No.347:仕組化が進まない社長が持つ共通する特徴とは。

№347:仕組化が進まない社長が持つ共通する特徴とは。

「先生、仕組化がなかなか進まないです。」
席につくとシステム会社M社長が言いました。
 
私は、状況を確認させて頂きます。
・外注業者が機材の設定を間違えたため、現場に駆け付けることになった。
・本来顧客が行うことを、こちらに依頼してくる。
・サーバー設定の最終の確認を、社長自らが行う必要がある。
 
私は、ここまで聞かせていただき、やっと気づきました。
そして、前回の記録を確認します。
 
私は、敢えてイラつきを込めて言葉を出しました。
「社長、前回と同じ話をしていますよ。」


仕組化とは、「人が嫌々でもやらざるを得ない状況を事前につくること」となります。年商数億円から年商10億円に進むときに、この仕組化のやり方を習得する必要があります。
 
人は、「忘れる」、「怠ける」、「間違える」という特性を持っています。これは、誰しも持っているものです。
 
これらの人間らしさは、プライベートでは問題ありませんが、会社という場では、そうはいきません。「お客様とのアポイントを忘れる」、「請求金額を間違える」、こんなことが頻繁にあれば、会社は信頼を失うことになります。
 
この「人」の特性を自由にさせないために、仕組みを施してきます。仕組化が進むほど、人が起こす間違いは減ることになります。また、効率も良くなります。その結果、新人でも業務をこなせるようになります。
 
当然ですが、仕組化に取り組まなければ、間違いが繰り返されることになります。不効率な作業を続けることになります。その結果、新人の戦力化に時間がかかることになります。
 
年商10億に進むためには、社長は、仕組化を覚えなければなりません。
より多くの人を使うのです。10名、20名、50名と増やしていきます。
その時々に仕組みを作り変えていきます。また、社員にその指示を出します。
その指示を出す人は、社長なのです。
 
間違っても、逆に向かってはいけません。「しっかりやってください」や「気を付けること」。これほど、意味が無い言葉はありません。人は必ず間違えるのです。また、社員は入れ替わっていくのです。人を育てることと、仕組みを育てることは、真逆の方向だと考える必要があります。
 
「人を育てること」に向かえば、そこで思考停止に陥ることになります。仕組化の発想を無くし、その取組みをしなくなってしまうのです。
そして、結果は、裏切られることになります。同じ間違いが起きます。また、その数年後には、その多くが会社から居なくなっています。
「人を育てる取組み」など、全くの無駄と考えるべきなのです。


「年商10億」に進むためには、事業モデルが10億に見合ったものである必要があります。
「社長が現場を離れる」ためには、仕組みが回っている必要があります。
「3か月不在」にするためには、組織が機能し、仕組みを改善するサイクルが回っている必要があります。
 
ここから言えることは、年商10億の事業モデルが無くても、仕組みづくりを進めれば、現場を離れられるということです。
逆を言えば、年商10億の事業モデルが有ったとしても、仕組みづくりができていなければ、現場を離れられないということです。
 
どの道、社長は仕組みの作り方を覚える必要があります。
 
冒頭のM社は、十分に年商10億円に進むだけのポテンシャルを持った事業モデルをつくることができました。市場の規模はそこそこ大きく、他社との差別化も出来ています。実際に、それを見込客に案内すれば、2件に1件は、契約が決まっていきます。
広告費をかけた分だけ、見込客を集められ、契約が増えるはずです。
 
しかし、それが出来ません。
見込客を集めれば、内部がパンクすることは目に見えています。
その分だけ、現場での設備の設置やシステムの設定が必要となります。外注業者の問題も増えるはずです。そのまま自分が忙しくなるのです。
 
月に、2件が限界です。早急に仕組みを整備する必要があります。逆を言えば、仕組みさえできれば、スピードを持った展開が可能になるのです。
 
それを、2か月前にも確認していたのです。
 
私は、御聞きしました。「今、何に手を付けていますか?」
M社長は、もぞもぞ口を動かしています。「いや、色々やっているのですが。」
私は、突っ込みます。「具体的に何をやっていますか?」
M社長は、黙ってしまいました。
 
 
仕組みづくりが進まない理由は大きくは三つしかありません。
一つ目は、「仕組みづくりのやり方が解らない」というものです。どこから手を付ければよいのか、どんなものをつくればよいのかが解らないのです。
 
二つ目は、「どれから仕組化すれば良いのかが、解らない」のです。これは、複数の事業を持っている時に起きる現象です。事業の数だけ、仕組みが必要になります。あれもこれもと気が焦る分、どれも中途半端な状態になっています。
 
三つ目は、「手を付けてない」です。やり方も、やるべきことも解っているのです。しかし、手を付けません。仕組みづくりでなく、目の前の案件に向かっているのです。職人社長の習慣が抜けないのです。
 
M社長は、三つ目の状態です。
伸ばす事業も明確です。作るべき仕組みの順番も確認しました。仕組化の手順も時間をかけて説明をしてきました。
 
しかし、「手を付けていない」のです。
これでは、何も進むはずがありません。
 
やるやるといってやらない社長。やらなければと思いながら、手を付けない社長。でも、心の中では焦っています。それにより、消耗をしていっているのです。私は、M社長のことが心配なのです。
 
私は、M社長の日々の習慣を確認することにしました。
習慣が悪いと、自分の心と行動をコントロールするのが難しくなります。
「一つひとつの質問に、イエスか、ノーで、答えてください。」
 
1.前回のコンサルティング終了後、その内容を見直すことをしましたか?
2.自分のやるべきことと、その計画を、書面にまとめることをしましたか?
3.それをやるための時間をスケジュールに入れましたか?
4.やるべきことを忘れないように、目に見える所に貼るなどしましたか?
5.早朝から案件には手を付けず、重要事項に少しでも手を付けましたか?
 
M社長の答えは、すべてがNOでした。日々の習慣の多くが悪いために、何も進まなかったのです。
 
これが世の年商数億社長が共通して持つ習慣なのです。
コンサルティングの振り返りの時間を取らない。その結果の目標や行動計画を、書面にまとめない。「勉強になった」で終わり。
そして、手帳には「案件」の予定しか入れない。自分とアポイントを事前に取る習慣がない。そして、目覚めた瞬間から、見積書作成などの作業に向かう。
 
こんな生活を続けていても、何も変わらないのです。それどころか、どんどん現場を離れられなくなります。
 
 
自分への管理、すなわち、マネジメントが必要なのです。
社長も人間です。必ず「怠ける」、「忘れる」、「間違える」という特性があるのです。それを野放しにしてはいけないのです。
 
それを押さえる、それをコントロールする術を身に付けなければなりません。
自分に予め仕掛けを施しておくのです。そう、ここも仕組みなのです。
 
社員を仕組みで動かす前に、自分を仕組みで動かすことを覚えなければならないのです。
自分に対して、嫌々でもやらざるを得ない状態を事前につくるのです。
 
自分への仕組化が出来ない社長は、組織に対する仕組化が下手な傾向があります。傾向どころか、それは、法則です。
 
自分への仕組化が出来ない人は、絶対に他人に対しての仕組みは出来ないのです。
そこに、人間に対する深い理解が無いからです。
 
その結果、残念ながら、多くの社員を活躍させられずにいます。
彼らの成長の機会を奪っているのです。
 
 
私は、M社長に、自分に施す仕組みについてご説明をさせて頂きました。
それは、先の5つの質問そのものです。イエスと答えられる状態にすることです。やはりそこにも、要所があるのです。
 
それでも、最後には、自分がその一歩を踏み出す必要があります。
その一歩が大変なのは解ります。
それでも、その一歩を出さなければ何も変わらないのです。
 
仕組化をしなければ、という焦りを持って生きるか、
仕組化にコツコツと向かうのか、
それとも、それをキッパリと諦めるか。
 
M社長には、銘経営者の匂いがします。
いまにでもガラリと変貌する気配がプンプンしています。私には、解るのです。
現に、素晴らしい事業モデルをつくることができました。
 
本当に、もう少しなのです。
今日、明日、手を付けられるかどうかです。
頑張ってください。

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