No.220経歴重視で採用する会社には、絶対的に〇〇が無い!成長企業の人を選ぶ2つの基準とは

№220:経歴重視で採用する会社には、絶対的に〇〇が無い!成長企業の人を選ぶ2つの基準とは。

K社長は、内線で資料を持ってくるように依頼しました。
 
トントン
「失礼します。社長、資料になります。一様こちらもお持ちしました。」
「ありがとう。ああ、ありがとう、助かるよ。」
 
矢田も余計なことを言います。
「優秀そうな方ですね。」
 
K社長も嬉しそうに彼女を紹介します。
「そうなのですよ。カスタマー業務全般を管理してもらっているAさんです。」
 
彼女が出ていった後に社長は補足をいれます。
「彼女は、まだお子さんが小さいので、一日4時間勤務です。」


年商数億から年商10億に進む時、一番大きく変わるのが「社長」です。
事業モデルの作り方、サービス量産の仕組み、そして、人の活用の仕方。それぞれが、年商10億の考え方に置き換わることになります。
 
他社のビジネスやフランチャイズチェーンの儲けの構造が解るようになります。
仕組みで業務を回すための要所が解るようになります。
そして、どのような社員が「本当に優秀」なのかも解るようになります。
 
どのような社員が優秀か。
仕組みが出来ていない会社と、仕組みが出来ている会社では、この「優秀」の定義はまったく異なります。
 
仕組みができていない会社では、「その時、その場に、自分で対応し、なんとか収めてしまう人」となります。
会社として守ってもらう業務の流れはありません。当然、伝えるべきことも明文化されていません。その人の能力で、その人の人間性で、なんとかその場を収めてくれます。そんな人が、「優秀」です。
 
そんな会社の社長は、「優秀な人が欲しい。」、「右腕がほしい。」と願っています。
優秀な人さえいれば、いまの状況を脱せると信じています。
 
それに対し、仕組みが出来ている会社では、「仕組みを作れる人。仕組みを直せる人。」が優秀となります。
会社として守ってもらう業務の流れが有ります。まずは、あるポジションに入り、それを「その通り」にこなせる様になってもらいます。そして、考える力とプラスアルファの働きをする習慣を持つ人に、管理と仕組みの改善の役割を担ってもらいます。その業務は、優秀な社員が担当した時に、進化することになります。
 
そんな会社の社長は、優秀な人もいつかは居なくなると解っています。そして、「優秀な人には、この先も自社でバリバリ働いてほしい。」と本気で考えています。
そして、そのための仕組みづくりを淡々と進めています。
 
 
「優秀」の定義は、採用基準にも大きな影響を与えます。
 
仕組みが出来ていない会社では、経験を重視します。
同じ業界で働いた職歴がある。前職では、管理者をやっていた。
自社には、仕組みが無いので、その「経験」でなんとか収めてもらうことを期待します。
 
それに対し、仕組みがある会社では、価値観を重視することになります。
基礎能力があれば、自社の仕組みと訓練体系で、戦力化することが可能です。短期間で生産性をあげてもらうことができます。
選考の時に重視するのは、その人の「価値観」となります。その人のモノの見方や考え方という習慣は、なかなか変えることはできません。
それ故に、「当社の価値観と合うか」を重視することになります。
 
当社のやっているビジネスが好きであること。ファッションが好き、モノづくりが好き、人のお世話が好きなど。根本的に、そこに好きや興味が持てないと続きません。
そして、当社の大切にしている価値観が受け入れられるか、本物を提供する、絶えず最先端でいる、など。そこに共感をしてもらえないとチームの一員として働いてもらうことはできません。価値観に共感できるからこそ、長く働くことも、活躍してもらうこともできるのです。
 
採用の基準は、下記になります。
1.人:真面目に働くか、考える力があるか、プラスアルファの仕事を喜びとして持っているか。
2.価値観:当社の事業に興味があるか、当社の価値観や考え方に共感してくれるか。
 
回っている仕組みの前では、職歴や経験というものは、大きな意味を為さなくなります。この会社の価値観の前では、同業での経験は、かえって邪魔になることもあります。
 
仕組みがないために、経験を重視した採用をする会社でも、「価値観が合わない」ために、後々問題が出てきます。
経験を期待して、会社として多くのことを伝えることをしません。マニュアルが無くても、そこそこ回してくれます。
そして、時間が経つと、合わなくなってきます。その人は、考えることをしません。正確に表現すると、考えることを喜びとしません。
その人は、プラスアルファで仕事をやろうという気はありません。言われたことだけをします。ひどいと、仕事が増えることに拒絶感を表します。
会社の価値観に共感していません。そんなことはその人の人生では考えたこともありません。
 
募集をかける時に、価値観を発信していませんでした。面接の時も、価値観を説明していませんでした。完全なるこちらの落ち度です。
 
2、3年後には、その社員は会社を去ることになります。
その社員が居た2、3年の間に、成長した仕組みはありません。何も残っていません。
 
仕組みの発想がある社長の会社では、価値観を基準に採用をします。また、その人がより長く、より活躍できるように仕組みを整備します。その結果、優秀な人が増えていきます。前向きで、感じの良い人が増えていき、職場の雰囲気も良くなります。好循環で、会社は成長していきます。
 
仕組みの発想が無い社長の会社では、経験を基準に採用します。仕組みがないので、積みあがるものがありません。根本的な価値観が合わないのでその人は2、3年でいなくなります。そして、優秀な人も「疲れて」去っていきます。
価値観の合わない人が多いために、職場の雰囲気は悪くなります。チームワークを良くしようという前向きさは感じられません。悪循環で、会社は衰退をしていきます。


年商数億企業から、年商10億へ進む時、社長の考え方がそれにふさわしいものになります。
そこには、「パートタイマー」も含まれることになります。
 
パートタイマー:その職場で、正規の労働時間として定められている時間より、一日・一週・一か月あたりの労働時間が短いこと。短時間労働。⇔ フルタイム
 
年商数億の企業では、パートタイマーを「補助的な作業」をする人として採用します。そして、そのような『作業』をやってもらいます。
 
それに対し、年商10億の企業では、パートタイマーを「長く在籍し、戦力となってくれる人」として採用します。そして、「遠慮」なくそのような『仕事』を提供します。
 
年商10億企業では、パートタイムで働く人が、ガンガン仕事をしています。仕組みの改善やマニュアル作成も行います。外注業者とのやり取りも行います。会議に参加し、しっかり意見も述べます。
補助的な作業要員とみている企業から見ると、驚くべきレベルの仕事を任されています。
 
冒頭のK社長は、年商10億への取組みの途中で、ある疑問を持つようになりました。
「パートタイマーとは何か?」
そこで矢田に意見を求めました。
 
「矢田先生、パートタイマーという雇用体制は、当社のような業種には合わないように感じるのですが?」
 
また、K社長は、彼女たちの安定と活躍のためにも、良くないのではないか。
そして、正社員とパートという、「待遇」や「身分」がちがう者同士が、チームとして本当に協力し合えるのか、とも思うようになっていました。
 
パートという制度のメリットとデメリットを、会社、本人、そして、チームという視点で検討をしました。
 
そして、パートという雇用体系を廃止しました。その代わりにつくったのが、6時間社員、4時間社員という制度です。そして、もっと彼女たちが働きやすくなるように、休みやすくなるように、仕組みづくりに取り組みました。
社労士に相談し、給与体系や雇用期間なども見直しました。
 
その結果、浮き出てきたのが冒頭のAさんです。
彼女は、パートでした。そして、4時間社員になりました。
その結果、彼女は、力を発揮するようになりました。社長も遠慮なく仕事を振る様になりました。彼女は、プラスアルファの働きを自分の喜びとする人でした。
 
いままで、彼女自身も、「自分はパートだから」と遠慮をしていました。
社長や職場も、「彼女はパートだから」と、戦力として見れていませんでした。
「パートだから」。K社では、「パート」という言葉が、呪縛のように働いていたのです。
 
年商数億企業では、彼女らのことを、「パートの〇〇さん」と紹介します。
また、経営計画書やホワイトボードにも、〇〇さんがパートであることが解るようにマークがあります。
 
年商10億企業では、彼女らが短時間労働であることは、全く解りません。
シフト表を視れば解ります。その仕事や会議での発言の様子をみると、誰がその制度を使っているかは全くわかりません。
役職が付いている人も当然います。
 
パートタイマーとは雇用体系です。それに対し、短時間労働とは、制度なのです。
制度なので、子育てや介護というその人の人生のタイミングで、利用したり、元に戻したりすればよいのです。だから、社員全員が対象になります。
 
 
書類を届け、部屋を出る時に、Aさんは会釈をしました。
「ありがとうございます。」
 
その言葉は、K社長に向けられていました。
 
 
当社で、長く働いてもらう。当社で、活躍してもらう。
そのつもりで採用する。そのつもりで会社という器をつくる。
 
そのつもりで、儲かる事業をつくる。そのために、価値観を一緒にした社員と知恵を絞るのです。

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