No.248:ストック型のビジネスをやりたいと建設業M社長。実は、バリバリのストック型の事業をやっていました。その答えは?

№248:ストック型のビジネスをやりたいと建設業M社長。実は、バリバリのストック型の事業をやっていました。その答えは?

「矢田先生、当社もストック型のビジネスを考えたいのですが。」
 
M社は、建設業です。コンサルティングが始まりもうすぐ1年が経ちます。
前期の年商が5億。営業の成果として、期初3か月で3億円の受注が決まりました。絶好調のはずです。
私は、M社長が何を言わんとしているのかが解りませんでした。
 
「当社は、毎期案件を獲っていかなければいけないフロー型の典型です。安定しません。」
 
それを聞いて私は、お答えしました。
「M社長の会社は、すでにストック型のビジネスですよ。それも、かなり強力なストック型のはずです。」


ストック(蓄積)型とは、「インフラ提供や契約体系などで、継続的に売上げが発生するビジネスモデル」を指します。
それに対し、フロー(流れ)型とは、「顧客との継続的な契約はなく、都度の取引により売上げを得るビジネスモデル」となります。
 
この「ストック型のビジネスにしたい」という社長は、非常に多くいます。
しかし、それは狭い意味での「ストック型」を指しています。
その方々のビジネスの多くのが、実は「ストック型」になっています。
 
『売上げをストックする方法』は大きくは以下の3つがあります。
 
1.お客様に密着する。
その顧客は、当社を「使いやすい」、「丸投げできる」、「細々していることも対応してくれる」の理由で、使用を続けてくれます。
一見すると、自社が「弱そうな立場」に思えます。
しかし、実は、自社の狙いによって、『お客様を骨抜き』にしています。
その担当者様は、すでに「当社を使用することで、楽(らく)ができること」を覚えてしまっています。今更、「自分でやる」ことなど考えられません。
また、その企業様は、すでに「当社無しには、ビジネスをできない」状態になっています。その業務を内製化するリソースは、無いのです。
その担当者様や企業様から出る案件を、一番近いところで獲得します。ストックするのです。
例.ゼネコンを相手にする工事屋、1社の受託開発のシステム開発、大手企業相手の特許事務所、ショッピングモールへの出店。
 
2.評判をとる。〇〇といえば、〇〇。
世間やその業界で、一つの評判を取りに行きます。その人達は、あるキーワードから連想して、当社のサービス名が浮かびます。
結婚するなら〇〇。法人のグループウェアと言えば〇〇。
絞れたビジネスを作れていれば、この「脳内シェア」を取りにいきます。一度そのシェアを取れると、それを後発企業がひっくり返すのは難しくなります。その〇〇という評判で、毎年見込客から問い合わせがきます。
その「市場」すなわち「そのジャンル」をストックします。
例.〇〇の専門工事会社、〇〇業界専門のシステム、超難易度の高い〇〇に強い特許事務所、〇〇専門店。
 
3.集客のノウハウで見込客をあつめます。
ひとつの必勝の集客パターンを持ちます。WEB上では、当社にかなう競合はいません。ホームページから問い合わせが月に数件きます。または、展示会から商談に移行し成約するのが超得意です。
この集客のノウハウこそが自社の資源です。この集客ノウハウがあれば、いつでも見込客を獲得できます。これも、ストックです。
サービスに特色は無くとも、売る力で伸びている会社は沢山あります。
例.リフォーム工事屋、多くのマッチングサイト、出版から集客するスクールビジネス。
 
自社の「売り物の特性」を正しく理解する必要があります。そして、それに合わせた「ストックの型」をつくる必要があります。
 
自社のビジネス強化のために、必要なものだけに注力します。
1の密着パターンであれば、「密着系の営業」、「すべて気持ちよく受ける」、「スピード回答」は必須です。そのための仕組みを作ります。
 
2の評判パターンであれば、「本当に強い一品を残す。」、「同じメッセージで広告を打つ。」その一品を更に良くする。
 
3の集客ノウハウパターンであれば、「とことんそのノウハウを強くする。」となります。


多くの会社が、何かしらの「ストック化」をしているのです。
そうでなければ、成り立たないのです。ストック化をしなければ、1件あたりの顧客化単価が、べらぼうに高くなります。其々のお客様の要望に応え、いちからサービスをオーダーでつくることは、貧乏暇なしの状態に陥ります。
 
この「成り立たないはずという会社」も、実は存在します。
それが、年商数億円企業です。
 
自社の売りは、「技術」、「対応力」、「提案力」というものです。お客様の困りごとは何でも解決します。対応できる領域は、「なんでもできます」です。お客様の種類も、大手から小企業まであり、多種多様です。「うちから買われる方が、お客様です。」
その案件を一生懸命に納め、お客様に喜んでいただき、次に行ってしまいます。それを沢山売ろうとは、しません。そして、集客も、紹介や社長繋がりがほとんどです。
 
どれかをしっかり育てるという方針もぼやけています。どれもが中途半端です。
【密着】引き合いがあれば対応します、待ちです。仕組みとしてコンスタンスに、営業ができていません。案件が薄くなると、焦って動きます。
【評判】商品として、これが強いという一品がありません。それどころか品揃えを増やしています。
【集客ノウハウ】一つの強力なノウハウを育てません。ホームページも中途半端。そして、思い付きで展示会に出たりします。社長のフェイスブックで、まだ「繋がろう」とします。
 
世の中のシステム会社、設備設計会社、建築事務所、〇〇士事務所、建設工事屋、コンサルティングサービス、スクールビジネスなど、多くが当てはまります。
 
そのため、事業を何年やってきても、何も積みあがっていません。ストックされていないのです。そのため、1件当たりの集客コストも営業コストも施工コストも高くなります。気づくと、割りの悪い仕事ばかりになっています。全部が単発なのです。この状態が、本当のフロー型ビジネスです。
厳しい言い方をすれば、自らフローにしているのです。


この説明を、M社長にしました。
「うちは、1の密着型ですね。今の大手取引先をとことんですね。」
 
そのために、何を強化していくのかが、明確になります。
「しっかりお客様の側にいること」、「大きなミスをしないこと」、「問い合わせや見積りは早く」です。
これこそが自社のサービスの定義になります。そのための、内部の仕組みづくりを進めるのです。そして、顧客企業や担当者を、骨抜きにします。ストック化します。
 
まずは、一社にガチガチに入り込みましょう。そして、その1社でのシェアを高めていきます。他の担当者や支店もあります。その1社で、年間十億円はとれるはずです。
 
そして、次の1社を開拓します。丁寧に動きます。また、じっくり骨抜きにします。これで、2社がストックできます。
 
さすがはM社長。実際に、ここ数か月自ら営業に動き、大手企業からの受注につなげています。また、工事金額も倍以上に大きくしています。その成果です。年商5億の会社が3か月で3億の受注です。
 
そして、実は、M社は2の評判型のビジネスでもあります。
「〇〇工事といえば〇〇建設」という評判を取りに行けるほどの、特色があります。強い特色があるので、宣伝も非常に有効であることが予測されます。
名刺には「〇〇工事専門」の文字があります。建通新聞に出してもいいでしょう。
なんせ今は、「全く知られていない状態」なのです。
宣伝をすれば、その分だけ、「〇〇工事といえば〇〇建設」の認知度は積みあがっていきます。
 
これから、M社の快進撃がはじまります。暇はありません。急いで内部の『本当に必要な仕組み』を作りましょう。
 
自社は、どんなストック型のビジネスにするのか、
今日のこの活動は、どんなストック(蓄積)に繋がっているのかを考えることです。

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