No.247ES(従業員満足度)高めようとして、社員の不信感を高め、退職者を増やしている会社も多い。そこで起きていることとは!?

№247:ES(従業員満足度)高めようとして、社員の不信感を高め、退職者を増やしている会社も多い。そこで起きていることとは!?

急ぎの面談のお申込みを頂きました。
「矢田先生、これを見てください。」
従業員満足度調査の結果のシートがあります。
拝見すると、厳しい結果になっています。
 
この結果に、社長はショックを受けています。
その調査会社からは、対策として、人事制度の再構築と福利厚生の充実を提案されているとのこと。
しかし、社長自身も「それは違うのでは」と考えられています。
 
矢田も賛同します。
「はい、それらの対策をやれば、もっと従業員満足度は下がるはずです。」


事業構造と言うものは大きくは『事業定義―戦略―方針―仕組み』の、4階層になります。
この事業定義は、別名「市場」と呼びます。時代の先を読み、消費者も他社もまだ気づいていない市場を創ることが、事業の成否を分けます。
そして、戦略により、大局的かつ長期的に展開の順番を決めます。最初から広げていくのか、じっくりいくのか、など。
 
方針を立てます。集客に関する方針、取扱う商品に関する方針、値決め、在庫、外注活用、人的資源調達など、すべての事柄に方向性を示していきます。
その方針を実現するために、仕組みをつくります。管理者や社員には、この仕組みづくりを依頼することになります。また、この仕組みを動かし、成果を出すことに取り組んでもらいます。
 
この4階層が整うと、狙い通りのサービスを提供することができます。そして、儲けることができます。
3年後、5年後を見越し、この構造を変えていくことになります。変えていく方針を出し、社員総出でコツコツと作り直していきます。それにより、この先も多くの顧客に貢献し、会社は発展することができます。
 
この事業定義から仕組みまでの構想が、「設計」にあたり、その事業の成果の多くを決定づけます。この「設計」を練り上げ、決定し、組織すなわち管理者と社員に「実行」を依頼することが、『社長』の役目になります。
 
それゆえに、社長には、事業のセンス、そして、継続的な思考が必要になります。また、一つの方針の決定だけでも、数冊の読破とセミナーの参加などの、その分野の勉強が必要になります。その勉強の間に、自分の信念をつくり上げていきます。
 
その社長がつくった方針が、顧客満足に繋がることになります。また、従業員の構成、活用、働き方も、決定づけます。社長には、起業精神、実務能力、絶え間ない克己心、そして、人格が必要になります。
 
社長の出す方針が、事業の仕組みとなります。そして、組織を作っていきます。組織が適正に機能することで、仕組みが更新され、会社として生き残ります。そして、発展することができます。
 
事業定義から仕組みという事業と機能的な組織の構築に、全力を掛けるのです。
そこから生まれた利益を、更なる発展のために投資に回します。製品開発、システム導入、人材獲得、福利厚生など、その分配も方針として示します。


従業員は、この全体構想の中で、働き、満足を形成することになります。
そのサービスは、お客様の役に立っています。自信を持ってお金をもらうことができます。職場では、其々の部門や担当者が役割をしっかりこなしています。職場での自分の存在意義を感じられています。そして、皆で意見を出し合い改善を続けていきます。毎年、良くなっている実感があります。
この状態があって、初めて従業員は、働き甲斐、働きやすさ、そして、働く場への安心を得ることができます。
 
この状態が無いことは非常に不幸です。
サービスを案内すれば、お客様に無下にされます。他社のほうが良いと言われます。お金をもらうことに引け目を感じます。部門間のバトンリレーが上手くいっていません。自分が、給与ほどの働きができていないと感じます。起きた問題に対して、対処だけで根本的な対策はされません。毎年、会社としての成長を感じません。
この状態では、働き甲斐も働きやすさも、働く場への安心もありません。
 
サービスが悪いのも、部門間のバトンリレーが上手くいかないのも、本人に給与ほどの働きを感じさせられていないのも、すべては仕組みの問題です。そして、その根本である方針の問題なのです。
正しい方針と機能的な仕組み、適切な組織運営が無いところに、従業員満足は無いのです。そして、当然、顧客満足もあり得ないのです。


顧客満足よりも、従業員満足が大事か?
こんな馬鹿な話はありません。顧客の満足無しに、従業員満足など、存在し得ないのです。その会社自体も存在できないのです。中小企業が、顧客を後回しにすれば、2年もすれば危機状態に陥ります。利益もなくなり、福利厚生などに回せる金も無くなります。
 
従業員の満足度が上がることで、「アイディアを出してくれる」、「お客様にも、しっかり接客をしてくれる」という意見があります。その結果、業績があがる。
これこそ従業員に対する責任転嫁です。「従業員がアイディアを出していない、しっかり接客していないから、業績が悪い」というのはNOです。事業の設計が悪いから、いま儲かっていないだけです。
 
彼らのアイディアもしっかりした接客も、土台があってこそ活きます。それどころか、多くの会社では、方針が書面になっていない、仕組化がされていません。そのため、従業員がアイディアも意見も出すことさえ出来ない状態になっています。
 
また、「行き過ぎた顧客満足度の追求で、従業員が犠牲になる」ことがあってはいけないという論調もあります。その通りです。それこそ、社長の出している方針が悪いのです。それとも、具体的な方策を出さず、数字目標を幹部や現場に丸投げしているだけです。
 
 
顧客満足度が低く、従業員満足度が高い会社が有れば、それは茶番です。
もし存在するとすれば、「会社ごっこ」の活発な会社です。
朝礼や研修、社員同士のディスカッション、職場の感謝カードのやり取り。これらの施策により、一時職場の雰囲気を良くすることが出来たとしても、長くは続きません。根本的には何も変わっていないのです。業績も戻ることはありません。そして、離職が止まることもありません。
 
他社に負けているビジネスモデル、特色のないビジネスモデル。
方針が間違っていると思いながらもそれをやり続ける苦痛。
売上げダウンに対し、精神論やスローガンばかりで、具体性がない。
毎年良くなっていると言う実感がわかない。毎年同じ問題が繰り返される。
そして、同僚が一人一人と去っていく。
 
見せかけの従業員満足度を追ってはいけません。やることをやるだけです。
誤解を恐れずに言えば、枝葉を追わないでください。
 
確認しておきましょう。中小企業における社員満足度が低い会社と言うのは、イコール、経営者に対する信頼度が低いということです。
従業員は、社長の一挙手一投足を観ています。社長がやるべきことに向かい、コツコツ取り組んでいる姿を見ています。そして、方針を出し仕組みを一緒につくります。狙い通り少し良くなる、その繰り返しが、社長に対する信頼になります。
 
従業員が社長への信頼度を下げるのはこの逆です。
社長としてやるべきことをやっていない。思い付きのように方針が口からでる。そして、言った本人が忘れる。経営者一族で争っている。問題の対策は、仕組みではなく人を責める。対策として「社員教育」や「評価制度」を導入すれば、覿面に信頼度を下げることになります。そして、また「経営者の勉強会に行く。」と言って、夕方に出ていきます。そのフェイスブックの記事を従業員は見ています。
 
従業員満足度が低い会社では、「経営者が経営者の仕事をやっていない」ということが原因なのです。この社長に付いていって、自分の人生も生活も良くなるという『予感』が持てないのです。そう思えない中での、労働は苦痛でしかありません。
 
中小企業において「従業員満足度」とは社長に対する信頼度です。
「社長満足度」になります。正確に表現すると「社長に対する満足度」となります。
 
本質を理解したうえでの、「従業員満足度調査」を行うのは、良いことです。
その結果を受けて、「顧客満足度を高めるための取組み」に向かうことになります。

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