No.377なぜ、H8店舗ありながら、儲かっていないのか

№377:なぜ、H社は8店舗もありながら、儲かっていないのか?

お盆休み直前の暑い日にH社長は、当社に相談に来られました。
H社長が汗を拭いている間、私は経営計画書を拝見します。
 
最初の数ページを確認し、決算書に移ります。
 
H社長は、言いました。
「先生、経営計画書はどうでしょうか?」
 
そして、続けられます。
「先生、8店舗もあって、儲かっていません。」
 
ダメな経営計画書、儲かっていない8店舗、どちらも根底にある問題は、一緒なのです。


組織は大きくは、『設計層』と『実行層』になります。
 
『設計層』とは、その字のごとく設計する役割を担います。
儲かる事業の設計をします。各方針を決めます。
そして、仕組みを作ります。
ピラミッド組織の上層と考えてもらって問題はありません。
 
『実行層』とは、それを実行する層になります。
実際に、顧客にサービスを提供します。案件や業務をこなします。
仕組みを回して、今日の稼ぎを上げるのが役目です。
ピラミッドの下層になります。
 
設計層が設計したものを、実行層が実行する。
それにより、ビジネスで儲けることができます。
 
すべての組織は、この2層になります。
工場を思い浮かべてください。
設計層が、工場での加工方法やそのレイアウト、物の流れを設計します。
そして、それを実行層が、実際に加工したり、物を動かしたりします。
これは、他の事業でも、同じなのです。
 
店舗系ビジネスでは、すべてを本部が設計をします。そして、それを各店舗が実行します。
建設会社では、本社が、「積算の仕方」や「工程表の原紙」、「安全の基準」を設計します。そして、各現場でそれを実行します。
BtoBビジネスでは、上層で「営業の仕方」や「案件の流し方」が設計されます。それを多くの営業担当や事務スタッフ、そして、外注のコールセンターや運送業者、そして、コンピューターシステムが実行します。
 
まずは、優れた設計が必要になります。そして、それを、正しくスピーディーに実行するのです。どちらも必要です。
しかし、どちらがより重要かは、明白です。
それは、設計です。
 
設計が良ければ、実行もスムーズに行きます。また、成果も出ます。
設計が悪ければ、実行段階で問題だらけになります。そして、当然、成果も出ません。もし、実行が素晴らしくても、成果は出ないのです。
 
そのビジネスが儲かるか儲からないかも、当然、その設計に多くが起因します。
儲かるビジネスが設計出来ていれば、儲かります。
多少、実行が悪くても、儲かります。
 
儲かるビジネスの設計が出来ていなければ、やはり儲からないことになります。
そして、実行は更にうだうだになります。努力の割に、成果にならないので、疲れてきます。
 
本当に重要なのは、設計なのです。
この設計を担うはずの設計層が、機能していない会社が多くあります。
設計に関わる社員がいないのです。
社長だけ、良くて優秀な幹部の二人だけです。
あと全員、実行層です。これが、文鎮型組織というものです。
 
この実行層が「ロボット」であれば、まだ問題は大きくありません。
多くのネットビジネスや、多くの製造業では、実行層がプログラムで動きます。
だから、ネットビジネスの経営者には、この設計と実行がきっぱり分かれてしまっているということに、実感が持てないのです。設計に貢献できない社員は、居場所が無いことになります。
 
下手すると、設計層に誰もいない会社もあります。
社長までもが、実行層に入って、案件をこなしているのです。


冒頭のH社の経営計画書を拝見すると、設計に関する記載がありません。
これから、どうビジネスを展開するのか。何の仕組みを変えていくのか。
その設計が全くないのです。典型的なダメな経営計画書です。
 
その替わり、社員の心構えや職場のルール的なものの記載が沢山あります。
また、「社員教育」の計画があります。
これらは、重要ではありません。
心構えもルールも、実行段階での注意事項にすぎないのです。ましてや、社員教育など、「儲かる所とは一番遠い施策」になります。
 
決算書を拝見すると、儲かっていません。8店舗ありながら、ほとんど利益がでていないのです。
なぜ儲かっていないか、店舗系の場合、一番に考えるべきことは、「ひとつの店舗でしっかり利益が出せているか」です。
 
私は、一つの店舗の想定収支をH社長にお尋ねしました。
売上(単価、客数)、店舗の大きさと家賃、また、スタッフ数と人件費。
そして、残る利益。
 
H社長は、その問いにしどろもどろです。根本的な、店舗の設計が出来ていないのです。設計段階で「儲かる設計」ができていなければ、儲かるはずがないのです。感覚で出してしまった8店舗なのです。
もし儲かっていても、それは不幸です。そこには、再現性が無いのです。
 
次の面談で、店舗の設計書が提出されました。
しっかり出来ています。
H社長の中には、経験的にはあったのです。それをまとめていなかったのです。
 
H社長は、言われました。
「これを、社員に見せたら、色々な意見が出てきて、驚いています。」
私は答えました。
「その意見を出した社員が、本部の候補生ですね。」
 
この3か月後には、H社は、単月で十分な黒字を出すことになりました。
 
提言:儲かる事業の設計をしましょう。
経営計画書を正しくつくりましょう。
そして、設計層と実行層の2層が機能する組織をつくりましょう。

矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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