No.353:組織をつくるのも、社員を動かすのも、要所は一緒。それは、社長が成功するためのあれと一緒である!?

№353:組織をつくるのも、社員を動かすのも、要所は一緒。それは、社長が成功するためのあれと一緒である!?

オンラインセミナー後の相談会、画面の向こうには、若いS社長がいます。
人材サービスを提供するS社は、年商8千万円(粗利高)です。
 
セミナーの内容に対する質問に答え、S社の課題についての意見交換に移りました。
「先生、もっと効率よく集客する方法はないでしょうか?」、「社員を雇わず、すべてを外注で回したいのです。」。
 
その出される質問に私の興味は、急速に失われていきます。
私は、御聞きしました。
「この先どれぐらいの規模にしたいですか?」
 
S社長は、答えました。
「2年後には、1億を超えたいです。」
この答えに私のスイッチが入ります。
「何、セコイことを言っているのですか。」


どのようなイメージを持たせるか、
そして、どのようにしてそのイメージを植え付けるか。
 
ここに、組織づくり、そして、人を動かす要所があります。
これができるからこそ、適切に組織づくりも人を動かすことも可能になります。
 
組織をつくるために最初に行うことは、「事業定義」にあります。
事業定義とは、言い換えるとミッションになります。
その一つのミッションを遂行するために、組織がつくられていきます。
 
当社は、「専門性の高い商社です。」というのか、「安売りの商社です。」というのか、それによって、出来る仕組みも組織も、変わってくるのです。事業定義というイメージこそが、組織づくりの一番の指針となります。
 
そして、部門に対して目標を与えます。
営業部には、「今期は、関東エリアの提携先を5社開拓してくれ」と依頼します。そして、その実現のための方針として「展示会に参加する」とします。
これぐらいの具体的なイメージがあることで、営業部員は、動くことが可能になります。
 
よく目標には「具体性」や「期限」が必要であると言われます。それは、具体性や期限が、そのイメージを鮮明にしてくれるからです。
 
そして、人を採用する時もイメージにより、集めることになります。
土木工事業者が、求人媒体に、「土木作業員が工事をしている写真」を使えば、土木作業員が集まります。「施工管理者が、図面で打ち合わせをしている写真」を使えば、そのような人が集まります。写真や文章によるイメージにより、集める人をコントロールすることができます。
 
そして、訓練を提供します。訓練の趣旨は、イメージのすり合わせにあります。
「我々の職場では、緊張感をもってキビキビ動いてほしい」、「こういうケースには、報告がほしい」。
彼らには、まだイメージがありません。また、中途であれば、異なるイメージを持っているかもしれません。彼らに、当社の望むイメージを提供するのです。
 
そのために、マニュアルや動画を使用します。相手がイメージを描けるように、そして、獲得できるように手伝うのです。そして、実際にやってもらって、修正点を伝えます。まさにすり合わせなのです。これが訓練です。
 
このようにして、組織づくりも人を動かすことも可能になります。
その要所は、イメージです。イメージにより引っ張り、そして、描かれたイメージが具現化されることになるのです。


冒頭のS社長は、次のように述べました。
「私は、大きな会社で働いたことがありません。そして、過去に人を採用して痛い目を見ています。今の僕には、年商1億円でも精一杯です。」
S社長自身のセルフイメージが悪すぎたのです。
 
組織というもの自体のイメージが全く持てないこと。社員イコール身勝手な人というイメージがこびり付いています。そして、成功の目安が、年商1億(粗利高)と低いものになっていたのです。
 
そこで、私はお聞きしました。「普段、どのような方と経営の話をしていますか?」
S社長の答えは、やはりというものでした。
「自分が参加している勉強会には、個人事業主規模の社長が多いです。いつも外注活用や業務の自動化について情報交換をしています。」
 
私は、はっきりお伝えすることにしました。
「次は、年商3億円を目指してください。」
 
この言葉に、S社長は驚いていました。私は、その理由をお伝えします。
・S社長は、まだ若い。職人社長で終わるべきでない、いまこそステージを上げるべき。
・「頑張っての1億円」を達成してはいけない。年商3億円を目指すことで、軽々とそれを超えること。
 
そして、決定的なことをお伝えしました。
・それだけの能力がありながら、この規模で満足することは、「セコイ」。自社の良いサービスをより多くの人に届けること、そして、多くの人の生き甲斐、遣り甲斐の場となる会社をつくること。
・それを、S社長のような優秀な人がやらずして誰がやるのか。
 
素直さも兼ね備えたS社長です。「がんばります!」と言葉が返ってきました。
そして、コンサルティングがスタートしました。
 
事業モデルの変革が終わり、販促物の製作に移りました。会社紹介のためのカタログ製作で、S社長の「セルフイメージ」の小ささが顔を出します。
 
私は、そのカタログ案を見て、答えました。「これを見た見込客はどう思うでしょうか?」
狙う顧客は、中小中堅規模の法人です。彼らからすると、そのカタログでは「小さい、職人的な会社」に見えてしまうはずです。相手の頭の中に、「そこそこの規模感、しっかりした会社」のイメージを描かせる必要があります。
 
S社長は、言われました。
「しかし、実際に当社はこんなものです。」
矢田は、答えます。
「これから、大きくするのです。大きくするためには、相手に、先に、そのように見られる必要があります。」
 
こういう販促物をつくる時には、注意が必要です。
自社や事業のサービスの「いま」を書かないということです。「これから」を表現する必要があります。
 
「これから」を見せることで、新規の顧客はその通りに見てくれるようになります。自社に対する扱いもその通りになっていきます。
 
その顧客からの扱いに、社員も「自分達のイメージ」を変えることになります。それは、社長も例外ではありません。
 
販促物や会社案内、ホームページなどでは、自社を立派に見せることです。
・土木工事会社でなく、施工管理会社に見えるようにすることです。
・受託開発会社でなく、パッケージシステムを売る会社に見せることです。
・家族経営でなく、組織でやっている会社の見た目にするのです。
イメージを先行させることで、すべてを引っ張らせます。そして、それは、その通りになっていくのです。
 
 
S社長は、経営計画書の作成でも、大変な苦労をされました。経営計画書の作成とは、まさに「自社のイメージづくり」そのものです。
 
文章により、事業をどのように変えていくのかを表現する必要があります。
「読んだ者の頭の中に、正しいイメージを描かせる文章」を書くのは大変なことなのです。
 
S社長は、文章が上手くありません。一つの文が2行、3行と長く、結論が解りづらいのです。
また、抽象的な表現が多くあります。「圧倒的な営業力で・・・」、「顧客に貢献する」、「集客を強化する」。これらの言葉は、経営計画書に記した時点で『間違い』となります。
読んだ者に、何もイメージを描かせません。具体的に何の行動をするべきか、全く解らないのです。却って、読んだ者の頭を混乱させることになります。
 
S社長は、言われます。
「私は、文章が苦手です。」
矢田は、答えます。
「最初から書ける人などいないのです。経営者として、覚えなければ先に進むことはできませんよ。」
人の頭にイメージを描かせる文章、人を動かす文章を書けることは、経営者には絶対必要です。
 
そして、それ以上に問題なのが、文章が抽象的なことです。それは、S社長自身の考えが、まとまっていないと言うことです。だから、だらだらとした文章になるのです。S社長自身が、自社の成長のプロセスを具体的に描けないと、それを文章に表現することなど出来ないのです。
本当に、S社長は、辛抱強く経営計画書づくりに取り組まれました。
 
コンサルティングを初めて一年が経過しています。
年商は、優に1億円を超え、1億3千万円になっています。事務所を、自宅からオフィスビルに移転をしました。そして、社員3名を採用しています。
 
S社長は、言われます。
「社員も良く働いてくれています。こんなに一年で変われるものなのですね。」
 
 
社長の持つイメージが、その会社の現実となっていきます。
事業を飛躍させ、会社のステージを上げるためには、そのイメージを変える必要があります。
 
自身の持つ今のイメージを破壊する、そして、次のイメージを獲得する、それの繰り返しです。自分の中のイメージを置き換えることを、成長と言います。
それを、自分の選択、自分の行動により、行っていきます。
それをした人だけが、成功することができるのです。
 
今の年商数億のイメージにとらわれてはいけません、
自身の考え方、描くイメージを、年商10億のそれに置き換えるのです。

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