No.368生産性を上げるための手順:店舗型ビジネスは、どうしても生産性が低くなる

№368:生産性を上げるための手順:店舗型ビジネスは、どうしても生産性が低くなる

良く晴れた日、M社長が当社に相談に来られました。
M社長は、数字が並んだ紙を私に手渡します。
 
赤でグリグリと囲まれた数字があります。
650万円。
 
私がそれを確認するのを待ち、M社長は、口を開きました。
「先生、この低い生産性を、どうすればあげることができるのでしょうか?」
 
私は、事業内容を確認させていただきました。
M社は、店舗を6つ運営しています。そこでは、スタッフが顧客に「施術」をします。
 
私は、お答えします。
「御社の業態では、生産性を上げるのは無理ですね。それどころか、この数字はかなり良いはずです。」


生産性とは、「社員一人が一年間に稼ぐ金額」です。
大手企業は、1200万円となります。
それに対し、中小企業は、600万円です。
 
これを一時間あたりで換算すると、
大手企業は、6000円になります。
中小企業は、3000円です。
 
(詳しくは、私の白い表紙の本に書いております。)
 
倍の差があります。
大手企業の社員が優秀だとしても、同じ人間です。そして、同じ一年は365日であり、一日は24時間です。これは、働く人の能力の差ではなく、事業モデルの違いだと言えます。
 
私は、これを「社員教育」や「経営理念」で、なんとかしようと吹き込む人や団体、企業やコンサルタントに、憤りを感じているのです。同時に、それに靡く経営者がいることに、呆れるのです。
 
生産性が低い事業モデルのまま事業を大きくすれば、より厳しい状況に陥ることになります。
社員20名を超えるあたりから、急激に固定費が増えることになります。また、毎年数名の社員の入れ替わりが発生します。採用と戦力化までの人件費、そして、退社に経費がかかります。
 
そして、社長が現場を抜けようとすると、よりその状況は悪化することになります。社員に営業を任せれば、成約率が下がります。売り込み意識が低く、簡単に「安い料金」で仕事を取ってきます。そして、顧客の満足度も低くなります。その結果、より生産性を下げることになるのです。
 
狙った生産性を得られる事業モデルへの変革ができた後に、展開が可能になります。狙った生産性が得られるからこそ、広告を打ったり、営業担当を増やしたりすることができます。それから、社長は現場を抜ける準備をすることになります。
 
くどい様ですが、重要なのでもう一度確認します。
生産性の低い事業モデルのまま、大きくしよう(顧客を増やす、社員を増やす)と考えてはいけません。残念ながら、これをしてしまっている会社が、非常に多いのです。


生産性を上げる検討は、次の順番で行うことになります。
事業モデル⇒クロスセル⇒分業⇒仕組み⇒改善。
 
事業モデル:今やっていることで、1万円貰っているところを、2万円貰うことができれば生産性は、倍になります。そのためには、顧客をがらりと変えることになります。より、大きな法人やよりお金を出す人を狙うことになります。
または、手間を減らし、大量に一つの商品を売ることを考えます。
 
クロスセル:いま提供しているサービスに、別のサービスを上乗せします。一人の顧客から得る売上げを、倍にできれば、生産性も倍になります。
この時には、少なからず「手間」、「在庫」、「仕組み」が増えることになります。
そのバランスを見る必要があります。売上げは倍になったが、それにかかるモノも倍になっていては元も子もありません。それは、複雑化であり、実質の「後退」を意味します。
 
分業:生産性の低い会社では、一人の社員が受け持つ業務が広い傾向にあります。そのため、「業務の段取り替え」や「意識の切り替え」が効率を悪くしています。それが、「業務の属人化」を招き、「採用者の戦力化に時間がかかる」ことに繋がっています。分業を進めることで、これらすべてを大幅に改善することができます。
 
しかし、当然ですが、そのためには「ボリューム」が必要になります。それだけの、案件数、すなわち、売上げが必要になるのです。やはり前提は、「強い事業モデルが出来ていること」となります。
この次につづく仕組化も改善も、やはり「事業モデル」が前提なのです。
 
 
事業モデル、クロスセル、分業、仕組化、改善。
この順で取り掛かることになります。生産性に与えるインパクトは、事業モデルが一番大きく、そして、順々に下がっていきます。改善になると、そのインパクトは、事業モデルに比べると「無い」に等しくなります。それは、当然です、それは所詮「内部の取組み」だからです。
 
生産性を高めるためには、まず「外から如何に効率よく金を得るか」を考えます。それが確立できた後に、「如何に少ない人数でこなすか」を考えることになります。
 
この前者の「外からの金を得る効率が悪い」会社が、内部を如何に上手にやってもダメなのです。それでは、生き延びることは出来たとしても、大きくすることは無理になります。そして、資本力のある大手優位な市場になります。


M社長は、自社の課題に、「生産性が650万円と低いこと」を上げていました。
私は、M社長に「低くありません。それどころか高いぐらいです。」とお伝しました。
 
生産性が上がりにくい事業というものがあります。
その代表的なものが「施術」を伴う事業です。整体、エステ、個別学習塾、美容院、病院など。
 
これらは、一人の顧客に対し、一人のスタッフが付くことになります。そして、その価格には、相場が存在します。そのため、生産性は低くなるのです。
(生産性を上げようと思うと、より単価の高い事業モデルの変革を考えることになります。)
 
これらの業種では、大手企業でも、生産性は低くなっています。
教育業では730万円、サービス業では567万円。
 
私がここまでを説明すると、M社長は言いました。
「先生、この数字が高いと言われても、全く実感がありません。実際、当社は殆ど利益が出ていません。」
 
私は、M社長にお願いをしました。
「店舗数の増加と、損益がどのように変化するのか、表を作ってみてください。」
表の作り方を説明し、相談会は終わりとなりました。
 
後日、M社長からのメールが来ました。添付された資料を確認します。
そこには、やはりの結果がありました。
12店舗超えたところから、急激に「本部の売上げ(粗利):(各店舗の営業利益を合算したもの)」が増えることが解ります。その営業利益を、本部の人数で割ったものが、「本当の生産性」になります。その値は、一千万円を超えています。
 
また、今の6店舗では、「本部の売上げ」は小さすぎることが解ります。
各店舗からあがる営業利益では、本部を賄え切れていないのです。本部が「重い」ことが解ります。
 
「施術」を伴う業種では、「現場の生産性は上がりにくい」という認識が正しいのです。しかし、店舗展開をすれば、本部の生産性を各段に上げることができます。店舗を増やせば増やすほど、本部の生産性を上げることができます。
中途半端な規模では、苦しくなります。
 
M社長からのメールには、次の一言が添えられています。
「先生、早く大きくします。ご指導をお願いします。」
 
 
まとめ
 
事業モデルの変革をまずは、考える。
 
それから、大量に売ることを考える。
(相場があり、値決めの余地がない業種では、特に)
 
それを、支えるための仕組みをつくる。
その仕組みをどんどん改善させる組織(本部)をつくる。
 
そして、更に大きくする。

矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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