No.610:管理者が機能しない会社は、「やること」を決めていない
セミナーの休憩時間、ビル管理会社N社長が寄って来られました。
「先生、当社は管理者が機能していないのです。」
N社長は、管理者本人に問題があると考えていたようです。
しかし、セミナーを受けて、根本原因は違うことに気づいたのです。
N社長は頭をかきながら言いました。
「私は、どうしても人に向かってしまうのです。」
改革のスタートは、ここからにあります。
人に向かうことをやめてください。
仕組化は、必ず「量」から「質」へ
仕組化に取り組む時、この順番で考えることが必要です。
まずは「量」です。
何をするのか、まずは、それを決めます。
毎年何をするのか、毎月何をするのか、毎日何をするのか。
そのポジションには、必ずやることがあります。
それを決めるのです。
それから「質」です。
そのようにやるのか、を決めます。
やることが分かっている、そのうえで、やり方も分かっている状態にします。
すべての仕組化は、「量」から「質」です。この順番が絶対です。
数億企業の人に関する課題は大きく二つ
年商数億円の会社には、人に関する大きな課題が二つあります。
一つは、新入社員の戦力化に時間かかること。
もう一つは、管理者が機能しないことです。
一見、別々の問題に見えますが、根本は全く同じです。会社として、「何をすればよいのか」が、決まっていないのです。
新入社員にも、まずは「量」を与えます。どのタイミングで、何を、どの順番で行うのか。そのうえで「質」を満たしていきます。どうやるのか。状況に応じどう判断するのか。
そして、繰り返しやらせることで、習熟度を上げていきます。
「まず量を満たし、それから質を高める」。この順番を守るためにあるのが、訓練プログラムです。教える人によって内容が変わらず、本人も何を身につければよいか分かる状態をつくります。
管理者の仕事も、まず「量」を決める
管理者を機能させる上でも、同じです。
「目標売上を達成せよ」
「〇〇業界の顧客を重点的に開拓しろ」
「部下を管理しろ」
こんな指示を管理者に、出していないでしょうか。
これでは管理者は動けません。その管理者は、そもそも、やることが分かっていないのです。目標売上を達成するために、何をするのでしょうか。部下を管理するとは、具体的に何をするのでしょうか。
「部下を管理する」ためには、次のレベルの行動を明確にします。
・毎週〇曜日の〇時に、部下の予定と進捗を確認する
・月末に、目標と実績を振り返り、社長と打合せをする
まずは、これら「量」を実行させることです。
その後に、部下への確認の仕方や声掛けという「質」を教え、高めていくのです。
管理者を機能させるために、管理者個人の能力や性格に期待することはありません。我々は、管理者を「量産」したいのです。そのために、まずは管理者がやるべきことを決めるのです。
大手企業では管理者のモデルがすでに出来上がっています。若手社員の上には、主任がおり、課長がいます。その仕事はルーチンで回っています。
我々の会社では、若手社員の上は社長です。管理者がいたとしても、それは判断層レベルで、現場を仕切っている程度です。
そこでは、自然発生的に管理者が生まれることはないのです。それどころか、間違った管理者のイメージが浸透していってしまうのです。
人に向かう権利はない
冒頭のN社長にお聞きしました。
「新入社員の戦力化にも、時間がかかっていませんか?」
N社長は驚いた表情で答えました。
「はい、時間がかかっていますし、初期の退職率も高いのです。」
根本は同じです。やることが決まっていないのです。
会社として、管理者にできていないことは、新入社員にもできていないのです。
それ以上に根本にあるのは、人に向かってしまうことにあります。
「あの管理者は能力がない」
「あの新人は覚えが悪い」
こう考えてはいけません。
それを考えていいのは、「量」も「質」も決めてからです。
その後なら、本人の能力を問題にしてもよいでしょう。
まだ、御社には、人に向かう権利はないのです。
自分は人に向かってしまっていないか。
ここを自覚することが、改革のスタートになります。
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矢田 祐二
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
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