No.198:新規事業の成功の条件。これだけはダメ!そこに手を出せば、確実な失敗が待っています。

コラム№198

1月の夜、書斎のフローリングに崩れ落ちることになりました。
 
食事を終え、寝るまでの暇を潰すためにパソコンを立ち上げ、メールを確認する。
顧客企業の女性スタッフからのメールが一通あります。
 
開く。
 
そこには、「労災事故があり、社員が一人亡くなったこと。そして、社内は最近になってやっと落ち着いた。」とあります。
 
これほどに悲しい話はありません。幸せになるための仕事で事故が起きる、自分の会社で人が亡くなる。
 
「社長、つらいなあ。 つらいなぁ。」
涙が溢れます。


『何に困っているのか?』
その人達は、本当に、何に困っているのか。
 
これを探すことが必要です。
自分たちの取引先やサービスを提供する人達が、どんな課題を持っているのか、それを知ることこそがビジネスの第一歩となります。
 
・毎日寝つきが悪い。不眠である。
・試作用の金属加工部品を早急にほしい。しかし、入手に1週間かかる。
・もっと集客が出来、客単価があがるような店舗づくりがしたい。
 
その課題が「その人」にとって大きいほど、お金を払います。
その課題が解決されるなら、割引も必要ありません。それどころか、倍の金額を払っても安いと感じます。
その解決を提供した者は大きな謝礼をもらうことになります。
 
『彼らは、〇〇で困っている。当社として、そんな〇〇で困っている人達に、□□というサービスを提供する。』、これが事業となります。
この「〇〇という課題に自社の□□を提供する」という組み合わせがビジネスモデルです。これこそがすべてのビジネスのスタートになります。
そして、すべての企業活動も、自分たちの存在意義も、この定義に従うことになります。
 
しかし、驚くことに、自分たちの「顧客が何に困っているのか」、解っていない企業は多くあります。
 
・ネット通販サイト:自社のサイトから買ってくれている人の属性を知りません。業種は何か?会社の規模は?そして、どうして競合ではなく自社のサイトから継続して買ってくれているのか。
・建築資材卸:自分たちのお客様が、「数名規模の工務店」であることに気づいていません。取引先名簿に、中規模や大手の工務店は全くいません。その理由を把握できていません。
 
何に困っているのか、それを聴きに行くことを忘れてはいけません。その課題が把握できた時点で、多くのビジネスは成功します。
逆を言えば、この課題がないところに、何をぶつけてもだめなのです。
いくらそのサービスが特徴的でも、いくら最高のテクノロジーを込めたとしても、いくら安くても、いらないものはいらないのです。
業績悪化の最大の原因は、「課題」を掴めていないことにあります。
 
自社が得意なもの、自分が好きなものもダメなのです。そこには、「大きな課題」が必要なのです。金になる「大きな課題」が必要です。
 
 
そして、そんな課題を持つ顧客に対し、しっかり知らしめること。そして、しっかり教育をすることが必要になります。
その顧客はまさか自分の課題が解決できるとは思っていません。だから自分で探そうともしません。または、別の選択肢をすでに持っているかもしれません。
 
・不眠を解消するために、薬を飲んでいる人がいます。寝つきをよくするために、お風呂や布団について考えているかもしれません。まさか、光の目覚ましで解決されるとは、想いもしません。
・試作用の金属部品の加工を、その日に発注すれば、その日に納めてくれる会社があるとは夢にも思っていません。その顧客は、今現在「一週間」の納期で、「高額」を支払っています。
 
なぜそれが必要か、なぜそれで解決できるのか、を教育する必要があります。
当社のクライアントもそうです。
年商数億企業の社長のもとには、多くの「誘い」が届きます。
年商10億に行くためには、「社員教育が必要である」や「集客をもっと強化すべきである」など、課題解決のための「誘い」が寄ってきます。
そんな沢山の選択肢の中から、ひとつの解決策を選ぶことになります。
 
そのような状況の中、当社は解決方法として、「年商10億の条件を揃えるコンサルティング」を提供しています。
この当社のサービスに気づいてもらい、もっと深く理解してもらうために、本やセミナーを提供しています。そして、その後もメルマガを届けます。
当社は、皆さんを「誘い」、その後も「洗脳」を続けています。それにより、「御社の課題」を育て、よりお金を払いやすくします。そして、他社のサービスには浮気しないようにしています。
 
自分たちのお客様の課題が解るから、「正しいサービス」ができるのです。
また、その人達がその課題を解決するためにどう行動するかが予測できるから、「正しいアプローチ」ができるのです。
そして、その課題の大きさが解るからこそ、「正しい値決め」ができるのです。
 
何に困っているのか。その把握なしには、強いビジネスも繁盛もあり得ないのです。この定義が、シンプルであるほど、その事業は魅力的になります。そして、組織の構成員もそこに強く導かれるようになります。
 
課題を探すことが第一歩です。


新規ビジネスの成功の条件は大きく以下のものとなります。
 
1.課題からビジネスを考えること
素晴らしいアイディア、高度な技術に、自惚れてはいけません。市場を見ないところに失敗があります。
 
2.大きくなるビジネスを選ぶこと
年商2億の会社が、年商2億の新規ビジネスを立ち上げる、これは失敗です。
中途半端な規模のビジネスが増え、少ない資源を分散することになります。
年商2億まで行ったなら、それを種銭にして、年商10億になるビジネスを立ち上げにかかるのです。
 
3.人の意見を聞いてはいけない
役員会、身内、社員、多くの人に意見を求めるほど、そのアイディアは「無難化」します。その結果、「皆が良い!」と言う、「ありきたりのビジネス」が出来上がります。ビジネスは、「皆と違うこと」をするから儲かるという原則を忘れてはいけません。
 
そして、次のものが、一番重要になります。
 
4.社長自身が「共感」できる課題を選ぶこと
自社のサービスを考える時には、「課題」を探すことになります。その「課題」に対し、強い共感を社長が持てることが必要になります。
・自分自身も、不眠で苦しんだ。
・エンジニアはモノづくりに真剣である、納期も迫っている。目の前で懇願された。夜中の工場の外で仕上がりを待つ人までいる。
 
そんな自分の経験があり、そこに共感が生まれます。
「眠れないと、苦しいよね」、「計画のしわ寄せは、全部現場が被ることになるよね」。だから、「何とかしてあげたい」。
その共感が有るからこそ、その人達の課題に真剣になれます。そして、この後の幾度の困難にも、立ち向かえるのです。
「私の人生は、不眠で苦しむ人達のためにある」、「我が社は、プロ根性のあるエンジニアのために存在する。」、この思いがすべての原動力となります。
 
そして、その「分野」の事情や技術について『熟知』している必要があります。熟知しているからこそ、その課題解決のための、方法(ソリューション)を思いつくことができます。そこにこそ商品やサービスが生み出せるのです。
 
「共感」と「熟知」のあるところにこそ、ビジネスは生まれます。そして、繁盛も成り立ちます。
それの無いところに、解決策のアイディアは生まれません。より良く改善する原動力にもなり得ません。すぐに停滞することになります。また、少しの困難でくじけることになります。または、飽きることになります。
 
そして、社員も、その社長の「興味のなさ」を見抜きます。そんな社長を、リーダーとして尊敬することはできません。社員は、社長のその真剣な思いに「共感」をしているからこそ緊張感を持って働くのです。
その課題に対し、社長自身が「共感」できないのであれば、手を出してはいけないのです。例え、大きな金になると解っていてもだめです。


冒頭の企業を率いる社長は、声が大きく、豪快に笑います。
どんなことにも真剣に考え、行動します。作業服で、社員と一緒に現場で汚れることをなんとも思っていません。
 
想像できてしまいます。
事故の一報を受けた時の凍る顔、騒然とする現場、遺族との対面、葬儀。
そして、夜、一人になった時。
社長は、きっと泣いたでしょう。何度も何度も泣いたでしょう。
そして、今でもたまに泣けちゃうでしょう。
 
社長は、背負うことになります。
自分に取り込み、生きることになります。亡くなった社員のこと、遺族のこと。
 
そして、約束します。
「二度とこんな事故が起きないようにします。もっと良い会社にします。お客様、取引先、社員、この会社に関わる人すべてを幸せにします。」
 
泣けてしまうのです。
その人を、その人の背負うものを知りたいのです。
そして、その背負うものの一片でも、受け持たせていただきたいと思います。
 
悲しいこと、苦しいこと、そして、うれしいこと。
そんなすべてをひっくるめて共にしたいのです。お役に立ちたいのです。
私は、社長を見ていません。私は、社長の後ろを見ています。
 
 
我々の原動力は、「共感」のなかにこそ有ります。
皆様が、心から共感できる人と課題のために、事業をつくるのです。

●コラムの更新をお知らせします!
 下記よりメールアドレスをご登録頂くと、更新時にご案内をさせていただきます。メルマガ限定の矢田のショートコラムもあります。
 
メールマガジンへご登録いただいた方へ、当社で開催しているセミナーの冒頭部分(約12分)をまとめたセミナー動画をプレゼント中!
ぜひご登録ください。(解除は随時可能です) 

 

メールアドレス(必須)


名前(必須)

 

 

 
メールアドレス(必須)


名前(必須)

 

 

お問い合わせ

 営業時間/9:00-17:00
(土日祝除く)