No.221:売上げが伸びない理由は、大きくは3つしかない!そして、その根本にある致命的な事業モデルの欠点とは?

№221:売上げが伸びない理由は、大きくは3つしかない!そして、その根本にある致命的な事業モデルの欠点とは?

設備メーカーのM社長、私の準備が整うのを待ちきれず、話し始めます。
 
「ホームページから問い合わせが来ました。先週、さっそく行ってきました。」
 
その問い合わせ元は、誰もが知る大手食品メーカーです。
M社長、嬉しそうです。
「やっぱり絞ったのが効いているのだと思います。昔ではこんなことは考えられません。」
 
矢田は、B4の紙と三色ボールペンを机にセットし終わりました。
顔を上げます。
 
「社長、昔って、まだ半年前のことですよ。」
 
(笑)


売上げが伸びない理由は、大きくは3つしかありません。
 
1.価値が無い。
2.届いていない。
3.競合に負けている。
 
このどれか、または、このすべてが当てはまるから、売上げが伸びないのです。
 
1.価値が無い。
そもそも、扱っているモノに価値がない、または、価値を感じない人に売っています。
時間の変化とともに、人の購買の動機は変わってきます。また、人は飽きます。
その時には新しいものも、必ずコモディティ化し、同じ値段では売れなくなってきます。
 
また、それが「価値」に成っていないことも多くあります。
価値とは、それを使う人が感じるものです。感じるためには、それが見える状態になっている必要があります。それが、触れられる状態になっている必要があります。
その価値が見える触れられるという状態になったモノのことを、商品といいます。
お客さんが買うことができる形の「商品」になっていない企業は多くあります。
その代わり、「技術力」や「提案力」、「対応力」を買ってくださいと、お客様に無理なお願いをします。
商品が無いために、人間関係で仕事をとってきます。または、訪問回数を増やしたりします。そして、その相手の課題を聞き出し、一生懸命に応えます。その結果、「社長」や「一部の優秀な社員」の技術力は、さらに高まることになります。
 
2.届いていない。
その商品を喜んで買う人は、きっとまだ沢山いるはずです。
でも、売れていきません。売れない理由は、明白です。知られていないからです。
その人は、どうやったら当社の素晴らしい商品のことを知ることができるのでしょうか。
新聞の広告を見たり、ディスプレイ広告に出てきたり、展示会でブースを訪れたり。何かしらのきっかけが必要になります。
そのきっかけを仕掛けていかなければ、知られることはありません。
宣伝広告に取り組まなければ、広がることはありません。宣伝広告に金を掛けていないために、売上げが伸びないのです。
 
3.競合に負けている。
人は購買をするときには、何かしらの比較をします。ホテルを予約する、パソコンを購入する、システムを導入する。3つの候補を出し、何かしらの評価軸を設け、購入の意思決定をします。
その結果は、いつも決まっています。
その3つのうち、8割の人が一つを選びます。2割の人が別の一つを選びます。もう一つはゼロになります。
 
その8割を獲る商品の企業は、「相手と比較させる」つもりで、資料やホームページを作成しています。「見込客は、どんな気持ちでこのサイトを見るのだろうか」、「支払い方法はこれで足りているのだろうか」。いろいろ想像します。そして、同業他社の観察を怠りません。実際にテストをしてその結果を慎重に視て、答えを出します。
また、客に直接訊いたりもします。「どこと比べましたか?どうしてうちを選びましたか?」
 
2割とゼロの会社は、「他社と比較されている」という想像力を持ち合わせていません。
市場には、お客様と自社しか存在しないと思っています。そのため、「見せ方」や「買いやすさ」に努力をしません。
もっとひどいと、自社しかいないと思っています。その結果、「いいものをつくれば売れる」という発想しかありません。売上げが落ちると、「もっといいものをつくる」ということをします。それは、「お客様無視」の態度なのです。
 
 
「技術力」という謳い文句は、言ってしまえば、『お客様無視』の姿勢を公言しているのと同じです。
 
お客様がなぜ買わないのか、なぜ買えないのか。
そこに真摯に向き合っていません。その努力を怠っているのです。
お客様が目で見えるような商品になっていません。沢山のお客様が「自然に」気付けるような広告に取り組んでいません。社内で検討できるような整理された情報を提供していません。
お客様を無視して、自分たちの好きな「技術」に走っています。社員は、それで問題はありません。肝心要の社長までもが技術に向かっているのです。社長が、向かうべきは、お客様です。
 
そして、他社に負けてしまいます。
負けて当然です。
 
ライバル企業を観て、「この会社に、技術力はありません。当社のほうが、断然レベルは高い。」と言います。そして、買いやすさで負けています。
技術の問題ではないのです、お客様が、買いやすいようになっていないということが問題なのです。


当社は、〇〇が得意です。
これを決めなければなりません。
そして、その評判を強めていきます。
 
企業の活動においては、そのすべてがひとつの評判を強めるためにあると言っても過言ではありません。
新商品は、その評判をさらに高めてくれます。宣伝広告は、マーケットにその評判を知らしめてくれます。効率的なシステムは、より早く、より正確に、お客様にサービスを提供し、信頼を積み上げていきます。
その評判を高めるために貢献してくれる人を採用していきます。研究開発費も設備投資も、その評判に集中投下します。
 
その結果、その市場では、圧倒的な評判を得るようになっています。
競争相手は、その分野への投資を控えるようになります。新たな参入もありません。
そして、益々、勝ちやすくなります。№1であることの益を十二分に堪能できるようになります。
 
我々は、ある分野で№1になるために事業をやっているのです。
この考えを、忘れてはいけません。忘れると、中途半端な事業を複数持つというつまらない状態に陥ります。
 
当社は、〇〇が得意です。
これを決めることこそが、№1への第一歩となります。
 
「御社は、どの分野で、どのような評判で№1になりたいですか?それを決めていますか?」
 
その市場と、そのつくった商品が強く合致していれば、すぐにその効果が見えることになります。それも、驚くほど早くにです。
 
 
冒頭のM社は、それを決めました。
そして、その半年後に、その効果を実感することになりました。
 
M社長は、大手菓子メーカーから問い合わせを頂いたとき、疑問に思いました。
その企業のラインナップを見ると、当社の設備はいらないはずです。
そして、その疑問を解消するために、自ら飛行機に乗ってその会社を訪れました。
 
その理由は、「新商品を本格的に量産するため」でした。
すでにテスト販売で実証を得られたので、展開の段階に移行するとのこと。担当者は、量産設備を依頼する先を探すために、「〇〇」と「設備」の単語で検索をしました。
 
その時の訪問は、3時間となりました。
工場内に通され、現在の生産工程を見せてもらえました。工場の責任者からは、矢継ぎ早に質問を浴びせられました。応接室に戻って知ったことですが、その方は常務でした。
次回の見積提示の訪問日を決めて、帰路につきました。
 
「過去に、こんな大手からの直接問い合わせが来ることはありませんでした。そして、こんなにテンポの速い商談もありません。それも金額は大きいのです。」
 
M社長は、その面談で感じました。
・自分が客としてもてなしを受けていること。
・また、その道のプロフェッショナルという敬意を持たれていること。
 
これこそが、〇〇が得意であると決めた効果です。これこそ、〇〇が得意であると発信した効果です。新商品の立上げへは、こちらからアプローチすることはできません。相手に探してもらわないとどうしようもないのです。
 
半年前に決め、その後に「少し」動きました。ホームページを作り直し、フェアに2回参加しました。そして、出会う人に挨拶をしました。
それらでは、一貫して、「株式会社〇〇設備です。〇〇が得意です。」と、自社を紹介しています。
 
何かの評判に絞ると、相手が探して寄ってきてくれます。探しやすいのです。
その解りやすいメッセージは、お客様にスパ!と伝わります。
そして、実際に必要としており、ニーズの合った客が寄ってきます。
『会社として、相手を動かす力』を、得ることができます。
 
これが、絞らないと、逆が必要になります。
その相手を探さなければなりません。その相手に寄って行かなければなりません。
相手のなかでの必要性を「高めなければ」なりません。そして、値引きを求められます。
絞らないために、『社員に相手を動かす力』が必要になります。
 
ここに社長としての決断が必要になります。
何かを選ぶとは、何かを捨てることを意味します。
一つの評判を強く発信すれば、他の評判を捨てることになります。
 
それをしないと社長や一部の社員の技術力は高まっても、会社の評判は高まらないのです。
 
どの分野で、どのような評判で№1を獲りに行くのか。それを決める時が来ています。

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