No.73:「うちの社員は良く働いてくれる」という社長は、実は仕組みをつくっている
先日、顧客社長とそのご友人の方に会食に招かれました。
そのご友人の方は、コンサルティングの導入を検討をされているとのことで、ご紹介をいただきました。
その顧客社長の会社は、3年前は年商4億でしたが、今期は7億に届く勢いです。
そのご友人の方の会社は、3年前からそれほど変わりがなく、大きな成長はないとのこと。
お二人は大学時代からの付き合い、お互い経営者になってさらに付き合いは深くなったとのこと。
それで今回お引き合わせをいただきました。
酔いも少し回ってきたころに、こんな会話がされました。
顧客社長 「いやー、うちの社員は良くやってくれますよ。おかげで私は、いろいろな場所へ視察に行ったり、人に会ったり、会社の経営に専念できます。先日タイに視察に行った時も、電話が一度も鳴りませんでした。」
それを聞いて、そのご友人は大きな口調で
「さらっと、すごいことを言ってくれるなぁ。3年前は、俺もお前も現場で汗水流して体動かしていたのに。社員を褒める、そういう経営者としての姿勢が大事なんだろうなぁ。俺なんて自社の社員を嘆いてばかり。そこで差ができたんだなぁ」
それを聞いた顧客社長は、私の目を見て、少し微笑み、
そのご友人に向かって話を始めました・・・
「その考え方を変えないとダメなんだよな。社員に向かってはダメ、仕組みに向かわないと。」
世の社員を使って成果を出していない社長は、よくこう言い方をします、「うちの社員は出来てない。考えない、動かない、何度言ってもダメ」と。
逆に社員で成果を出している社長は、言います、「うちの社員はよく働いてくれる」と。
でもこの言葉をそのまま受け取ってはいけません。
この言葉には、見かけよりも深い意味があります。
この世の出来た社長の口から出る「うちの社員はよく働いてくれる」の言葉の裏で、そういう社長は、必ずと言っていいほど、
『仕組みづくり』 と 『期待を伝える』、この2つの取り組みに多くの労力を使っています。
仕組みづくりとは、繰り返しある一定の質の業務ができるための仕掛けをつくることをいいます。
それにより社員は、自分たちで通常の業務を回すことができる様になります。
また、この先も自社の経験から得たノウハウを残すことができます。
そして、新人は早期戦力化され、ベテランは業務の改善ができます。
また、期待を伝えるとは、事業の真の目的や行動の基準を事業理念として伝えること。
各部長には、今期の目標や組織のなかの役目などの期待をしっかり伝えます。各スタッフにも、事業理念から自分たちの具体的な方針や行動を伝えます。そして、面談などの機会をつくり、全員に本人の課題と次の目標を伝えます。
この2つがしっかり構築され、しっかり機能しているからこそ、社員は「よく働いてくれる」のです。
この2つがない状態、すなわち、仕組みがない、期待も伝えない状態ではスタッフも動けるはずがないのです。
世の社員を使って成果を出している社長の関心は、実のところ、社員でなく、仕組みとこれらの期待を伝えてしっかり動いてもらうこと(これも仕組み)に向かっています。
間違っても、社員に向かうことはありません。
下記のように対応が違うのです。
〇 社員がミスをする ⇒ 仕組みを見直す OR 再度正しく伝える
× 社員がミスをする ⇒ 何度も言う、叱る
人に向かってはいけません。
だから
仕組みに向かう社長は、社員に怒ることはありません。
仕組みを直すか、再度伝えるかです。
それに対し、人に向かう社長は、怒ることになります。
社員を使って成果を出している社長は、「仕組みに向かう」
世の社員を使って成果を出せない社長は、「人に向かう」
「うちの社員はしっかり働いてくれる」という言葉には、それだけの意味があります。
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