No.446:管理者が機能しない。今いる者を育てるか、それとも代えるか、非常に悩む。

№446:管理者が機能しない。今いる者を育てるか、それとも代えるか、非常に悩む。

席に着くと、すぐにM社長は口を開きました。
「先生、やはり彼を切ろうと思います。」
 
私は、顔を上げ、M社長と目線を合わせます。
そこには、意思決定をした者の目がありました。
 
私は、敢えて確認させていただきます。
「その彼とは、誰のことですか?」
 
M社長は答えました。
「彼とは、創業当時からのメンバーであるA氏のことです。」
 
システム開発業として創業して12年、M社はここ2年で変貌を遂げました。
その中で、M社長は、A氏の扱いについて大いに悩んでいたのです。


年商数億円から年商10億円に進む時に、二つの入れ替わりが起きます。
一つは、「客」の入れ替わりです。
もう一つは、「人」の入れ替わりです。
 
事業モデルが変わり、自社が狙う客や単価が変わるのです。今までのお客様を大切にしたい気持ちはあります。しかし、その変革無しには、年商10億円は無いのです。「客」を入れ替えることになります。
 
そして、その過程で「人」の入れ替わりも起きます。事業定義、そして、分業と仕組化により、社員に求めるものが大きく変わるのです。
 
その時に、社長は大いに悩むことになります。
昔から居た社員は、真面目に働いてくれます。しかし、仕組化ができません。
親の代からの番頭的な存在の部長は、部下をマネジメントすることが苦手です。
 
社長自身の人を見える目が変わってしまったのです。また、求める人材も変わったのです。
早く大きくしたい、強いビジネスと強い組織をつくりたい、と望むほど、作業をこなす人でなく、仕組化やマネジメントに貢献できる社員が欲しくなるのです。
そして、管理者や幹部には、「業務でなく、責任を担ってくれる人」を強く望むようになるのです。
 
そこで、自社の組織図を見ると、いくつかのポストがあります。
マーケティング部、営業部、企画部、製作部、管理部。
スピードある成長発展のためには、其々に優秀な人材、その責任を担ってくれる社員を配置する必要があります。
 
しかし、今の自社にそのポジションに相応しい人材はいません。
5つのうち1つか2つ、または、5つのうちゼロ。
そのポジションは、空席か、名ばかり管理者という状態です。
 
この先に進むためには、何としても、そのポジションに、相応しい人材を入れなければなりません。
 
そこで社長は、大いに迷うことになります。
今そのポジションにいる社員を育成するか、
それとも、頭角を現しつつある若手と交代させるか。または、採用するか。
 
育てるか、代えるか、この迷いは、多くの社長が経験するものです。
そして、その多くのケースで、意思決定を先延ばしにし、多くの時間を使ってしまうものなのです。
 
その対象となる社員は、親族であったり、親の代からの古参の社員であったりします。
ただ、そのポジションにどんな働きをして欲しいかは明確なのです。
どのような事情や制約があったとしても、その重要なポストには、それに相応しい人物を配置する必要があるのです。
これは、絶対なのです。
 
 
冒頭のM社長もその悩みを持っていました。
創業からのメンバーであるA氏が、いよいよついてこられなくなったのです。
彼の役職は、営業部の部長です。
 
お客様のウケは非常に良いのですが、部下をマネジメントすることができません。また、仕組みの発想がなく、問題解決は「人」に向かうばかりです。
 
M社長が、そのA氏について矢田に相談したのは半年前でした。
その時には、「管理者を動かす仕組み」がまだできていないこともあり、M社長は、「育てる」という方針をとりました(明確な意思決定はできなかった)。
 
あれから半年が経ち、それらの仕組みができ稼働し始めました。すると、益々そのA氏がついてこられないことが、M社長にも他の社員にも解ってしまうようになりました。
 
M社長が依頼した企画書が書けません、会議の進行も上手くできなければ、その発言のポイントもズレているのです。
 
そして、A氏の部下である社員の退職が起きました。その社員は、頭も良く、これからの活躍を期待できる人材でした。
 
M社長は、反省しました。自分が意思決定を先延ばしにしたために、優秀な若手を辞めさせることになったのです。
 
M社長は、A氏をそのポジションから外すことを決めました。
それを、矢田に報告します。
「いち営業担当になることを提案してみます。しかし、きっと彼は辞めることを選ぶでしょう。」
 
一連の経緯を確認させていただき、私は、一つだけお伝えさせていただきました。
「人事は、厳格であるべきですが、非情であってはいけません。」
 
M社長もそれを十分理解していました。
「はい、もう迷うことはありません。彼には感謝の心を持って話をするつもりです。」
 
 
(まとめ)
・年商数億円から年商10億円に進む時に、「客」と「人」の入れ替わりが起きる。
・スピードある成長発展には、組織の其々のポジションに、相応しい人材が必要になる。これは絶対である。
・そのポジションに相応しくない人が居る時に、「育てる」か「代える」か、大いに悩むことになる。その答えは、仕組化を進めるほどに明確になる。
・優秀な若手が辞める状況になったら限界である。
・社長は意思決定し、厳格にそれを執行する。その時には、非情であってはいけない。感謝と尊敬の念を持ってあたる。

矢田祐二
矢田 祐二

経営実務コンサルタント
株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役
 
理工系大学卒業後、大手ゼネコンに入社。施工管理として、工程や品質の管理、組織の運営などを専門とする。当時、組織の生産性、プロジェクト管理について研究を開始。 その後、2002年にコンサルタントとして独立し、20年間以上一貫して中小企業の経営や事業構築の支援に携わる。
 
数億事業を10億、20億事業に成長させた実績を多く持ち、 数億事業で成長が停滞した企業の経営者からは、進言の内容が明確である、行うことが論理的で無駄がないと高い評価を得ている。
 
 

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