No.262:人を使うのが下手な社長に共通することとは?

№262:人を使うのが下手な社長に共通することとは?

「社員に仕事を振るのが苦手なのです。そのため、私が抱え込んでいます。」
販促支援事業H社は、事業モデルが見つかり、コンスタンスにホームページから引き合いが来るようになりました。
 
しかし、その案件の多くを社長が受け持つことになっています。現事業を回す社員も多忙であるため、振ることに遠慮してしまいます。
 
H社長、疲れた顔で言われました。
「嬉しい状況ではありますが、このままでは私が持ちません。もっと強引にでも、社員に振り分ければいいのでしょうか?」
 
根本的な間違いが、ここにもありそうです。


年商10億円ビジネスのためには、次の3つの段階を踏む必要があります。
『設計―依頼―実行』
 
設計:儲かる事業モデルを設計すること。効率よく回る仕組みを設計すること。
 
依頼:その実行と実現を、管理者や社員、外注業者に依頼します。
 
そして、
実行:こちらが期待するだけの精度とスピードを持って実行してもらいます。
 
この3つがしっかりされることで、社長の一つの構想が具現化されることになります。この段階のどれも飛ばすことはできません。
 
『設計』が悪ければ、いくら社員が頑張っても、それに見合った成果は出ません。スタッフを増やしても、生産性は落ちるばかりです。
 
そして、『依頼』が上手に出来なければ、管理者や社員は動けなくなります。彼らのやる気を引き出せません。彼らの頭の中に、こちらと同じイメージを描けられていません。
その結果、『実行』が悪くなります。間違った判断をしています。また、その後の定期的なチェックと修正のサイクルがないために、多くの無駄とスピードの遅れが生じます。
 
この『設計―依頼―実行』のサイクルを愚直に回すことで、年商10億円は確実に実現されることになります。


冒頭のH社長の相談を御聞きして、私は2つのことを確認させていただきました。
 
一つは、「業務の流れが明確であり、見える化できているか?」
その新しい事業モデルを回すために、「ホームページからの問い合わせから、営業し、制作・納品し、回収まで」が、明確に定義されている必要があります。
それが出来ていないうちに、社員を「乗せる」ことはできません。
まずは業務の流れを設計する必要があります。
 
そして、二つ目は、「部門や担当者の機能は、決められていますか?」
一つ目の業務の流れができれば、次はその業務をセクションに分け、部門や担当を設計することになります。その部門や担当者の役目を決めます。そして、その業務に関する方針と目標をあたえます。分業することで、「高い専門性」と「高い効率」と「業務の低度化」を実現することができます。
 
この2つの問いに対して、H社長は、「NO」と答えられました。
業務の流れは不明確であり、役割分担もできていません。各々が案件を複数抱える『個人商品』スタイルです。判断基準も設けていないために、其々が異なるやり方でこなしています。
 
その結果、業務はクリエイティヴが必要になり、新人を入れてもすぐに案件を受け持つことができません。チームとしてお互いに助け合うこともできません。管理者を任命していても、機能することもありません。
 
H社長は、その状態にある現事業を回す社員に、新しい事業も、受け持たせようとしていたのです。
その社員らは、今までの案件を沢山抱えています。彼らも、いまの仕組みの状態が悪いことを解っています。そのため「H社長」を避けるようになっていました。
もしその仕事を受けてしまえば最後、その後の同様の案件のほとんどが自分に集まることは、火を見るよりも明らかです。
 
この時には、H社長にも、その理由が解っていました。
「彼らが、非協力的になる気持ちもわかります。」
 
いままでも繰り返されてきたのです。新しいサービスを丸投げに近い形で、社員に振ってきました。自社がやったことがない要望も、会社として受けてきました。それも社員に振ります。その結果、業務は煩雑になり、彼らの帰宅時間は遅くなるばかりでした。
いままでの経緯から、完全に「H社長のやり方」は、信頼を失っていたのです。
彼らは、「非協力的な態度」により、自分を守ることをしていたのです。
 
私は、お伝えさせていただきました。
「H社長は、依頼が上手い下手と言える段階にまだありません。その前の設計の段階が出来ていないのです。」
 
その後、H社長は、すぐに設計に取り掛かりました。業務の流れを明確にし、業務の分担を設計しました。そして、各方針書と案件管理の仕組みを作りました。
 
そして、その新しい事業のために、社員を2名採用したのです。予測通り、その社員でも成果が出せます。ホームページからの問い合わせに対し、その社員が連絡を取り、訪問します。ヒアリングを行い、提案書を出し、成約まで行けます。制作は、自社の製作部と外注を使います。社員と共に、その仕組みの完成度を高めていきました。
 
その当時の売上げは、年商4億円でした。その売上げすべてが既存事業のものです。そして、2年経過した今、既存事業は2億円に落ちました。それに替わり、新しい事業は、年商4億円になっています。内容の全く異なる年商6億円です。
 
H社長からの相談事は変わりました。「来期8億円を予測しています。既存事業をこのまま残すべきか、思い切って無くすべきか、考えています。」
既存事業では、相変わらずクリエイティヴが必要で、特色を出せていません。そして、手間の割に儲かっていない状況です。
 
 
自分は社員に依頼するのが苦手という社長は多くいます。
自分は人を使うのが下手という社長は多くいます。
そんな社長は、その原因の一つに「自分の遠慮」や「コミュニケーションスキルの不足」を上げます。
 
実は、そこに根本的な原因があるのです。
「自分は人を使うのが下手」と言っていること自体が、間違っているのです。
それこそ、『人』に向かうという発想です。
 
社長自身の発想が、仕組みでなく、自分という『人』に向かってしまっているのです。その発想であれば、当然対策は、『人』になります。人に向かえば、いつまでも成果は出ないことになります。
 
「人を使うのが下手」な根本原因は、『設計』にあります。業務の流れ、その役割や基準という『設計』ができていないだけなのです。それが無ければ、人を動かすことも、依頼することもできるはずがないのです。
 
年商10億円に進むために、『設計』をしっかり行うことです。
設計ができているからこそ、『依頼』ができるのです。
そして、『設計』と『依頼』をしっかりできているからこそ、彼らは『実行』ができるのです。
 
社長は、人を使って成果を出すプロなのです。

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