No.35:その「強み」は社長だけの強み。社長だけの強みを全社の強みにする。
壁を抜ける前の組織では、
その強みは、『社長』であることが多くあります。
社長の能力=強み
あるプレス部品加工会社
「見積など、対応が早くて喜ばれています。
顧客であるメーカーの担当者さんはすぐに応えがほしいようです。
これは同業種でも、中堅規模のプレス屋ではできません。」
ある電気設備屋
「顧客の工場の担当者から指示されたものに対し、当社から仕様や工法の提案をします。 それにより、総コストを抑えたり、今後のメンテナンスが楽になったり、工期が短くなったり。」
あるホームページ業者は
「顧客のマーケティング的な相談を受け、その構築から入ります。
ホームページは、マーケティング戦略がはっきりしているからこそ効果があります。だから、顧客からは、そのアドバイスの的確さで喜ばれています。」
これらは決して悪いことではありません。
社長は、目の前の顧客の要望に応えるために、必死に勉強し顧客を満足させる、その結果その分野にニーズを見つけ、強みを築いたのです。
そして、次は、
その「強み」を社長のものから、会社全体のものにしていく必要があります。
それができないと、会社は次のステージに行けません。
社員も社長と同じだけの質のサービスを提供できなければいけません。
それができないと、こんな状態になります。
・社員にはできない。社員はあくまでも社長の補佐的業務。
・顧客が社長に付く。
顧客は、社長以外の社員では、サービスの低下を感じ不満に思う。
その結果、社長はいつまで経っても現場を離れられないことになります。
受注を増やすこともできません。
社長がボトルネックになります。
まさに壁を越えられない状態になります。
その強みを自社の強みにする必要があります。
そのためにやることは、大きくは以下の4つになります。
①マニュアル化
社長がやっている営業や企画や設計のノウハウを見える化します。
社長は当たり前にやっているかもしれませんが、社員には到底到達できない次元のことをやっています。
マニュアルづくりをお手伝いさせていただくと、例外なく、そこの社員は、社長をあらためて尊敬の目で観るようになります。
自分たちと同じ専門分野だからこそ、社長のすごさが解るのです。
どの社長もそうです、本1冊かけるぐらいのノウハウを持っています。
それを「観て盗め!」や「考えろ!」とは無理な話です。
文字化、すなわちマニュアル化することで、社員は真似ることができます。
②商品化する
社長のノウハウを形にします。
形とは、何を顧客に提供できるかをまとめる、料金表にまとめる、
契約書の契約条件をまとめる、社長が顧客に提供しているものを、
パッケージとしてまとめるということです。
これは、サービスを標準化(定型化)することを意味します。
いままで社長が顧客ごとに形を変えて提供してきたものを、必要なものを残し、必要ないものを捨て、整理するのです。
いま1のものを10にして顧客に提供している状態を、事前に用意した7のものを10にして顧客に提供する状態を目指します。
1を10に出来るのは社長だけです。
7を10にすることは何とか社員でもできます。
③宣言する
自社の強みを宣言します。
宣言するとは、広告にすることです。
A4チラシに自社の強みを書いて顧客に配る、
ホームページのトップ画面に載せる、名刺にも載せるのがいい
社員が外で名刺交換をするたびに、それについて顧客から訊かれます。
社員は、顧客に答えるために、何とか話そうとします。
そうしているうちに顧客も社員も自分たちの強み
すなわち、自分たちの存在意義を理解しその期待に応えようとします。
④社員化できる事業を選ぶ
サービスが特別に質が高くなくても、大きくなっている会社はたくさんあります。
そのサービスは、小さな会社の職人社長が提供するものよりも明らかに、質は低いことも珍しくありません。
でも、売上も大きく、会社も成長しています。
そのような会社は、『売る』ことに主眼を置いております。
マーケティングにより集客すること、
宣伝広告により、自社のサービスをより多くの人に、より魅力的に見せています。
それにより、普通のもの(社員が提供するもの)を上手に売るのです。
商品をつくる、ではなく、事業そのものをつくるのです。
職人社長は、自社の提供するものを、商品として考えます。
壁を抜けた社長は、自社の提供するものを、事業として考えます。
この4つです。
手を付ける順番は、どれからでも問題なく効果があります。
これの反対の状態で社長の強みが会社の強みになることはなく、いつまで経っても社長は現場を離れられないことになります。
・マニュアルはない
・商品として目に見える形でまとまっていない
・強みを内外に表明していない
・商品を売る
この作業に手を付けて3年後には、社長は現場を離れられるようになります。
この記事を書いていると、
3年前にベトナム視察で携帯電話をもってこなかった社長のことを思い出します。
「どうせかかってこないから」(笑)
その社長は、職人社長から約5年ほどで社員数も売上も3倍近くにしました。
さあ、この4つのなかのどれに手を付けるか決めてください。
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