No.313:人を育てるのが上手い会社に有るもの。人を育てるのが下手な会社に無いもの。それは、明確です。

№313:人を育てるのが上手い会社に有るもの。人を育てるのが下手な会社に無いもの。それは、明確です。

「矢田先生、人を育てるコツは何ですか?」
「当社は、人を育てるのが下手なのですが、どうすればよいですか?」
この問いは頻繁に受けるモノです。そして、訊かれると一番困るものです。
 
人を育てる仕組みというものは、それに該当するものが、有るようで、実は無いのです。これをすれば人が育ちますよと言えるものはありません。
 
確かに世の中を観れば、「人を育てるのが上手い会社」というものがあります。それに対し、そうでない会社、ストレートに言えば「下手な会社」があります。
 
その「人を育てるのが上手い会社」が、何か特別なことをやっているかというと、そんなことは全くないのです。「人を育てるのが上手い会社」というものは、「会社全体が人を育てるようにできている」のです。逆に、下手な会社は、会社全体がそうなっていないだけなのです。
 
「人を育てるのが上手い会社」では、新たに採用された人は、次のような環境に置かれることになります。
・入社時、書類で会社の事業や基本的なルールの説明をうけます。
・配属された職場では、マニュアルを使って業務のやり方を教わります。
・先輩社員は、販促物などの企画書を作成し、業者と打ち合わせをしています。
・問題が起きると関係者が招集されます。原因と対策が議論され、対策書が作成されます。確実にそれは実行され、問題が根本から解決されるのです
・会社には方針書があり、各部門には計画書があります。そして、定期的な会議でPDCAが回されます。
 
この環境に、新入社員は入ることになります。
そこでは、「文章を使って、人に説明する」「社員が企画書をつくる」ということが当たり前にされています。また、「社員が仕組みづくりをしている」のが日常となっています。「進捗と次の行動の確認が各会議でされる」のです。
 
この環境に入った社員は、それを『当然』のこととして受け入れていきます。
その結果、自分も「人に説明する時には、事前に文章にまとめる」、「何かに取り組む時には、企画書をつくる」ように成っていきます。また、「仕組みの改善が社員の役目」であり、「会議を運営するという管理者像」を持つことになります。
 
 
これが、「人を育てるのが上手い会社」の全てです。この会社全体で持つ「システム」によって、採用した人の多くを、仕組みづくりに参画する社員やマネジメントの概念を持つ管理者に育てているのです。
 
環境が人を育てるのです。これは、子育てと同じです。規則正しい生活も、食事のマナーも言葉使いも、子供は親に倣ってその通りになっていきます。
 
会社もそういうものなのです。会社はそうあるべきなのです。
それらは、適切に運営がされている組織が、当たり前に持つものなのです。その当たり前を、仕組みと言います。また、組織と言い換えることもできます。会社そのものだと表現することもできます。
 
当然、「採用した人を短期間で戦力化する訓練制度」は必要です。また、気づきを促す研修や理念を浸透させるための勉強会も有効です。しかし、それらは、基盤である「当たり前の状態」があってこそとなります。
 
「当たり前」のことができていない会社では、整備された訓練制度も人格教育も、その多くは「理想論」にしかなりません。「社内は口頭だらけ」、「毎日坦々と体を動かすばかりの社員」、「期初に出された方針書は、1か月もすれば忘れ去られる」、「定期的な会議は無し。社長が仕切っている。」。
 
会社がこんな状態であれば、新たに雇用された社員は、それに倣っていくことになります。その結果、同じような社員を増やすだけになります。名ばかり管理者ばかりになります。いままでの流れを変えるどころか、強化することになっているのです。
 
 
冒頭のご質問に敢えてお答えするとすれば、「会社として当たり前のものを、まずは獲得してください」となります。それ以外にはあり得ないのです。
 
当社のコンサルティングプログラムでも、まずは、組織としてPDCAを回せるようにします。次に、社員だけで業務のすべてを回せるように仕組化します。そして、最後に採用と訓練の仕組みを整備します。この順番が、絶対なのです。
 
それらの仕組みが整い始めると、今いる社員も変わってきます。やはりそのように、染まってくるのです。当然、いままでの長い時間から身に付いた習慣があるため、時間はかかります。一部の若く優秀な社員はすぐに変わり、一方で変われない社員が出てきます。それでも、愚直につくるべきものを作っていきます。
 
その結果、会社としての当たり前、すなわち、人が育つサイクルが出来上がるのです。
 
そして、これ以降に入ってくる社員は、その環境に染まっていきます。その環境を当たり前のこととして、自分もマニュアルを作ったり、会議を主催したりするようになります。そんな社員の割合が高くなることで、変われない社員の居場所がなくなります。
 
確実に、会社は大きく変わっているのです。企業らしくなっているのです。実際に、私はそんな劇的な変化を数百件と目の当たりにしてきました。
 
当然、その道には、苦しみが伴います。何度も嘆きの言葉が出てしまいます。
「矢田先生、社員がまた辞めてしまいました。」、「古参の社員が、反対分子のように感じてしまいます。」。それでも、つくるものを坦々とつくるしかありません。
 
 
なにをするにしろ最初が、一番大変なのです。車輪の転がしはじめが一番大変です。回り始めると、あとは慣性で回り続けます
 
正しきことに取り組めば、必ず正しい結果を得られます。
 
どんな社長も、2年後には、自社を大きく作り変えることができています。
そして、その時には、「人をどうやって育てようか」という悩みは完全に無くなっています。正確には、「人を育てるという概念自体」が無くなっているのです。
 
つくることは明確です。やるべきことも明確です。
人が育つ会社を本気でつくりたいのであれば、つくるべきものに向かうだけです。

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