傾向を挙げます。
 
・経営理念や社員のやりがい などの「人」の内容が充実している。
⇒人間性や気づきに関する社員教育に力を入れている。意見交換や社内イベントに多くの時間を割く。社員は、いい人は多いが、売ることに対するガツガツ性や頑固さはない。
 
・数字の表が多い。年間(月次)予算表が、序盤にある。
⇒会社をどうしていくのかという事業戦略や方針が不明確。特に、売ることに関する取組みが弱い。取引先は、数社に限られており、昔からの付き合いである。営業担当の人数が少ない、販促費の予算が小さい。
 
・目標に具体性がない。スローガンになっている。
⇒管理者が管理者としての仕事をせず、作業ばかりしている。問題が起きても対処ばかりで、根本的な対策がされない。そのため、忘れた頃に再発する。
経営計画書の目標は、毎年同じような項目が並び、発展性がない。管理者としての能力が無い人が、重職のポストに居る。そのため、優秀な若手が不満を持っている。
 
・単年度行動計画が無い。または、期間を示す矢印が多い。
⇒やはり、管理者は機能していない。PDCAが回せていない、実行ばかりで、見直しが行われない。期末になって初めて、多くの目標が達成できていないことに気づく。期初に配られた経営計画を、期中、誰も見ていない。社長や優秀な社員のみが、頭に汗をかいている。
 
・組織図が複雑
⇒会議が多く、長い。そして、参加人数が多い。各方針が曖昧。セクショナリズムが強く発生している。組織が複雑になった経緯として、過去に何度も「組織替え」をしてきた。役人多くして事絶えず。
 
・・・
経営計画書とその事象の例を挙げれば、キリがないのでここまで。
 
私は、「仕組みづくり、組織運営は、科学である。」とお伝えさせていただいております。
 
事業戦略やビジネスモデルについては、必要とする要素(法則)はあるものの、最終的には、その社長のセンス(本質への理解、嗅覚、経験、哲学)に寄るところが多くあります。
 
それに対し、仕組みづくりや組織運営については、曖昧な要素はありません。
すべての現象について、何かしらの原因があり、その対策が可能です。その現象に対し、定跡をとれば、改善がされます。
 
そのため、経営計画書を観れば、現在起きている現象も、今後起きるだろう問題も、その多くが予測できます。
 
 
では、その経営計画書とは、何でしょうか。
それは、それが「どのように作られるか」を考えれば明白です。
 
それは、『社長の頭の中』を表したものです。
経営計画書とは、社長の考え方、関心ごと、強化したい点が、表れたものです。
また、社長が感じている危機や課題と考えている事項も、表されます。
 
経営計画書とは、社長が創った虚像(空想、妄想)と言えます。
それは、目に見えるものでもなく、それが真実であるとも言えません。
社長が、創造し、決定したものなのです。
そして、それを具現化するために表したものともなります。読み手である社員や管理者は、社長の考え方を理解し、自分の明日からの行動を、明確なイメージとして持てるようになります。
 
社長の頭の中を経営計画書という形で、社員や管理者に見せ、協力を求めることで、それは日々の目に見える行動と、手に取れる成果となってきます。
 
社長の頭の中=(イコール)経営計画書なのです。
経営計画書にこそ、社長の頭の中が表されることになります。
 
 
その一方で、社長の頭に無いことは、経営計画書には、載ってこないことになります。社長自身が気づいていない点、社長自身が認識していない事柄は、表れようがないのです。
また、曖昧な点や迷う事柄は、ボヤケタ文章として表されることになります。そのような文章では、やはり読み手がすっきり理解することができません。明日からの自分の行動をイメージすることができないのです。
 
私は、社長が創られたその経営計画書を拝見し、その不足する点をお伝えさせていただきます。それにより、社長自身は、自分の中に無いところまで、考えを巡らせることができるようになります。視界を大きく拡げることが可能となります。


「経営計画をつくるために、どれぐらいの時間がかかりますか?」
とよくご質問を受けます。
 
その時には、このようにお答えさせていただきます。
 
「だいたい〇回ですね。」と。
 
経営計画書をつくるためには、何度も机に向かう必要があります。
1回目の机では、当然、ほとんどの項目を埋めることはできません。
3回ほど机に向かうと、全項目がなんとか埋められるぐらいです。それも、サンプルから多くを写した状態です。そして、空白の欄も残っています。
 
そして、文章もまとまっていません。
営業面では、新規開拓のやり方やDMの内容物までが、ごちゃごちゃになっています。ホームページの更新の担当者やマニュアル作成までが、同じ項目にあります。
アイディアレベルで、これから検討が必要な項目も多くあります。
また、一つの文章が長く、2行3行あります。切れ味はありません。
 
ここで止めてはいけません。
経営計画書の空白部分は、今まで社長自身が考えたことがない項目です。
ごちゃごちゃな項目は、社長自身の考えがまとまっていないことの現れです。
長文は、余計な飾りがついている状態です。
それに向かわなければいけません。
 
負けずに「机に向かう」ことを選ばなければなりません。勇気を持って、文字を打つのです。
 
1回机に向かえば、それだけ文章が整理されることになります。
読み返せばそれだけ、自分と向き合うことになり、どんどんアイディアや考えが浮かんできます。文字を消し、文字を加えての繰り返しで、その文章は研ぎ澄まされていきます。捨てるものも決まってきます。
 
その繰り返しにより、経営計画書は、シンプルになってきます。
合わせて、社長の頭の中も、シンプルになってきます。
 
自社がどこを目指すのか?
どういう特色を築いていくのか?
そして、自分の会社で、「何をやりたくて、何をやりたくないか」も、明確になってきます。
 
経営計画書とは、やることを決める為にあります。
それ以上に、やらないことを決める為にあるのです。
沢山のやった方が良いこと(GOOD)を捨て、我社を大きく飛躍させる本当に重要な活動(BEST)に絞るためにあります。


実際に、正しく作られた経営計画書とその正しい運用が始まると、その過程で、よりその経営計画書は、磨かれることになります。
 
その運用により、本当に必要なものが見えてきます。社長は、事業の様子や会社全体の動きが、手に取るように解るようになります。
そして、自信を持って、捨てられるようになります。止めるという方針も社内に打ち出せるようになります。
 
1年経過し、次期の経営計画書は、よりシンプルでシャープになっています。
重点項目も減っています。マーケティングの流れも、シンプルになってきます。
各部の単年度の目標も、2、3個になります。
 
その結果、経営計画書の総文字数やページ数は減ってきます。
そして、読み手である社員や管理者は、より明日からの自分の行動をイメージ出来るようになります。その少ない目標達成に、追い込まれることになります。その結果、益々事業の発展スピードは速くなります。
 
毎年毎年、シンプルになり、速くなります。加速度が、ついてきます。
そして、気づくと、社長の生活もシンプルになっています。
 
朝は、5時に起き、仕事をします。
社長として本当に重要な仕事は、社員が出社してくるまでに終えています。
午前中は、各部門長と打ち合わせを行います。依頼事項の進捗確認です。
そして、午後から業者との打ち合わせや社内の会議に参加します。
夕方事務所を出て、ジムで汗を流し、夜は家族と一緒に食事をします。
そして、遅くとも22時には、眠りにつきます。前進しているという充実と安心を持って寝ることができます。
 
人は、向かう先が見えない時に、複雑化を招き入れます。
進む先が見えない時に、焦りに包まれます。
そんな時、新しいものを探す、やったことのないことに手を出します。
他の人が何をやっているか気になります。自分の目標を持って頑張っている人を見ると、落ち込んだりもします。
 
人は、自分の進むべき先が明確に見えている時は安定します。
そして、忙しく厳しい日々も充実したものに感じられます。
その結果、今までの友達との付き合いも減ってきます。
体を動かすことも、家族との時間も、休日も、その絞られた先の為にあります。
 
お付き合いのゴルフも、勉強会も、その2次会も、自分が目指すべきもので取捨選択をすることになります。
会社は、経営計画書で動いています。社長のカリスマ性も必要ないのです。
 
社長の仕事は、「創る」ことです。それに対し、社員や管理者の仕事は、「造る」ことです。
それぞれがその役割を全うすることで、初めて事を成し得ることができます。

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