No.162:社員が10名、20名と増える過程で、固定費が倍増する。その時、〇〇が無いと成長の停滞に陥ることになる。

コラム№162

「矢田先生、先月は過去最高の売上げでした」
 
地方都市の創業四十年の工務店、
前期の年商は3億。先月の月商は4千万円。
 
2代目の若い社長は笑顔で話を続けられます。
「いままで良い時でも、3千5百万円を超えることはありませんでした。いまの様子だと、4千万円を今月も超える予想です。」
 
矢田は訊きました。
「社長、大変でしたか?」
 
社長、答えられます。
「いえ、全然。全然大変ではなかったです。」


大手企業が、外注を活用する目的は何か?
なぜ、大手企業は、外注先として中小企業を使うのか?
 
その理由は、大きく2つあります。
 
その1.専門性(スペシャリティ)を求めての発注
各分野の専門的な技術を求め、中小企業に発注します。
 
大手設備メーカーは、金属切削と特殊メッキを中小企業に外注します。
大手ゼネコンは、基礎杭の施工、タワークレーンを中小企業に発注します。
 
餅は餅屋、大手企業も、各分野はプロフェッショナルに任せ、自分たちは自分たちの専門分野で儲けています。
 
その2.安さ(コスト)を求めての発注
 
大手ゼネコンは、自社で作業員や重機を持つことはありません。
大手のソフト会社は、作業的なプログラマーもデザイナーも抱えることはしません。
自社のコアとなる部分以外は、外注します。自社で抱えることを避けます。
それは、管理費がかかるからです。
 
大手になるということは、それだけ、社会的な責任(要求)が大きくなります。
その結果、管理費も膨大なものになります。自社のコアな部分以外は、可能な限り変動費化に取り組みます。
 
そのため、表層だけ見れば多少高くても、外注先を活用します。
同じことを自社の社員でやれば、結果的に高くなることも予測できます。自社の「大手水準の給与」の社員を動かしていては合わないのです。
 
その結果、その外注する先は、自ずと中小企業となります。
 
 
なぜ中小企業がコスト的に有利か、なぜ低コストが可能なのか?それは、管理費が低く抑えられているからです。
 
しかし、その中小企業も、規模を大きくする過程で、徐々に管理費も大きくなり、コスト的な優位性が無くなってきます。いままでと同じ単価で仕事を受けていては、儲からなくなるのです。
 
そして、その管理費を価格に上乗せするために、値上げを大手企業に求めることになります。最初は、先方も渋々呑んでくれるのですが、徐々にその企業からの引き合いが減ってくることになります。
 
コストに優位性のある小規模の会社に発注をされているのです。
やはり小規模の会社は管理費が低いために、低価格で仕事を取りに来ます。それでもその規模であれば儲けることができるのです。
 
大手企業は、そんな低価格でも、「喜んで」受けてくれる新しい若い会社に乗り換えるのです。
それは、まさに自社が過去に歩んできた道でもあります。
 
この結果、多くの企業が、この規模で成長を止めることになります。
目安は、工事業であれば年商6億。システム開発業では4億。設備業では3億。
 
 
小規模の時には、「価格」と「フットワークの良さ」で選ばれてきました。それを、成長の過程で、変える必要があります。
事業の売りを「価格」ではなく、何かの「特色」に変革する必要があるのです。
 
そして、この状況に陥り仕事が減ってきた中小企業は、挽回のために営業担当を増やすという対策をとります。
しかし、当然、特色もコスト的な優位性もない事業では、新規顧客開拓は難しくなります。その時には、さらに管理費を上げることになっています。
 
なんとしても「特色」が必要なのです。
自社を「特色」で選ばれる会社に変える必要があるのです。


会社のステージアップのステップは、次のようなものになります。
 
創業期:創業者の熱意と行動力で、何でも受けてこなす!
 
特色構築期:その創業期も、毎日をただ汗水たらし体を動かすのではなく、大きく育つ事業を探す、構築するという目的を持って過ごします。
年商10億の事業に育つ可能性がある、年商1億を作る、「開発」という段階です。
 
そして、
拡大期:できた1億のモデルを展開します。できた金型で、量産することで大きく儲けることができます。その拡大スピードに資金が必要となるため、この段階で上場を狙うこともあります。
 
 
この創業期から特色構築期の期間の過ごし方が重要となります。
 
この時期には、創業者の熱意と行動力により、確実に顧客が増えてきます。そして、売上げも増えてきます。
 
それに合わせて、社員を入れてきます。
社員を入れると、たちまち、社会保険への加入、交通費、事務所家賃、机とパソコンと多くの費用がかかってきます。
 
そして、社員が10名近くになると、就業規則(法)も本格的に気にする必要が出てきます。一部の社員からも「当社の有給休暇は?」と聞かれるようになります。
また、個人の携帯電話、個人の車を「借りている」わけに行かなくなってきます。
 
そして、毎年一定の割合で社員の入れ替わりが起こるために、「採用コスト」とその社員が稼ぐまでの「育成コスト」がバカにならなくなります。
 
そのような形で、管理費(固定費)がどんどん増えていくのです。
 
また、会議も増えてきます。評価制度や面談も行うようになります。
「管理」という業務が発生し、管理者というある程度生産性を犠牲にする(稼がない)ポジションも作ることになります。
 
それは、そのまま会社としての生産時間を削り、コストを高めることになります。
 
そして、社員が20名になった時には、一人当たりの社員にかかる固定費は、社員数名の時に比べ、1.5~1.8倍になっています。
 
社員一人雇うと、給与は20万でも、固定費は30万円に増えることになります。
(経費という目に見えるものだけでこれだけ増えます。)
 
 
社員数名の時には、社員一人当たり500万円の稼ぎでも利益が残りました。
しかし、社員20名にもなると、社員ひとり700万円が最低でも必要になります。この金額でも、賞与を少し払えるぐらいです。
 
この金額では、思い切った投資もできません。宣伝広告や営業担当を増やすこともできません。
今後の成長を支えるための採用や投資をするためには、プラス100万円はほしいものです。
 
そして、一番まずいことは、この時に自社に「特色」が無いことです。
プラス、抱える社員も多く、固定費ものしかかっています。
何も手が打てなくなるのです。
 
そして、当然「コスト」を武器に売り込みができなくなっています。
値上げをしてみるものの失注が多くなり、また、元の価格に戻すということの繰り返しとなります。
 
そして、成長が停滞するのです。
 
 
成長=固定費の増大という宿命を会社という組織は持っています。
その固定費の増大は、「分業」に大きな貢献をしてくれます。
分業は、自社に「スピード」と「専門性」と「効率」を与えてくれます。
 
しかし、それは自社に「特色」があってこそとなります。
「特色」のない状態での拡大は、中途半端な規模での停滞を招きます。
 
社員数20名の時、社員一人当たりの生産性は、特色のある会社では、1200万円以上になっています。
特色のない会社では、700万円以下になります。


「特色」づくりに向かう必要があります。
事業とは、どこまでいっても「特色」づくりなのです。
 
我々は、ありふれたモノ、ありふれたサービスに高いお金を払うことはありません。
替わりとなるモノや業者が沢山有る場合には、「価格」というわかりやすい評価軸で選ぶことをします。
 
 
冒頭の工務店の社長は、特色づくりに、真摯に取り組みました。
 
自社の武器となる特色のアイディアを絞り出し、提案書にまとめ、社長自ら客先に持っていきました。
複数の顧客を回ってみると、その考えた「特色」は、お金にならないことが解りました。
 
それを4回繰り返した結果、見つけることができました。「これはいける!」という特色を見つけたのです。
そのうえで、一人の営業担当を付けました。
 
現在、社長と営業担当だけで動いています。
既存の事業はそのまま、その既存事業にかかわる社員の業務内容は、何も変わりません。
 
その結果、創業以来の単月での最高売上げです。
それも、「頑張らずに」です。
 
事業が伸びるときは、拍子抜けするほどスムーズに、伸びていきます。
受注が出来てきます。
望む人に、望むモノを提供する、から当然といえば当然なのですが。
 
頑張って売っている状態とは、特色がまだ見つけられていないということです。
それは、イコール社員では売れない、という状態になります。
 
「特色」こそが、事業です。
特色のある10億は楽しく、特色のない10億は苦しいのです。

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