No.445:既存事業のまま行くのか、新規事業を立ち上げるのか、その決断が必要です
不動産サービス業H社長が新規事業に取り組んで一年が経とうとしています。
H社長は、席に着くなり言いました。
「先生、こんなに簡単に売上げが伸びていいものなのでしょうか。」
毎回のことながら、私は答えます。
「はい、伸びる事業というものはそういうものです。」
晴れない表情のまま、H社長は言いました。
「この事業に、特別な思い入れはないのですが・・・」
既存の事業は、年商2億円ほどでした。
それを、この新規のビジネスがあっさり超えてしまったのです。
当社に相談に来られるお客様の多くは、年商数億円という規模です。
そして、「いまの規模を脱し、年商10億円にしたい」と言う目標を持っています。
いまの年商数億円の規模を抜けられない理由は明白です。
それは、「安定」をしているからです。その事業からすると、その規模がちょうど良いのです。だから、その規模で止まってしまうのです。
次に進むためには、その「安定」を壊さなければなりません。安定を壊し、年商10億円がちょうど良い、年商10億円で安定する事業に作り変える必要があります。
その年商10億円にいけるかどうかの決め手になるのは、やはり事業モデルです。
年商10億円に進む事業モデルを獲得する必要があります。
その時の選択は、大きく二つになります。
一つは、「今の事業を改革する」です。
そして、もう一つは、「新規事業を立ち上げる」です。
このどちらかで、年商10億円を狙うことになります。
その時には、「どちらが早く年商10億円に行けるか」を考える必要があります。
当社の支援先で、実際にスピードを持って年商10億円を超えた会社の、その割合は6:4といったところでしょうか。
6割の社長が「今の事業の改革」により年商10億円に進んでいます。
4割の社長が、いまの事業では行けないと判断し、「新規事業を立ち上げる」ことにより年商10億円に進んでいます。
冒頭のH社長は、「新規事業」を選びました。
既存の事業の改革(実際には改善レベル)を続けていましたが、どうも伸びがよくありません。見込客には刺さっているものの、マーケットが小さすぎるためなのか、売上げが増えたり減ったりを繰り返しています。
そこで、新規事業のアイディアを、矢田に相談しました。
私は、「良い事業ですね。よく見つけられました。」と答えました。
その事業は、十分に10億円ビジネスの条件を満たしています。クリエイティヴがなく、そのマーケットは今後も大きくなることが予測されます。
しかし、H社長の表情は晴れません。
「先生、こんなビジネスでいいのでしょうか。この事業には、特別な思い入れはないのですが・・・」
H社長がいままで取り組んできたビジネスは、非常に特色のあるものでした。それに比べ、確かに、このビジネスには特色がありません。
私は、H社長に意思決定を迫りました。
「どんなビジネスも、いずれは競合だらけになります。このビジネスも例外ではありません。それどころか特色が必要無い分すぐにその状態になります。やるならこの一年が勝負になります。」
H社長は、少し考え「やります!」と答えました。
それからのH社長のすごいこと。
できる社長というのは、一度やると決めたら早いのです。そして、思いっきりも良いのです。
仕組みづくり、人の採用、マーケティング、すべてを同時とも言えるスピードで動かしていきます。既存の事業で四苦八苦してきた経験と仕組みを十二分に活かすこともできます。
その結果、一年が経つ頃には、月商で2千万円を越えるまでになっていました。既存の事業を越えてしまったのです。
H社長は言われました。
「伸びる事業というのはそれほど頑張らずとも伸びる、という先生の言葉の意味が解りました。」
H社とは、逆のケースも多々あります。
新規事業の相談に来られて、今の事業に十分な可能性があること、十分に年商10億円を狙える可能性があることを発見するのです。
既存事業のターゲットや商品を見直し、仕組みをしっかり整備することで、年商10億円に進んだ会社も6割あるのです。
今の事業を改革することで、年商10億円を狙うのか。
または、新規事業を立ち上げることで、年商10億円を狙うのか。
そのどちらが早く年商10億円に行けるのか。
この「今の事業」か「新規事業」か
この見極めが、非常に難しいのです。
また、この迷いを持った状態で先に進むことは、非常に苦しいのです。
この判断を間違えると、長い時間を「今の規模」で過ごすことになります。
自分の人生だけでなく、社員の人生も使うことになります。
いずれにせよ、いまのやり方を変えなければなりません。
年商数億円で「安定」している会社は、破壊と再構築が必要となります。
がらりと変える必要があるのです。
年商数億円の経営の延長に、年商10億円はありません。
まずは、「変えるぞ」という社長としての意思決定が第一歩となります。
その先にこそ、本当の企業としての「安定」があるのです。
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