No.374プロフェッショナルの定義。システムの受託開発業社長がプロ経営者になった話

№374:プロフェッショナルの定義。システムの受託開発業H社長がプロ経営者になった話

システムの受託開発業、H社長は、事業モデルの変革に取り組んでいました。
いままでの売りは、「ソリューション」でした。
 
H社長は、この事業モデルのマズさを、ここ10年間感じていました。
いま、それを変えるべく動いています。
 
パッケージソフトの提案書が完成しました。
「先生、出来ました。これは、いけそうな予感がします。」
 
私は、答えます。
「はい、また、見込客数社に持っていってみましょう。」
 
提案書をつくり、反応を観る。これで3回目になります。
忍耐強く動くH社長が、望むものを得る日は遠くないことを確信します。


プロフェッショナルの最大の能力は、予知予見です。
そして、それこそが、役目と言えます。
 
設備メーカーの営業担当者は、顧客から何を聞き出す必要があるのか解っています。また、事前に何を伝えておかなければならないのかを、知っています。
そして、相手企業の稟議の進め方やキーマンの性格などから、商談の流れを組み立てます。その結果、その多くを成約します。
 
ゼネコンの職員は、工程を引きます。3年、1年、3か月、1か月。
そこでは、〇㎥の盛土をつくるために、どれぐらいの日数が掛かるのか計算しているのです。その裏には、いままでのデータ(歩掛)と経験があります。
そして、図面を見れば、手を付ける順番が解ります。そして、それを多くの外注業者や人を使い、現実のものとします。
 
この先に何が起きるのか。どうすれば良いのか。
それを予測し、対応できるからこそ、プロフェッショナルなのです。
そして、その対価を得ることになります。
 
 
プロフェッショナルとは、次の二つを兼ね備えた人だと言えます。
 
一つは、「仮説を作れること」となります。これからどうすべきなのか、創造力と経験から得た知恵により、それを作り上げます。それは、体系化されたものと、多くの勘や感覚的なもので構成されます。
 
そして、二つ目は、「その仮説を現実のものとすべく、動けること」です。
それを実現するために、自ら動く必要があります。自ら動き人の協力を引き出す必要があります。自分以外の何者かに影響を与え、動かす力を持つ必要があるのです。これは、大なり小なりあるものの、必ず必要になります。
 
会社という場では、沢山のプロフェッショナルが必要になります。
事業を大きく展開し、分業を進める分だけ、それは必要になります。営業、経理、物流、管理者、すべての場にプロフェッショナルが必要なのです。
其々の部署で、「仮説づくり」と「実行」が繰り返されていきます。それにより、今期の目標が実現していきます。案件をこなすことも、目標を達成することも、「仮説づくり」と「実行」なのです。
 
その中心には、経営計画書があります。経営計画書には、「儲かる事業の設計」、と「それを支える仕組みと組織の設計」が記されています。
そして、その実現のために、「誰がいつまでに何をするか」という行動計画が立てられます。
経営計画書を軸にして、毎期、「仮説づくり」と「実行」を繰り返すことで、初めて、会社は確実に成長することが可能になります。
 
そのサイクルに社員を巻き込みます。そのサイクルに社員を巻き込むことこそが、人材育成になります。
 
管理者には、重要なテーマを依頼します。集客、在庫管理、設計など。より良く、より効率を高めるための仮説を企画書としてまとめてもらいます。そして、プロジェクトの推進までを担ってもらいます。
若手社員には、持ち場の業務の改善を依頼します。起きた問題に対し、対策の提案をしてもらいます。そして、上司の元で、実行してもらいます。
 
新人の営業担当には、顧客の訪問前に、「お客様の課題の予測」と「今日のゴール」を想定するように指導します。そして、実際に訪問をさせます。
施工担当者には、一つの工事の施工図と工程表を作成してもらいます。そして、協力会社との打ち合わせから、進捗管理までを担ってもらいます。
 
このように予知予見をやらせます。やらせることで、想像力が鍛えられます。また、考えるという動作が引き出されます。
そして、それを、自ら実行させます。自分で動くことで、その予知予見が合っているかどうかが確認できます。それが、また経験となっていきます。
 
「仮説づくり」と「その実行」こそが、人を育てることになるのです。
一つのテーマが出来るようになると、また少し大きく、長期的なテーマを依頼します。その繰り返しで、予知予見の能力を高めていくのです。
その結果、社内には、管理のプロフェッショナル、営業や施工のプロフェッショナルを所有することになります。


社長とは、経営のプロフェッショナルだと言えます。
やはり、その経営者の失敗も、この「仮説づくり」と「実行」に関するところに原因があります。失敗のパターンは、次の3つになります。
 
失敗のパターン1:仮説を持っていない
年商数億の会社が、年商10億に進むためには、何かしらの仮説が必要になります。この事業モデルならいける、この仕組みなら回る、こうすれば組織は機能する、という仮説です。その仮説が無ければ、動くことはできません。
その状態は、焦りと不安を生むことになります。
 
失敗のパターン2:仮説が間違っている
何かに向かって動いているものの、中々成果に繋がりません。その成果には、波があったり、再現性がなかったりします。また、うまく行っても、飛躍には繋がりません。
取り掛かっていることが間違っているのです。「事業モデルが悪い中での仕組化」や「理念経営」、「社員教育」がその代表格です。
 
失敗のパターン3:動いていない
仮説を持っていても、動けていません。自分自身が案件に毎日追われている、または、社員を動かせていないのです。
その結果、一年で得る成果は非常に小さなものになっています。「売上げは微増で、仕組化は進まず」という年が続きます。そして、動いていないために、その仮説があっているかどうかも、答えが出せずにいます。
 
冒頭のH社は、創業から15年以上、システムの受託開発を事業にしてきました。売りは、「ソリューション力」です。
 
お客様から「こんなことをやりたい」と相談があり、それに対し、提案をします。そして、契約を交わし、システムを開発し納めます。
その仕事の進め方も、できたシステムの出来も、非常に評判は高いのです。
 
しかし、H社長は、10年前に気づいていました。「一つの案件を終えると、次の案件に取り掛かる。これでは、何も積み上がらないのではないか。」
そして、近年その価格は、下降傾向にあります。
 
H社長は、何かしらのパッケージシステムを持ち、自社がメーカーに成らなければと考えるようになっていたのです。
 
しかし、それができません。
自分自身が、複数の案件を絶えず抱えている状態です。また、営業段階での、企画提案を自分しかできません。超多忙な毎日です。パッケージシステムに手を付けなければならないと思いながら、時間だけが過ぎていきます。焦りが積もります。
 
そして、実際に、パッケージシステムをどのように立ち上げるのか。また、どう事業化するのかも、イメージを持てずにいました。それも、「行動できない状態」に拍車をかけていました。
 
年末、多くの会社が休みに入った中でも、H社の事務所には、複数の社員が残って仕事をしています。H社長は、プログラムの手を動かしながら考えていました。「これではいけない。人の手を借りよう。」と決心をしたのでした。
 
 
あれから、ちょうど一年が経ちます。
この秋に、何とか、パッケージシステムを見つけることができました。3回目のトライでした。提案書を見込客に見せると、十分に「刺さる」ことが確認できました。そして、フィードバックを貰い、料金や契約体系などを仕上げていきます。
 
ここ一か月で、2件の受注を得ることができました。
1件目の受注が決まった時に、H社長から電話がありました。
「先生、決まりました。金額は小さいですが、決まりました。」
 
それは、狙った通りの受注になりました。想定する業界であり、想定する規模の会社です。そして、売れると想定したものが、その通りに売れたのです。
この喜びと、この「売れ方」は、経験したものにしか解らないことです。
 
H社長は、「仮説づくり」と「行動」を諦めずに続けたのです。H社長の、事業のセンスと忍耐の勝利です。その結果、新規事業、それも、自社を大きく飛躍させる可能性のある事業を見つけたのです。
 
喜びを押さえH社長は、訊きました。
「先生、やっと仕組みづくりに移れるのですね。」
私は、答えます。
「はい、急ぎましょう。」
 
事業モデルができると、次は、仕組みづくりに移ることになります。
それを、早急につくる必要があります。刺さる商品は、すごいスピードで売れていってしまうのです。また、他社に真似をされる前にシェアを取る必要があります。
 
事業モデルの開発には、どうしてもセンスが必要になります。
経営者の市場を観る目、そして、勘ともいうべきものが必要になります。それに、具体的な動き方が解った時に、初めて動けることになります。
 
それが、簡単に見つかることはありません。それでも、何かしらの仮説を立て、動くのです。
全くそれを持たずに動くのとでは、得られるものは各段に違うのです。
 
そして、ここに、再現性を得ることになります。
次も新規事業を立ち上げることができます。
また、必要な時に事業を作り変えることができます。
 
 
今のH社長は、年商10億の事業の仮説をつくることも、そのための行動も出来るのです。プロ経営者が生まれた瞬間です。

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