No.399:それでは、社員は動かない!経営計画発表会で多くの会社がやっている失敗とは!?

№399:それでは、社員は動かない!経営計画発表会で多くの会社がやっている失敗とは!?

K社長から電話がありました。
「先生、今、経営計画発表会が終わりました。」
その声からK社長の高揚感が伝わります。
 
私は、「どうでしたか?」と訊きました。
少し間があり、声が返ってきます。
「先生の予想通りでした。予想どおり無反応でした。」(笑)
 
参加した社員は25名ほど。その反応は無く、内容が理解できたのかも、想いが伝わったのかも、解らないのです。
 
この社員の反応が正しいのです。そして、これは狙い通りの結果なのです。


人を動かすためには、『理解と納得』を提供する必要があります。
 
『理解』とは、頭です。科学性があり、こうすればうまく行くというロジックが受け入れられた状態を意味します。
 
『納得』とは、心です。その取り組むことに対し、心から自分もやりたい、または、協力しなければと思える状態です。
 
この人の『理解と納得』を得るためには、プロセスを考える必要があります。
 
主要メンバーに対し、深い理解を与えるには、少人数で説明したほうがよいでしょう。その時には、質問を促します。また、良い意見であれば、積極的に取り入れる姿勢を見せます。
 
組織全体の共通認識を作りたいのであれば、全員を一同に集め説明をします。それにより、組織としての正義を明確に定義づけることになり、素行の悪い者を排除する方向に雰囲気をつくることができます。
 
どのように伝えるのか。人数はどうするのか。
特別な場をつくるのか、定例の会議の場で行うのか。
このプロセスを構築する力が、社長には必要になります。
 
それが無ければ、社員の理解も納得も得ることはできなくなります。その結果、その多くを今までと同様に社長一人が抱えることになります。多くの案件も、仕組みの改善も社長が行うことになります。
 
社員の理解と納得を獲得するためのプロセスを作る力、これも年商数億円から年商10億円に進む時に、獲得が必要になる力です。


私は、経営計画発表会を開催することをお薦めしています。
その開催の目的も、やはりここにあります。
社員の理解と納得を得るためにです。それにより、組織を動かし、描いたものを早期に実現したいのです。
 
K社も、組織的な問題を抱えていました。社員20名を越えた頃から、社員との距離を感じるようになっていました。また、会社全体の判断軸もバラバラであり、一つひとつの実現に時間がかかり過ぎるのです。
 
改革を決意したK社長は、経営計画発表会の準備に移りました。
私は、お伝えしました。
「きっと社員は、無反応ですよ。あまり大きな期待はしないようにしてください。」
 
経営計画書をつくり、社員に発表する。そうすれば、自分の想いは伝わり、社員がやる気になり・・・なんてことは、ありません。
社員は無反応です。それこそが、狙い通りの結果なのです。
 
経営計画発表会の目的は、あくまでも共通認識づくりです。「全員が聞いている」という事実が欲しいのです。
 
そして、これから「実行」に移るぞという、会社としての始まりの式典なのです。明日から、坦々とゴリゴリとそれを実行していきます。月例、週例でチェックし、また、実行を繰り返していきます。それにより、会社は確実に変わっていくことになります。
 
社員がこの式典の意味を本当に理解するのは、一年後、いや、数年後になるでしょう。あの式典から改革が始まったのだと、思い返すことになります。
 
この経営計画発表会の趣旨を理解していない社長は、その社員の反応に、必要以上にショックを受けることになります。経営計画の説明を聞く彼らの表情を、見てしまいます。会場を去る彼らの背中を目で追ってしまいます。
 
その社員の反応に、心が折れてしまう社長が多いのです。それは、弱いからではありません。それは、正しい趣旨が解っていないからなのです。
 
電話の最後に、K社長は言いました。
「先生、ありがとうございます。これから良くなっていく予感がします。」
 
過去のK社にも、経営計画書はありました。経営計画発表会もやっていました。しかし、その経営計画書は、正しい作りをしていませんでした。そこには立派な理念と社員の心構え的なものばかりが記載されています。
 
それを、「経営計画書」だと、社員に発表していました。そこには、具体的に何を行うのか、何をすれば儲かるのかが書かれていません。そして、銀行や専門家を招いての派手な式典です。それは、理解や納得という趣旨からはかけ離れたものになっていたのです。却って、社員からの信頼を無くす結果になっていたのです。
 
そして、実行が全く伴っていません。PDCAサイクルなど、全く無いのです。
1か月も経てば、社長を含め、誰一人経営計画書を見なくなります。
その状態が、社員の会社への信頼を更に失わせたことは容易に想像ができるのです。
 
この日、K社は、本当の変革への一歩をスタートしたのです。
それは、非常に静かな式となりました。
 
今年は、役場の会議室を借りました。来賓も無しにしました。
そこには、正しい経営計画書があります。そして、その後の運営を見越したK社長がいます。
 
社長の構想実現のために、組織を動かすためのプロセスの一つが終わったのです。
 
(まとめ)
・社員が動くためには、『理解』と『納得』が必要。彼らに、それを提供するための『プロセスを構築する力』を社長は持つこと。
・正しい作りをした経営計画書、そして、坦々と回るPDCAサイクル。そして、それを実現するためのプロセスの一環である経営計画発表会。
・それが揃った時、会社は変革の第一歩を切ることになる。

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