No.91:新入社員を観てはいけない。新入社員が育つ仕組みが機能するかを視る
顧客先を訪問、数度通された応接室へ案内を受ける、
案内の係の方と話をさせていただくと、この春の新入社員とのこと。
その後、社長が来られる。
『矢田先生、今年は新卒が4名入りました、今年はいい人材が入ってくれました。新入社員を教育する上で、何か注意することがありますか』
矢田は応えさせて頂きました。
『人が育つ仕組みが上手く機能するかどうかを視てください。』
このコラムでは何度も書いておりますが、人を育てる、という方向に向かってはいけません。
10億事業で必要となる視点は、「いかに早く戦力化するか」にあります。そのための仕組みをつくるのです。人でなく、仕組みを育てるのです。
これは、子供を育てる教育過程(学校)と一緒です。
学校では、先生が子供を育てているようにも見えますが、実際には、国の仕組み、学校という仕組みで子供を育てています。仕組みにより、毎年ある年齢に達する子供を、国の発展に役立てるように、順当に育てています。
小学校に入り、1年生で学ぶことは決まっており、2年生、3年生でも決まっています。そして、その際には、学習の進みの目安となる基準を設けています。
その基準と照らし合わせ、進度を測るものとして、テスト(定期テスト、体力テスト)を行います。そのテストの結果を受けて、それぞれの関係者は、改善に活かすことができます。
生徒本人は、自分の出来ていることと、出来ていないことが解ります。そして、それが自分の自信になったり、自分の課題を認識したりすることができます。
その結果、勉強のやり方や時間の配分を見直すことができます。そして、自分の得意不得意を認識することにより、人生を選ぶ材料とすることができます。
担任教師は、その結果から、各生徒に対する指導方針を決める材料とします。彼はこの科目が苦手だ、彼女はこの図形の問題の補講が必要である、など。
そして、教師として自身の教え方の見直しができます。学年平均よりも自分のクラスはこの問題が出来ていない、新しく教科書に加わった項目の教え方を見直す必要がありそうだ、と改善に活かせます。
そして、校長や上位層、教育委員会の立場では、その仕組みを確認します。生徒が順当に育つための仕組みは機能しているのか、教師が情熱を持って教壇に立つことが出来るような仕組みが出来ているだろうか、学校、親、地域が協力して子供を育てる連携が上手に出来ているか、という視点です。
この様に、仕組みが機能して子供が、「順当に」育つことが重要になります。
これは、企業でも同じです、
ある一定の基準を備えた人材を採用したら、その人材を「順当」に戦力化できる仕組みを持つことが必要です。
そして、その中から優秀な人材を見つけ、ある一定の率で管理職者やスペシャリストを育てていきます。そのために進度を測るための人材の基準(3ケ月、1年、2年)とその基準と比較し評価を実施します。
その過程で、クラス分けや本人へのフィードバック、退場の仕組みが機能します。(学校でも、同じように受験やレベル分け、通知表、退学制度があります。)
社長は、人を観ているようでその人材の「順当さ」を確認し、仕組みが狙い通り機能しているかを視ます。その仕組みが機能しているか、緊急に修正が必要なのか、来期に向けて改善する点はないのか、しっかり視て、しっかり振返りを行います。
この視点を持たない会社は、「今年の新入社員は出来が悪い」や「A君はいい、B君は積極性がない」など、終始「人」にスポットを当てた議論になります。
これがOJT担当者や課長レベル(先の学校の例では教師レベル)ならいいのですが、経営層や部長レベルの議論の場でされていたら問題です。
新入社員が入りました、
順当に育つかどうか、彼らを観察して、自社の人材育成の仕組みが機能しているか、課題は何かをチェックし、それを来期に向けて確実に修正し精度を良くする。
これが10億事業の視点です。
成績の良い学生と悪い学生の特徴を上げます。
成績の良い学生の特徴:定期テスト後に、間違った問題を振返り、確実にできるようにする。(受験で出る問題は、定期テストの問題の積み重ね)
成績の悪い学生の特徴:自分の点数や順位に一喜一憂し、テスト用紙はどこかへ行ってしまう。(同じ問題が出てもできないまま)
これは良い会社と悪い会社の特徴と同じです。
悪い会社は、その結果に一喜一憂する、
良い会社は、何かを行えば必ず振返りと改善を行い、確実に進化します。
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