No.36:新規事業:専門部隊をつくること、社長が先頭に立つこと
新規事業の相談を受けると、
私は、以下の2点を必ずお願いをしております。
1.新規事業は、独立組織とする。現在の部隊に兼業させてはいけない。
2.その部隊は社長直属として、社長が先頭に立って業務をすすめること。
ある顧客先(工業用の薬液商社、社員数20名ほど)、
業界では画期的な新商品を販売する機会を得ることができました。
その社長は、
「これはまだ世にない商品!性能も素晴らしい商品だ、これは絶対に売れる」と大喜びです。
そして「当社はこの分野でパイオニアになり、市場シェアを独占するのだ」と成功を確信しているようです。
その商品の説明をお聞きすると確かに素晴らしいもののようです。
そして、それは、現在取引のある顧客にも提供できるもの、新規顧客を開拓するよりも早く売上が上げれそうです。
社長は、わが社の社運をかけた新事業として位置づけて、社内にも協力を依頼しました。
その会社がその活動を始めて数か月がたち、その新事業についての相談を受けました。
「矢田さん、新規事業がいっこうに進まないのですが・・・」
再度私は新事業について同じことを述べさせていただきました。
「社長、この商品はいままでの商品とはまったく別のものです。
まさしく新事業といえるものです。
それを今の営業部隊に売らせるのは無理です。
別の専門部隊をつくりましょう。
営業担当はいま現在の売れているもの、売りやすいものを売るのが当然です。
現状の業務だけでも、手がいっぱいです。
また、各営業担当には自分自身の売上目標もあります。
そんな営業担当が、説明に時間を取られ、売れても最初は少額、そんな商品を進んで売ることはありません。
専門部隊は、社長と営業1名と女性パート1名で十分です。
そして、営業担当者に顧客先への同行を依頼し、プレゼンをさせてもらうのです。」
そして、もう1点お願いをしました。
「その部隊は、社長直轄にしてください。
そして、社長がもっと関わってください。
いま任せすぎです、ほったらかしに近い状態です。
今その新事業は、営業部長兼専務に任せていますが、
これでは、新規事業が進むはずはありません。
新規事業は、そうたやすく立ち上がるものではありません。
その売り方も商品の形としても確立されていなければ、その市場性さえも見えない状況です。
だからこそ、社長が前線に立ち営業してください。
顧客の反応を観てください、要望を確認してください。
そして、社長自ら、ペンを持ってください。自ら、提案書やマニュアルなどを作り込んでください。社員につくらせている段階で、その出来たものは、出来の悪いものになります。当然です、社長がその事業の趣旨や魅力を一番理解し精通しているからです。
社員が社長同等に理解していることはありません、せいぜい5割です。
できるものも5割です、社長の満足するものなど出てくるはずはありません。
そうやって初めて新規事業が立ち上がるのです。
そこまでやっても立ち上がらない新規事業がほとんどです。
社員に任せて立ち上がるような事業は、新規事業ではないのです。
世の中にありふれたものであることは間違いありません。
社長が先頭に立ってください 」
さすが社長、「解りました」と返事をいただきました。
その後、その会社の新規事業はどうなったかというと、
取りやめ、となりました。
社長自らが新商品を持って営業に行くと、顧客からの指摘や業界の背景などのたくさんの情報を得ることができました。
その結果、社長は判断したとのこと。
この新規事業の取りやめという判断ができるのも、社長が直接かかわるからこそです。
社長のみができる決定です、社員にはできません、専務にもできません。
たとえ、社員が同じ報告を社長にしたとしても、社長は真剣には聴かないかったことでしょう。
新規事業
・専門部隊をつくること
・社長が先頭に立つこと、社長直轄にすること
新規事業の実現は、その事業性そのものよりも、この体制で決まることがほとんどです。
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