No.253最新技術を活かせない会社、優秀な社員を活かせない会社、そこに共通して〇〇がない

№253:最新技術を活かせない会社、優秀な社員を活かせない会社、そこには共通して〇〇がない

「矢田先生、優秀な人が欲しいのですが、募集をかけていいでしょうか?」
システム開発業F社長の問いです。矢田はお応えします。
「まだダメですね。もう少し待ってください。」
 
その2か月後、F社長は、再び訊きました。
「矢田先生、優秀な人が欲しいです。いいでしょうか?」
矢田も、賛同します。
「いいですね、欲しいですね。採用活動を始めましょう。」
 
優秀な人を求めて良い段階と悪い段階があります。
そこには、明確な基準があります。


毎日、新しい技術が生み出されます。
それに関係して、下記のようなご相談を多くうけます。
「ドローンを使ったビジネスをしたいのですが。」
「いち早くAIを活用すれば、勝てると思います。」
 
これらに対する答えは明確です。
「それでは、絶対に金になりません。」
 
これらの質問に似たもので、次のようなものもあります。
「〇〇という大企業から、コラボの話をもらっています。」
「その分野の権威である〇〇教授との共同研究が決まりました。」
この手のものの多くが、金になった試しがありません。
 
「技術では、金に成らない」ということを理解する必要があります。
ドローンもAIも、そのままでは唯の技術と言えます。『その技術を何に使うのか』を決めることで初めてビジネスになります。そこに市場が生まれるのです。
 
ドローンを使って、トンネル内のクラックを調査する。
ドローンを使って、高級住宅街のセキュリティを強化する。
その用途があって初めて、ドローンという技術は、価値を生むことになります。
 
最新技術は、あくまでも『材料』であると、考える必要があります。
ドローンもAIも唯の材料です。それと『誰のどのような困りごとを解決するのか。』という組み合わせにより、市場が生まれ、金が動くことになります。
 
大企業とのコラボも、〇〇教授との共同研究も同じです。その対象がなければ、唯の「リップサービス」であり、「趣味」で終わります。
明確に、そこに事業定義が必要になります。「自社の〇〇という技術を使い、〇〇という課題を持った人に、〇〇という価値を提供します。」
 
多くの社長が、大企業とのコラボや〇〇教授との共同研究という一見の華やかさに、浮かれてしまいます。しかし、この定義がないために、その後自然消滅することになります。
 
最新技術も人脈という材料も、その使い道が当たって初めて、金になるのです。
インターネットが生まれた時、多くの市場が生まれました。最新技術が出るたびに、新たな市場が生まれます。
 
その最新技術により、自社はどのような市場を生むことが可能か、それを必死に考えることが必要です。その役目を担う人を、『社長』と言います。
 
多くの人が、最新技術のニュースを聞いて、「すごいなー」と感心するだけで、それを自社のビジネスに活かそうとは考えないのです。その結果、新興企業が、その業界にイノベーションを起こすことになります。その企業は、「既存の事業では考えられない価格」で、よりすごいサービスを展開してきます。


優秀な人のことを『人材』と言います。彼らを活かすためには、明確な対象が必要になります。
 
人材をどこに使うのか、どの対象に向けて頑張らせるか、その対象の選定こそが重要となります。
「A君は、トンネル内での調査に適したドローンの選定とセッティングを頼む。」
「B君は、トンネル内で、瞬時にクラックを読み取る技術を確立してくれ。」
 
この明確な目標があって、初めて優秀な人、すなわち、人材を活かすことができます。彼らの専門能力と熱意を発揮してもらうことができます。
 
そして、商品として確立でき、ターゲットとした人達に、「ウケた」時に、ビジネスは成立します。バカウケすれば、大きく発展し、儲かることになります。
 
優秀な彼らに対し、これぐらいの具体的な目標を与えられなければ、その能力を発揮することはありません。彼らは、その熱意を眠らせ、日々淡々と作業をすることになります。
 
「トンネル内のクラックを探す」ことを外せば、元も子もありません。
彼らが優秀でも、その市場を外せば、ビジネスは成立しなくなります。または、他社と価格で比較されることになります。その成果の出ない状況に、人材はやる気を失うことになります。
 
優秀な人材を、どんな対象に向け、頑張らせるのか。彼らの高い能力と熱意を向かわせる目標の選定こそがすべてです。「自由にやっていいよ」という目標のない状態では、彼らは動けなくなります。明確な目標が彼らの能力を活かすのです。目標の選定が成果の多くを決めるのです。
 
その対象を決めること、彼らが全力を掛けるべき目標を決める人のことを『社長』といいます。


冒頭のF社は、事業モデルの構築に掛かっていました。
そのシステムを、「誰が喜んで買うのか」を見つけられずにいました。
仮説を立て、提案書を作り持っていく。ホームページを製作し、広告をかける。
 
やることの多さに、F社長は「優秀な人がほしい」と漏らしました。それが、まだ早いことを、F社長も解っていました。
採用できたとしても、その高い能力と熱意の向かう先が、見つかっていません。だから、活かせないことは解っています。
 
その2か月後に、「これだ!」という市場を見つけることができました。
そこには、非常に困っている人達がおり、自社のサービスが受け入れられることが、分かりました。それにより、必要となる仕組みが見えてきます。
・最初はフリーでダウンロードしてもらう。そして、そこから・・・
・クラウド上で、サービスを提供するようにしよう。設備として・・・
 ・毎月レポートを提供するようにしよう。そのためには・・・
 
これらが、このサービスの設計となります。そして、彼らに一生懸命に取り組んでもらう対象となります。
これらを具現化できる人材がほしくなります。どのような能力を持った人材が欲しいのかが、自ずと明確になりました。
 
超明確な募集要項ができました。ニッチであるため募集媒体の費用も安く済みます。その結果、応募が十数件あり、3名を採用しました。
 
F社長は、その人材3名と一緒に、事業化を急いだのです。
その結果、採用後3か月でそのサービスをリリースすることができました。1年後には、月商で300万円を超えました。まだまだ伸ばすだけの市場規模はあります。1年後の月商は1000万円を目標としています。
 
人材とは、使い道なのです。
その人材を良いところに使えば良い結果がでます。逆に外した所に使えば、成果はでません。これを適材適所といいます。
適材適所とは、「適所:成果のでる場所を選び」、「適材:成果の出せる材料を選ぶ。」という意味なのです。優秀な人を、結果の出る目標に向けて頑張らせることです。
 
御社の問題は、優秀な人がいないことではないのです。大きな結果に繋がる目標を見つけ切らずにいることです。


どんな会社にも、必ず『人材』はいます。『社長』という『人材』がいます。
その自社における一番の『人材』の使い方を、根本的に間違えている会社は多くあります。
 
一番、能力があり熱意がある社長という『人材』に、何をさせるかが重要になります。その『人材』を成果にならないところに使えば、やはり何も成果を出すことはできません。その一番の『人材』は、お客様の案件をこなすために、毎日現場で走り回っています。
 
その『人材』に頑張らせる対象を間違えています。そのため、一向に、大きくなる事業を見つけることができずにいます。この先も、それを続ければ、同じ結果、それどころか悪い結果が約束されています。その『人材』は、きっと疲弊してくることでしょう。
 
その会社には、『社長』の役割を担う人がいないのです。
『社長』がいないために、優秀な「社長」も「社員」も、成果を出せずにいます。頑張っても、成果の出ないところで、頑張り続けています。ニュースで流れる最新技術も、全く関係ないのです。
 
自分の頑張るべき対象が正しく選べない人に、優秀な社員を向かわせる対象を正しく選ぶことはできません。
まずは、自分を『社長の本来の役目』という対象に向かわせることです。
まずは、今日という一日の一時間でも、向かわすことです。
 
それにより、未来は開けます。そこからしかイノベーションは起きないのです。

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