No.37:悪い黒字、いい赤字。儲かっているうちに、未来への投資をする

決算書を拝見する、
やや黒字である。

そして、その経費の中身を見る。
その経費の中に、未来への投資が入っているのであればよい、
未来の投資が入っていないのであればダメ。

この先落ちていくだけである。
黒字でも、悪い黒字がある。
赤字でも、良い赤字がある。

その意味(内容)が重要である。


顧客社長との打ち合わせ
決算書を見せられ、こんな相談を受けました。

『矢田さん、今年は厳しい結果が出ました。ショックでした』
拝見すると、営業利益は出ているものの、前期より80%ダウンです。
やや黒字という状態。

これを見ての「ショック」ということなのでしょう。
 
それでは、年商をみるとどうなっているかというと、前年対比で5%ほど増えています。 
そして、粗利高(売上高から変動費を引いた)も増えています。
悪いどころかいいぐらいです。

それでは固定費を確認すると、当然、大きく増えています。
これが、減益の原因です。


そこで、蛍光ペンを持って、その経費を分けていきます。
人件費は微増をしています、新卒採用を3名しましたが、定年退職もありました。
でも、総粗利高が増えていることから人件費当たりの生産性は良くなっていることが解ります。

 
そして、次は、社長に『将来の投資』に使ったお金をあげてもらいました。
配送センターの新設やそれに伴う引っ越しなどの経費があります。
インターネットでの販売を始め、その構築にかかっています。
新製品の市場調査のために、海外視察を複数回行き、展示会にも出展しています。

将来への投資に使った費用を昨年と比較すると、大幅に増えています。
これなら、営業利益が減っていてあたりまえです。これだけ減っているのは問題ありません。
 
逆に、褒められるべきです。
もし黒字にしたければ、未来の投資をやめればたちまち大幅の黒字が確保できます。
社長がその内容を理解していないことや計画的に経費を使っていないことは問題です。


私が見てきた企業で、こんなケースがありました。
●ケース1 製造業(加工)
宣伝広告などの経費はなく、接待交際費もほとんどなし、交通費も少ない。でも、黒字。

これは問題です、新規開拓をしていないことや社長が外に出ていないことが読み取れます。
悪い黒字の典型です。
これでこの先少しでも業績が悪くなれば本当に何も手を打つことができなくなります。そして、この先も、ジリジリ業績を落とすことが予測されます。

これなら、未来のための経費を使って赤字のほうがいいのです。

●ケース2 土木業
大きな黒字を出して、内部留保も多い(たくさんの税金を払い続けています)でもやはり宣伝広告費や交際費、交通費が少ない、
そして、若い人も近年採用していません。

これも悪い黒字です。
いまの黒字は、いまの事業の力です。
業績が悪くなった時に、内部留保は時間稼ぎにはなりますが、それから新たなことに取り組んだとしても、結果を出すのには3年は掛かります。
ましてや次の収益の柱に育てるためには、5年以上はかかります。

 
3年後、5年後の収益を上げるために、いまお金を使う。
社員みんなで稼いだお金を、新規の顧客開拓や新規事業の立ち上げにつぎ込み、将来の収益を確保する。
そのうえで、少し黒字を出す。
これが正しい黒字の姿です。

決算が赤字でも未来への投資をしているなら安心していればいいのです。
黒字でも未来の投資をしていないなら焦ったほうがいい。
黒字の大きさでない、時間の問題です。
儲かっている時にしか、新しいことには取組めません。
結果を出すのには時間がかかるのです。

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