No.72:社員の不正の本当の原因は、仕組みができていないから
「ご相談したいことがあるのですが・・・」
と朝7時に携帯に、顧客先社長から沈んだ声で電話がありました。
社員が取引業者と不正をしている疑いがある、とのこと。
私は、その電話でその対応をアドバイスさせていただきました。
(矢田は法的な専門性でなく、経営的な視点でのアドバイスはできます。社長としての対応の仕方や本人への切り出し方、社内への説明の仕方など)
そして、2週間後に、社長から電話がありました。
「おかげさまでなんとか落ち着きました。本人も素直に認め、今月末に退社予定となりました」と。
そして、社長は続けます
「優秀な社員なだけに、惜しいことです。
こんなことで会社を去ることになるとは・・・
今後同じことが起きないように、対策を考えなければいけません」
矢田はお伝えさせていただきました、
「社長、いま進めている仕組みの構築を進めていくことが、そのまま不正防止になりますよ。」と。
不正には大きいものから細かいものまで、いろいろなものがあります。
・取引を優遇し取引先からのバックをもらう
・仕入れたものを転売する
・現場ででた廃材を売って現金を手に入れる
・多く発注し、食材を持ち帰る
E・TCを私用で使用する
でも、基本の考え方は共通します。
不正防止でもっとも重要なポイントは、「不正を起こそうと思わせないこと」です。
人間だれでも、白い自分と黒い自分を持っています。
普段は、白い自分が勝っていても、その精神状態や置かれた環境によって魔が差すことがあります。
人はどういう時に魔が差しやすいのか、
大きくは以下の三つ。
・チェックされない
・自分以外の人が関わらない
・ダメであることが明確になっていない
こういう状況だと、その魔を助長しやすくなります。
そして、その魔を心のなかで正当化します。
「建前だけではこの厳しい世の中やっていけない」
「会社のためにやるのだ」
「会社が悪いんだ、だから・・・」
「取引先から強く求められたから断れない」
そして、最初は小さく始めたことが常習化していきます。
最初の小さく始めた時にチェックが入れば、それは 『間違い』で済みます。
「○○君、この取引先の見積の数字はおかしくないか?」
「在庫であれが無くなっているけど知らない?」
このチェックがなく、『間違い』が何事もなく過ぎるから、それが常習化するのです。
不正が起きやすい会社の特徴を以下にあげます。
(1)一人で業務が完結する(一人でしか業務が完結しない)
・チームのメンバー間で、業務の共有はなく、みている人がいない
・後で発覚することがない、経理から質問されることもない
(2)管理者が機能していない
・取引先や金額について、管理者から確認されることもない
(3)業務が見えない
・今日どこに訪問するのか、案件がどう動いているのか、在庫はどれぐらいあるのか
・業務が周囲の人には解らない。
この特徴は、イコール 仕組化・組織化ができていない会社の特徴そのものです。
根本的な対策は明確です。
仕組化・組織化を進めることです。
業務を見える化する:どこに行っている、持っている案件、数字などをお互いに見える様にする。
管理者が機能するようにする:上司が業務を管理できる(見える化・決める化)様にする。上司の承認などの流れも整備する
仕事の分担をする:チームで行う、一人で完結できないようにする。前工程・後工程の流れの整備。
マニュアル(ルールや方針)と訓練体制を整備する:やるべきこと、やってはいけないことを体系的に教える
これらの仕組みをつくります。
そして、不正に対し最終系でもっとも効果的な策の実施が可能になります。
それは、ローテーションです。
ローテーションにより、業務を強制的に引き継ぐことができます。
(ローテーションには沢山のすばらしい効果があります)
しかし、仕組みができていないところには、ローテーションができません。
仕組みができていないと、
管理者が機能しない、
社員が活躍できない、
社員の戦力化に時間がかかる、
ひとりあたりの粗利高が低い、
優秀な人材の退職リスクが高い
社長は現場を離れられない、、、、とすべての問題が起きます。
原因は一緒なんです、
どれかできて、どれかできないではないのです、
全部できるか、全部できないか、それが仕組化の影響です。
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